attention
※ちゅだ好きが書いてる
※太中太 接吻してる
※中が太をハニーと1回だけ呼ぶので苦手な方注意
※短い
2月14日。バレンタインデー。
世の男子がざわめく、忙しい日である。
数多の女性から猪口冷糖を貰い、暫くは猪口冷糖を見たくないと思っていた太宰も、内心期待で溢れていた。
(まぁ、中也のことだし何かしら持ってるでしょ。用意してなかったら中也の葡萄酒でも飲も)
段ボールに詰められた猪口冷糖を家に置いてから、中也の家へと向かう。
―ピーンポーン
御行儀良く呼鈴を押すが、反応は無い。中也が中に居るのは確認済みだ。
真逆寝落ちでもしたのか?そんな事を思いながら、いざと言う時の為に入れて置いたヘアピンでかちゃりと扉を開ける。
扉を開けた途端、ふわりと少しだけ甘い匂いが鼻を擽った。
今日嫌という程嗅いだ猪口冷糖程甘ったるくない。
(ビターチョコ…? 何だ。中也ったらそんな所まで気遣える様になったの)
居間へと繋がる扉を開けると、中也がやけに大きい腰掛に座っていた。
「げっ。手前…勝手に入って来てんじゃねぇよ」
「呼鈴は鳴らしたよ」
開かれたパソコンに、横に置かれた資料。仕事を持ち帰りでもしたのだろう。太宰には、そこまでして書類仕事をする利点が全く感じられないが。
少し苦味を帯びた匂いを発していた物を、中也がパクリと口にする。
「…は?」
「ア?」
九個に仕切られた箱の中に入っている、ほんのりと粉砂糖がかかった、美味しそうな猪口冷糖。市販品の様にも思えるが、箱が所々粉砂糖で箱が汚れているところを見る限り、手作りだ。
真逆、中也が猪口冷糖を貰ったというのだろうか。
「中也、君…猪口冷糖を貰えたとでも言いたい訳?」
「はぁ?」
溜息混じりに出た呆れた声を、遮って、中也の口に接吻を落とす。
舌を捩じ込むと、少し溶けかけた猪口冷糖が、太宰の舌に甘さも苦さもを伝える。 中也の口は、何処を味わおうにも甘さばかりがあった。
貪り食らいつく様な接吻に満足し、口を離すと肺に入れた空気が少し冷たく感じた。
「…犬は猪口冷糖食べちゃ駄目なのだよ」
「じゃ、手前が全部食えよハニー。どうせ最初から手前の為に用意したもんだ」
「有難く全部頂くよ」
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