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『笑っている君が、一番心配だった。』
「気づいてる」
一番心配だった。』
第19話「気づいてる」
翌日
昼休み
6人はいつものように机を囲んでいた。
ぷりっつ「なぁ!今日こそ放課後ゲーセン行こうや!」
まぜ太「またかよ。」
ぷりっつ「ええやん!」
けちゃ「僕行きたい!」
ちぐさ「俺も!」
あっと「じゃあ行く?」
あっきぃ「うん。」
みんなが楽しそうに話している。
ちぐさも笑っている。
でも――
あっきぃ「……。」
あっきぃは、ちぐさを見ていた。
放課後
6人で廊下を歩いている。
けちゃ「早く行こー!」
ぷりっつ「走ったら危ないで!」
けちゃ「ぷりちゃんに言われたくない!」
まぜ太「確かに。」
ぷりっつ「なんでや!」
みんなが笑う。
そのとき。
ちぐさが少し遅れた。
あっきぃ「ちぐちゃん?」
ちぐさ「……あ!」
あっきぃ「どうしたの?」
ちぐさ「ごめん、ちょっとぼーっとしてた。」
あっきぃ「……そっか。」
ちぐさ「ほら、早く行こ!」
ちぐさが先に走っていく。
あっきぃ「……。」
あっきぃはその背中を見る。
ゲームセンター
けちゃ「これ欲しい!」
ぷりっつ「取ったるわ!」
まぜ太「絶対無理だろ。」
ぷりっつ「見とけ!」
UFOキャッチャーに夢中になる4人。
その少し後ろで――
ちぐさが一人で立っていた。
あっきぃ「ちぐちゃん。」
ちぐさ「ん?」
あっきぃ「これ、一緒にやらない?」
あっきぃがゲームを指差す。
ちぐさ「……。」
ちぐさは一瞬迷う。
ちぐさ「うん!」
2人でゲームを始める。
しばらくして。
ちぐさ「あっきぃ、そこ!」
あっきぃ「ここ?」
ちぐさ「そうそう!」
景品が取れる。
ちぐさ「やったぁ!」
あっきぃ「取れたね!」
ちぐさが嬉しそうに笑う。
ちぐさ「……楽しいね。」
あっきぃ「うん。」
でも。
笑顔のあと。
ほんの一瞬だけ。
ちぐさの表情が曇った。
あっきぃは見逃さなかった。
帰り道
5人が前を歩いている。
あっきぃとちぐさが少し後ろを歩く。
あっきぃ「……ちぐちゃん。」
ちぐさ「ん?」
あっきぃ「昨日さ。」
ちぐさ「……?」
あっきぃ「何か言おうとしてたよね。」
ちぐさの足が止まる。
ちぐさ「……。」
あっきぃ「クレープの前。」
ちぐさ「……あー。」
ちぐさは笑う。
ちぐさ「気のせいじゃない?」
あっきぃ「……。」
ちぐさ「本当に何でもないよ。」
あっきぃ「そっか。」
あっきぃはそれ以上聞かなかった。
少し歩いてから――
ちぐさ「……あっきぃ。」
あっきぃ「ん?」
ちぐさ「俺さ。」
あっきぃ「うん。」
ちぐさ「……もし。」
ちぐさが立ち止まる。
ちぐさ「もし俺が、みんなに言えないことを抱えてたら。」
あっきぃは黙って聞く。
ちぐさ「……どうする?」
あっきぃは少し考える。
そして。
あっきぃ「待つ。」
ちぐさ「……え?」
あっきぃ「ちぐちゃんが話せるまで。」
ちぐさ「……。」
あっきぃ「無理やり聞いたって、ちぐちゃんが苦しくなるだけでしょ。」
ちぐさの目が少し揺れる。
あっきぃ「だから、待つよ。」
ちぐさ「……そっか。」
あっきぃ「でも。」
ちぐさ「?」
あっきぃ「一人で抱え込まなくていいってことだけは、覚えてて。」
ちぐさは俯く。
ちぐさ「……うん。」
小さな声だった。
けれど。
今までより少しだけ素直だった。
前を歩いていたけちゃが振り返る。
けちゃ「あっきぃー!ちぐー!早くー!」
ちぐさ「今行くー!」
あっきぃとちぐさは、みんなのところへ走っていく。
ぷりっつ「遅いで!」
まぜ太「置いてくぞ。」
あっと「待ってたよ。」
ちぐさ「ごめんごめん!」
笑い声。
その中で。
あっきぃは思っていた。
あっきぃ(……ちぐちゃん。)
あっきぃ(俺たちは、ちゃんと気づいてるよ。)
あっきぃ(だから――。)
あっきぃ(いつか、話してくれたらいい。)
その日が来るまで。
あっきぃは、何も聞かずに隣を歩いた。
――第19話・終わり。
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コメント
3件
あっきぃの「待つ」って言葉、めっちゃグッときた😭💕 無理に聞き出さずに隣にいてくれる存在、尊すぎる…。 ちぐさが一瞬見せた曇った表情も気になるし、笑顔の裏に何か隠してそうで胸がきゅってなったよ。 みんなでわちゃわちゃしてる空気との対比がまたエモいね。次が気になりすぎる〜!