コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
──夜遅い社内で、私はひとり残業をしていた。
チーフの銀河にあんなことを言われ、悔しさも手伝って、意地でも自分でなんとか意見をまとめてみるつもりだった。
そこへ、ふらりと当の銀河がやって来た。
私の姿を見つけると、まっすぐに近寄ってきて、
「なに? まだ仕事してたの?」
そう軽い調子で声をかけてきた。
「……仕事してたら、いけませんか?」
顔も見ないで聞き返す。
「別に、いけなくはないけどさ……知ってる? 仕事って、早く終わらせるのも、仕事のうちなんだよ」
「くっ…」と、思わず悔しげな声がもれる。
苦い思いがいっそう喉元を込み上げて、でもそれを言葉にすることもできずに、
「そんなこと、わかってます……」
とだけ言い、私は唇を噛みしめた。
「わかってんなら、いらない仕事で残業とか、しなくていいんじゃん?」
「い…いらない仕事って、なんですか?!」
怒りが抑え切れずに、キッと銀河の顔を睨んだ。
「そんなにすぐ怒るなって、言っただろ。まぁ、怒った顔もかわい……」
瞬間パンッと、平手で銀河の頬を張った。
「ちぃ……いきなり叩くとか、どういうことなんだよ…」
頬に手をあてる銀河に、
「謝りませんから……」
悔しまぎれな一言を浴びせた。
「そっかよ…別に謝ってくれとは言わないけど……でも、この痛みの代償は、もらうから…」
言ったかと思うと、私の顎をつかみいきなりキスをしてきた。
「何…するっ…」
あまりのことに驚いて、イスを立ち、後ずさる私に、
「逃がさねぇよ…」
と、銀河が低く言う。
「や…やめて…よ…」
壁ぎわに追いつめられると、これ以上の逃げ場を奪うように、銀河が私の顔の横に片手をついた──。