テラーノベル
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なぜか乗り気の隊長達。
隊員がまばらに散っていた訓練場の中央当たりに、半径数十メートルほどの空間が開く。
自然と隊長2人を囲むように隊員が距離をとった結果である。
「こういうのは久しぶりだな、鳴海」
「久しぶりかどうかなんて関係無い。ボクが勝つ」
その中心に立つ二人の表情と気配を見て、誰もが理解した。
これは訓練という名の実戦だと。
鳴海vs亜白。
試合開始!
長引くと誰もが予想したこの勝負。
初っ端から大技を繰り出した亜白によってあっという間に試合が終わりを告げる。
鳴海に距離を詰められる前に。
例のトチ狂った火力の空砲。
鳴海は間一髪で避けたが、鳴海の背後の建物。
距離こそ何十メートルもあるのにもかかわらず、ガラスが何枚か砕け散った。
これはマズいと保科が中断に入る。
「そこまで。…亜白隊長これ事後報告になんて書けばええんですか」
「おい保科!まだ決着はついてないだろ!」
「建物に実害出てる時点で止めんのが僕の仕事です」
怒る鳴海を冷静に鎮める。
「ふん…まぁいい。次はお前だ。保科」
「まだやるんですか隊長」
保科はマジかよコイツ…みたいな目をする。
結局、上司2人がやったんだから自分もやらなあかん的な空気に折れ、やることが決定した。
さっきの大火力砲撃みたいな広範囲攻撃を警戒し、隊員が更に双方から距離をとる。
部隊関係なく固唾を飲んで見守る展開。
緊迫した2人の間。
保科vs鳴海の試合が始まった。
先ほどの火力勝負ではなく、今回は技術で勝負が決まるようだ。
互角の実力。
少なくとも隊員にはそう見えた。
おそらく、異変に気づいたのは鳴海だけだっただろう。
(浅い…?)
保科のわずかな踏み込みの浅さ。
最もよく観察していた人間だからこそ気付ける程度。
保科の模擬刀の切っ先が数ミリずれた。
いつもなら余裕でかわす攻撃をギリギリで躱す。
普段はもっと無駄のない動きをする。
誰も気づかない。
こんなの、普段の保科を知らなければ分からない違いだ。
鳴海の目が目の前の自分を見ていないことに気づいた保科が首を傾ける。
「どうかしました?」
激しい攻防の中、言葉を交わす。
「…いや」
周りから見たら、互角に見えるのかもしれない。
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#鳴海弦
( ᐛ )
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本人は、いつも通りのつもりなのかもしれない。
ほんのわずかに鈍った保科。
保科が一番得意なはずの、間合いを見誤った。
揺らぎの全く見られなかった足取りが大きくブレる。
「…ぁ」
いくつも積み重なった小さな隙が、カバーしようのない大きな隙に変わった。
とん。鳴海の模擬銃剣が保科の首筋に寄せられた。
どっと隊員が湧いた。
「さすが鳴海隊長!」
「…条件が違えば勝負はわからないからな!?」
「落ち着けお前ら」
双方を称える拍手。
普段なら、『いやぁ、負けましたわ〜』などと言って即茶化す保科が固まったままだった。
鳴海が武器を引く。
「保科…保科!」
声をかけられたことで我に返った保科がはっと息を吐く。
「はい…何でしょう」
その声にはかすかな息切れが混じっていた。
「お前、」
声をかけようとした時。
タイミング悪く、長谷川が近づいてきた。
「おい鳴海!派手にやりすぎだ」
ハリセンでしばかれるまでのワンセットの間に、保科はふらっと姿を消していた。
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