💚side
行きつけのカフェで目黒と待ち合わせをしている。酒にしようか迷ったけど、アルコールに強いわけではないからとりあえずお茶にした。
先に席に着いて、めめを待ちながら冷たいカフェオレを飲んでいると、スマホが振動した。
💚「翔太…」
想い人からのメッセージなので、思わず頬が緩んだ。
そう。
わざわざ忙しいスケジュールの合間を縫って目黒を呼び出したのは、翔太のことを相談したかったからだ。今度、2人で水族館に行くところまでは決まったんだけど…。
🖤「お待たせ。思ったよりちょっとかかっちゃった」
目黒は、額の汗を拭きながら現れた。夏を前にして、毎日暑い。もう夕方だというのに陽射しが残っている中少し歩いて来たらしい。
もはやスターと言っても過言ではない目黒は、意外と人の目には無頓着で、街をぶらぶら歩いたりもする。もともと散歩が好きみたいだし、今日もそんな気分で外を歩いて来たのだろう。
🖤「で、相談って何」
近づいて来た店員に淀みなくアイスコーヒーを注文すると、目黒は俺に正対した。
真っ直ぐ見るとその顔面にまず圧倒される。美しく整った顔立ちは、今までの人生、恋愛で不自由したことなんかないだろうと思わせた。
それでも一番近しいメンバーの俺でも目黒の浮いた話は聞いたことがない。過去は色々とあったのだろうが、おそらく今、彼に特定の相手はいないのではないかと俺は思っていた。
💚「ちょっと聞きたくて。目黒って、翔太と仲良いよね」
同じメンバーでもたくさんいると、個々に適度な距離感が生まれる。翔太と俺も仲がいいが、目黒と翔太は家も行き来する仲だし、もしかしたら翔太のプライベートについて聞けるかもしれない。
🖤「しょっぴー?仲良いよ。喧嘩でもした?」
揉め事の仲裁を頼まれるのかと目黒が思考を巡らせ始めたので慌てて手を振る。
💚「してないよ笑。そうじゃなくて、今度翔太と水族館行くんだけど」
🖤「……へえ」
目黒の相槌がワンテンポ遅れた。
その意味を俺はその時には気づかなかった。
🖤side
阿部ちゃんに急に呼び出されて、カフェの近くまで来た時、一緒に歩いてたしょっぴーがスマホを取り出して何かを打ち込み始めた。
🖤「何?急ぎの連絡?」
💙「そういうわけじゃないけど…」
メッセージを送ると、しょっぴーが笑顔で悪い、と言い、また隣りを歩き始めた。
俺は幾分、つまらない気分になって、しょっぴーの手を握った。
💙「ばか、やめろ。子供じゃないんだから」
しょっぴーが恥ずかしがって、手を離そうとするけど離してやらない。ファンらしき女の子たちが時々ちらちら俺たちを見てるけど気にしない。
俺はしょっぴーが好きだ。
💙「あーもう。子供還りだな」
しょっぴーは諦めたように握られた手から力を抜いた。俺はしょっぴーに好きな人がいることを知っている。知っていて、こうしている。
幸いにも俺の気持ちはこの鈍感な親友にはバレていなかった。
🖤「着いた」
阿部ちゃんの待つカフェの真ん前で、小さく言うと、それが合図かのようにしょっぴーが手を離す。
💙「んじゃ、またなめめ」
何の未練もなく颯爽と立ち去って行く後ろ姿を寂しい気持ちで見送る。一つため息を吐いてから、俺はカフェのドアを潜った。
コメント
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あーらま三角関係??
おっと〜💦 今回はめめあべはライバルなのか?🤭💖
調子に乗りましたw 頑張って書きます💙