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あれから数ヶ月、部活に入っていなかったおかげで、手話教室は火・木・日と行くことができた
さらにそのほかの日のラウールの指導により、なんとか、手話で日常会話ができるようになった
でも、まだまだ分からないところがあるので、そこは教えて貰ったりしている
でも、スマホをほとんど使わず、ラウールと会話が出来ていること
やっと、1つの夢が叶えられた
初めて抱いた夢が、叶えられた
それだけで、十分良かった
でも、俺にはもう1つ夢がある
手話通訳士になること
手話通訳士として、生きていきたいと、願った
願った以上は、叶えたい
今日も、ラウールといつもの喫茶店で手話の練習をする
喫茶店のドアを開けると、ラウールはまだいなかった
いつもの席に座り、ラウールを待つ
最近、ずっと喫茶店に通いつめているので、店主のお兄さんに顔と名前を覚えられてしまった
23歳の、澪弥(れいや)。最近店を継いだそうだ
俺らにも、お兄ちゃんのように接してくれて、俺らも今はタメ口で喋れる
明るめの茶髪で、優しく響く低めの声
笑った顔が、何より幸せそうな人だった
「お、涼太!いらっしゃい」
「こんにちは〜」
俺らのことは、もう呼び捨てだ
でも、長男として育ってきた俺からすれば新鮮で、なんだかくすぐったかった
ラウールの耳のこと、俺の夢のことなどは全部知っている
「珍しいじゃん。涼太のほうが早いなんて」
「初めてかも笑」
「ラウすご!」
そう、ラウールはいつも俺より早く来て学校の課題をやっている
今日は学校が長引いただけだろう
そんなことを思っていた
数十分、話していた
突然、外から何かがぶつかったような、大きな音と悲鳴が聞こえた
「なんだ…ッ?」
澪弥は焦ったように小走りで外に出る
俺も、澪弥に続く
外の光景を見た俺は、固まった
何も、見えなくなった
俺の目の前を、真っ赤な車が物凄いスピードで走っていった
「あいつかッッ……!」
澪弥は、車を追いかける
でも、人間が猛スピードの車に追いつけるはずもなく
澪弥は少し息を切らして戻ってきた
「涼太、中に入ってろ」
俺は、動けなかった
道路に、横たわっている人物に、釘付けだった
その人物の周りには、赤黒い液体が飛び散っていた
銀色の、美しい髪にも、赤黒い液体がついてしまっている
信じたくない、そんなわけが無い
でも、俺の目が、記憶が、本能が___
___そうだと言っている
やめてくれ、俺から、奪わないでくれ
いつもは神様なんて信じないけど
俺が、何をしたのか
何をしたら、こんな仕打ちになるのか
神様、お願いです
彼を、彼を、
死なせないでください__
俺は、まだ、何も出来ていない
お願いします、
どうか、どうか_______
遠くで救急車のサイレンが鳴り響く
段々近づいてくるその音に、俺は、耳を塞ぎたくなった
でも、催眠術にかけられたように
手が、上手く動かない
耳を塞げない
瞬きすらもできない
俺は、咄嗟に叫んだ
「ラウール!!!!」
俺は、ラウールに駆け寄った
「おい、涼太!!」
澪弥が止めるけど、気にしない
俺はラウールの近くで、ラウールに向かって叫ぶ
「死ぬな!!ラウール!!」
「ラウール!!!!」
俺は、俺は、まだ、ラウールとやりたいことが出来ていない
約束したじゃんか、
手話で、話そうねって
俺が、手話を全部覚えて、ラウールと、会話しようねって
そしたら、俺、伝えようと思ってたのにな…
なぁ、伝えさせろよ
先に、俺より先に逝くなんて、
許さねぇからな、
「ラウ……ル」
涙が、どんどん溢れる
救急隊員らしき人が、俺をラウールから引き離す
「ラウール!!!!」
俺は、叫んだ
やめてくれ、やめてくれ、
離せ、俺を離せ
ラウールのところへ、いかせてくれ
「涼太、落ち着け」
気づけば、すぐ耳元で澪弥の声がした
低くい中に、優しさを感じる声
それは、荒ぶった俺の心の中を、落ち着かせた
「大丈夫だ、ラウールは、絶対無事だ」
大丈夫、と繰り返す澪弥の声も、少し震えている
怖いのだろう
今まで、弟のように接してきたラウールが、いきなり、こんなことになるなんて
俺は、澪弥に抱きしめられていた
俺は、声を殺して泣いた
澪弥は、黙って俺の背中をさすってくれた
『はいオッケー!』
「あ”ーーー」
「どうした涼太」
「これ絶対明日目腫れる」
「……覚悟しとけ」
「翔太ってこんな冷たかったっけ」
さっきまで涙腺コルクぶち抜いて泣いてたから明日目が腫れる自信がある
そして翔太にヘルプを求めてもこんな様
酷くないですか?
一応恋人なんですけども??
え??
は??