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しらすのお部屋
進化したレウコイドの登場。
空気が重い。
レウコイドが、ゆっくりと口を開いた。
赤く輝く体が、脈動する。
「くっくっく……」
低い笑いが、白いモヤの中に響く。
「宝生永夢を使って……ここまでこれた」
一歩。
床を軋ませながら、ベッドへと近づく。
「こいつは特殊だ」
ゴツゴツとした腕を持ち上げる。
その手が――永夢の額へと伸びた。
「やめろっ!!」
飛彩が叫ぶ。
――だが、間に合わない。
指先が触れる。
次の瞬間。
ジジッ――
焼けるような音。
「あ゛っ……!!」
永夢の体が跳ねた。
額から、赤い血が流れる。
苦痛に顔を歪め、呼吸が乱れる。
「はぁ……っ、あ……っ……!」
モニターの警告音が鋭く鳴り続ける。
レウコイドは、ゆっくりと手を離した。
その様子を、愉しむように。
「既にゲーム病を抱えながら――」
振り返る。
飛彩たちへ視線を向ける。
「感染源であるバグスターと共生している」
パラドが歯を食いしばる。
「……っ」
レウコイドの口元が歪む。
「おかげで、俺は“早く”この姿になれた」
赤い光が、さらに強く脈打つ。
空気が震える。
貴利矢が低く呟く。
「……最初から、エム狙いか……」
レウコイドの瞳が、5人を射抜く。
冷たく、確実に。
「まずはお前らを潰す」
一歩、踏み出す。
「そして――」
わずかに間を置く。
「俺は全世界の生物を、病気でじわじわと苦しめる」
静かな声。
だが、その重さは圧倒的だった。
空気が凍りつく。
飛彩の眉が、鋭く寄る。
「……なんだと」
大我が拳を握りしめる。
「……ふざけんな……」
貴利矢も、目を見開いたまま呟く。
「……それが、お前の目的かよ……」
レウコイドは、ただ笑う。
その宣言は――
3人の血を、確実に凍らせていた。
その凄まじい力が部屋を震わせる中。
隙をついてパラドが永夢のそばに飛び寄る。
「永夢、しっかりしろ!」
ベッドに横たわる永夢の肩に手を置き、体を支える。
飛彩は、一瞬で判断した。
「ここで戦うな」
視線はレウコイドから外さない。
「3人で外へ出す」
大我がニヤッと笑う。
「手っ取り早く行くか」
そのまま、窓へと視線を向けた。
貴利矢も気づく。
「あー……なるほどな」
レウコイドが一歩踏み出す。
ベッドへ向かって。
「させるかよ」
大我が前に出る。
強く床を踏み鳴らす。
「こっちだ」
レウコイドの視線が、大我へ移る。
その隙に。
貴利矢が横から飛び込む。
「エムは渡さねぇ!」
大きく声を張る。
意識を、完全に三人へ向けさせる。
飛彩が短く言った。
「行くぞ」
三人が同時に動く。
後退――ではない。
一直線に、窓へ。
「やっぱこれだよな!」
貴利矢が笑いながらもスピードを上げる。
次の瞬間。
バンッ!!
大我が窓を蹴り破った。
ガラスが砕け散る。
外の光が流れ込む。
「行け!」
飛彩が叫ぶ。
三人は躊躇なく――
飛び出した。
二階からの落下。
風を切る。
だが。
着地と同時に体勢を立て直す。
遅れて。
レウコイドが現れる。
迷いなく。
窓を突き破り、外へ。
――病院の外
戦場が、移る。
地面が震える。
赤い巨体が、ゆっくりと立ち上がる。
飛彩が前へ出る。
「ここなら問題ない」
大我が拳を鳴らす。
「ようやく本気でやれるな」
貴利矢が肩を回す。
「派手にいこうぜ」
三人が、構える。
完全体レウコイドを前にして。
飛彩、大我、貴利矢の三人は互いに目を合わせ、頷き合う。決意は固い。
「よし……行くぞ」
飛彩が低く呟くと、瞬間、光が周囲を包んだ。
「術式レベル100――」
全身から鋭い光が放たれ、圧倒的な存在感を放つ。
「第50戦術――」
背後に装置が展開され、狙いを定める目が光る。
「0速――」
「変身!!」
三人の声が重なる。
瞬間、並んだ三人の姿から戦闘力が圧倒的に上昇していることが伝わる。
ーレガシーゲーマー レベル100
ーシュミレーションゲーマー レベル50
ーレーザーターボ レベル0
――体の周囲に光が走り、次の瞬間には攻撃態勢を整えていた。
力の渦に立ち向かい、飛彩が前に踏み出す。
「俺たちで、ここで止める!」
大我は冷静に標的を見据る。
貴利矢は攻撃角度を確認する。
戦場の空気が張り詰め、
戦闘の火蓋が切って落とされた――
レウコイドと、三人の戦いが激突する。
飛彩が先に動いた。
地を蹴る。
一瞬で間合いに入り込む。
「はぁっ!」
光を帯びた剣が、一直線に振り抜かれる。
赤い渦が弾ける。
同時に――
大我の銃撃。
連射。
飛彩の斬撃に合わせ、同一点へ弾丸を叩き込む。
衝撃が重なる。
渦が、大きく揺れた。
「よし……!」
貴利矢が踏み込む。
その隙へ、滑り込むように。
「そこだ!」
鎌が旋回する。
渦の内側へ、深く斬り込む。
三人の連携。
完璧なタイミング。
一瞬――
赤い光が、乱れた。
「今だ、押し切れ!」
飛彩が叫ぶ。
さらに踏み込む。
剣が連続で閃く。
大我も撃ち続ける。
「逃がさねぇ!」
貴利矢が回り込む。
退路を断つように。
「囲んだぞ!」
三方向からの攻撃。
完全に、捕らえた――はずだった。
だが。
「……遅い」
低い声。
次の瞬間。
レウコイドの腕が、わずかに動いた。
それだけで。
ードンッ!!
衝撃が爆ぜる。
「ぐっ……!」
飛彩が弾かれる。
剣ごと押し返される。
「なにっ……!?」
大我の弾丸が、弾かれる。
軌道が逸れる。
「嘘だろ……!」
貴利矢の鎌が止まる。
まるで、見えない壁に阻まれたかのように。
レウコイドは、動いていない。
ただそこにいるだけで。
三人の攻撃を、すべて受け止めている。
「まだだ……!」
飛彩が踏みとどまる。
再び斬りかかる。
「はぁぁっ!」
大我も叫ぶ。
「押し切れ!」
貴利矢も続く。
「いけっ!」
三人の攻撃が、再び交錯する。
閃光。
衝撃。
爆発。
今度こそ――
そう思った瞬間。
赤い渦の奥で、光が揺れた。
「……っ」
飛彩の直感が告げる。
まずい。
「下がれ――」
言い終わる前に。
渦が、膨れ上がった。
「来るぞ!」
大我が叫ぶ。
次の瞬間。
圧倒的な衝撃波が炸裂する。
「うわああっ!?」
三人の体が、一斉に吹き飛ばされる。
床を転がる。
壁へ叩きつけられる。
武器が、手から離れる。
光が砕ける。
変身が、解除される。
「ぐっ……!」
呼吸が乱れる。
体が、動かない。
それでも。
飛彩は顔を上げる。
レウコイドを見る。
その姿は――
変わらない。
無傷。
圧倒的。
「……っ……」
完全に、力の差を見せつけられていた。
その中で。
レウコイドが、ゆっくりと歩き出す。
「……もう終わりか」
赤い光が揺らめく。
低い笑いが響く。
「だが、楽しませてもらった」
三人は動けない。
ただ、睨むことしかできない。
レウコイドが、視線を上げた。
「そして――」
わずかな間。
「聞かせてやろう、宝生永夢」
その言葉に。
飛彩の表情が変わる。
「……まさか」
次の瞬間。
赤い光が弾けた。
レウコイドの体が、宙へ浮かぶ。
一直線に――
病室の方向へ。
「待てっ……!」
飛彩が叫ぶ。
だが、動けない。
大我も、貴利矢も。
指一本、動かせない。
赤い光が、遠ざかっていく。
――最悪の展開が、始まろうとしていた。
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