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めかぶぷりん
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#SnowMan
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オープニングセレモニーが終わって開門するなり、佐久間、向井、ラウールの三人の後に続いて、岩本、深澤、宮舘もエントランス・プラザへと足を踏み入れた。
噴水に湖に、その奥に見える天耀宮エルセリオン。その大きさに圧倒されていると、佐久間の元気な声が聞こえてくる。
🩷「うわ! あれすげえぞ!」
🧡「ほんまや! めっちゃぐるんぐるんしとる!」
🤍「ヤバーい! めっちゃ楽しそう!」
🩷「よっしゃ、行くぞー!」
🤍「オー!」
佐久間を先頭に、向井とラウールも勢いよく走り出してしまった。
💛「お前ら! 人に迷惑かけるなよ! って、もういないし」
💜「まあ、この雰囲気で遊園地で、あいつらが大人しくしてるはずないわな」
❤️「いいんじゃない? ラウールもついてるし、あんまり無茶なことしないと思うよ」
💛「だといいけど」
💜「子ども組のことは置いといて、俺らも今日はのんびり楽しもう」
❤️「せっかくだしね」
💛「じゃあ、どっから行く?」
💜「右側のエリアでいんじゃね? 佐久間達も行ったし、見ながら決めてこうよ」
❤️「そうだね」
三人はそのまま右側のエリアへと足を向けた。
特に行き先を決めているわけでもなく、目についたものを眺めながらのんびりと歩いていく。
右側には、先ほど佐久間たちが駆けていった高速回転するアトラクションをはじめ、派手な乗り物がいくつも集まっていた。時折聞こえてくる大きな歓声や悲鳴に目を向けることはあっても、三人の足がそちらへ向かうことはない。
代わりにフードワゴンを覗いたり、通り沿いのショップに立ち寄ったり、湖の向こうに見えるエルセリオンを眺めたり。気になるものがあれば足を止め、また歩き出す。
そうして右側を気ままに散策しているうちに、いつの間にかパークの端の方まで来ていた。
💜「お。あれ、なんだろ」
深澤が足を止める。
少し先に見えたのは、幾重にも重なった壁は波打つような曲線を描き、所々に嵌め込まれた縦長の窓には金色の装飾が施されている白の建物。建物の正面や周囲には濃い青の旗が幾つも掲げられ、白を基調とした外観の中でよく映えていた。
入口へと続く道の脇には剣や盾を模した装飾が置かれ、その頭上には《WONDER PAVILION》の文字が掲げられていた。
💛「なんか凄いな、ここ」
💜「入ってみる?」
❤️「いいんじゃない?」
重厚な木製の扉を潜ると、外から見た印象そのままの、冒険者ギルドを思わせる空間が広がっていた。
石造りの壁と太い木の梁。壁には剣や盾、古びた地図が飾られ、天井から吊るされた照明が暖かな光を落としている。正面には長い木製のカウンターがあり、その奥には大小様々な瓶や巻物、革張りの本が所狭しと並んでいた。
壁際には依頼書らしき紙が何枚も貼られた掲示板まである。
💜「うわ、すげえ」
それまでのんびり歩いていた深澤の足が、ここに来て初めて止まった。
💜「何ここ。めっちゃいいじゃん。めっちゃゲームってか、ギルドだね」
💛「ふっか好きそうじゃん」
💜「冒険者ギルドとか憧れるだろ! けっこう、細かく作り込まれてるし、超テンション上がるわ」
掲示板を覗き込み、壁に飾られた剣へ目をやり、今度はカウンターの奥へ視線を向ける。先ほどまで「見ながら決めよう」と気ままに歩いていた人とは思えないくらい、あちこち忙しなく見回していた。
受付カウンターから、男性キャストが話しかけてくれる。
どうやらここは、冒険者になってこの先でいくつかの選択を行い、その結果から自分の職業や性格を診断してもらえるらしい。最後には冒険者の証として鍵も受け取れるという。
どうせだからやってみよう、ということで扉の中に入ると、すぐに一人ずつに分かれ、それぞれ設問に答えていった。
最終地点の天空エリアで鍵とカードを受け取り、三人は揃って外へ出た。
💜「いやぁ、かなり映像も細かく作り込まれてたね。あの光が導いてくれる感じもね、良かったね、うん」
💛「質問内容も、結構、面白かった。冒険者ってこういう選択を迫られてるんだなって」
❤️「そうだね。滅多にできない経験だったと思う」
💜「二人とも、診断結果なんだった? 俺は勇者! 『自由な発想で進みながら、必要なときには進むべき方向を見失わない』だって」
💛「ふっかっぽいじゃん。俺は騎士。『強い信念と情熱を持ち、責任を背負って仲間を守る』」
💜「めっちゃ照じゃん。舘さんは?」
❤️「賢者。『冷静に物事を見ながら、人への深い思いやりを持つ』だって」
💜「え、凄くない? めちゃくちゃ当たってんじゃん。カードも凝ってるし、なにより鍵だよ。冒険のアイテムっぽくていい」
「ワンダーキーのカスタム、していかれませんか?」
そうして話していると、キャストの女性に話しかけられた。先ほどの受付のギルド職員のような衣装とは違い、こちらの衣装は鍛冶屋のよう。
💜「カスタム?」
「はい。そちらのワンダーキーは、そのままでももちろんお持ち帰りいただけますが、こちらのアクセサリー工房でご自分だけのオリジナルキーが制作できます。たとえば、こちら」
そう言って女性キャストが取り出した鍵は、今、深澤たちが持っているシンプルな装飾の施された銀色のものではない。ガラスでできたような妖精の羽と王冠がつき、クローバーのチャームが揺れている鍵だった。
「こちらは簡単にパーツをつけただけのものですが、印象は変わるかと思います」
❤️「確かに。これだけでも全然違うね」
「パーツは各種ご用意してますので、お好きなようにカスタマイズしてみてください」
好きに作れると聞いて、見本を見て興味が湧き、すぐに隣の工房に入って行った。
多種多様なパーツが置かれた、RPGに出てくるアクセサリーショップのような工房に、深澤はもちろん、岩本と宮舘も目を輝かせる。
それからは思い思いのパーツを手に取っては席に戻って取り付け、また新しいパーツを探しに行く。それを何度か繰り返した。
作業に没頭する岩本と宮舘を横目に、さくっと終わってしまった深澤は工房内を見て回る事にした。壁一面に飾られているのは、診断結果の職業一覧。そこには職業名と、その職業を連想させるアイテムが描かれ、その下にはその職業をイメージした説明文もついている。
💜「おお、結構、凝ってんなー。職業パーツっていうアクセサリーあったもんな。俺もそこから剣選んじゃったけど、やっぱ自分の職業だって思うと愛着わくし、付けたくなっちゃうよ。パーツによって質感とかも全然違うし。照も舘さんも、こういうのはとことん凝るからなぁ。完成、楽しみだ」
しばらく工房の装飾を眺めて楽しんだあと、二人の方へ視線を向ける。どちらも手が止まっていたので、深澤は席へと戻った。
💜「どう? できた? うわ、めっちゃ凄いのできてる」
宮舘の手の中にある鍵は、深い青と真珠色が溶け合う宝石を囲うように蔓が絡み、上には黒銀の薔薇が咲いている。柄には小さな赤い石が散りばめられ、鎖の先には薔薇をあしらった小さな本まで下がっていた。銀と金でまとめられたそれは、まるで王家に伝わる宝物のようだ。
❤️「うん、いい感じ」
一方の岩本の鍵は、透明と深い赤が溶け合う宝石を中心に、小さな城や花、王冠が所狭しと飾られている。柄にはコンパスが嵌め込まれ、星と赤い宝石のチャームまで揺れる、可愛らしくも冒険心をくすぐる鍵に仕上がっていた。
💜「照のめっちゃ照っぽい。可愛くしたねー」
💛「こういうのは、好きなものにした方がいいだろ」
💜「そりゃそうだ。真ん中の宝石の色とも合ってんじゃん」
💛「ふっかのは?」
💜「俺のはこれ」
深澤の鍵は、青と金色が溶け合う宝石の両側に、細身の剣と鋼の羽根を添えたもの。二つの飾りは円環に沿って自由に動かすことができ、まさに勇者の武器を思わせる仕上がりだ。
❤️「ふっか、勇者に寄せたね」
💜「そう思ってたわけじゃないんだけどねー」
作った鍵を見せ合い、満足した三人は、出口付近でキラキラと仄かに輝く加工をしてもらうとワンダー・パビリオンを後にした。
思っていた以上に時間を使っていたらしく、時計を確認すればちょうど昼時。三人は近くのレストランに入り、しっかりと昼食を取ってから再びパークへと戻った。
特に次の行き先を決めることもなく、通り沿いに並ぶショップを覗きながらのんびりと歩いていく。気になるものがあれば足を止め、また歩き出す。そんなことを繰り返しているうちに、いつの間にか大時計塔も随分と近くなっていた。
ゴーン、ゴーン……。
💛「あ、この音、大時計塔か」
💜「なんか、鐘の音の後にシャラシャラ聞こえない?」
❤️「……あ、ホントだ」
💜「何の音なんだろ」
💛「気になるなら行ってみる? 次、別に決まってないしさ」
💜「じゃあ、行こっか」
鐘の音が聞こえてきた方へ向かって歩いていく。
少しすると、周囲の建物の向こうから、エントランス・プラザでも目にしていた大時計塔が姿を現した。
近くで見ると、その大きさは遠目に眺めていた時以上だ。淡い石造りの塔には金属の装飾が随所に施され、遥か上には巨大な時計盤。そのさらに上に、先ほど荘厳な音を響かせていた鐘楼がそびえている。
💛「近くで見るとおっきいな」
❤️「時計も相当大きいね」
💜「あの鐘、一番上だ。あそこまで外階段みたいなの続いてるね」
💛「上まで行く?」
💜「あの音の正体さ、気になんない?」
❤️「なるね」
💛「じゃ、行くか」
三人で塔の正面へ回る。
大きく開かれた入口の向こうには、外観から想像していた石造りの塔とは少し違う光景が広がっていた。
壁の内側を這うように大小さまざまな歯車が組み合わされ、その間を細い軸や振り子が上下左右へ伸びている。ゆっくりと噛み合って回る歯車からは、カチ、コチ、と規則正しい音が絶え間なく響いていた。
💜「うわ、中すごっ」
❤️「時計の中に入ったみたいだね」
💛「これ全部、動いてんの?」
深澤が近くの歯車を覗き込みながら、その先へ視線を辿っていく。
どうやら内部そのものが巨大な時計機構を模した展示になっているらしい。
少し先には上階へと続く階段があり、その途中にも大小さまざまな歯車が配置されている。
ただ眺めるだけの展示ではないらしく、壁際には触れることのできる歯車やレバー、振り子などもあり、それぞれを動かすと離れた場所にある別の機構が連動して動くようになっていた。
💜「あ、これ回したらあっち動く」
❤️「ほんとだ。全部、繋がってんのかな」
💜「面白れー」
一つの歯車を回せば、その隣が動き、さらにその先へ。目で追っているうちに、気づけば視線はずっと上まで伸びている。
時計の仕組みを辿るように歩いて行くと奥には、更に上へと続くエスカレーターが伸びていた。側面は透明なガラスで覆われ、その向こうでは大小の歯車がゆっくりと噛み合いながら回っている。段差が一段上がるたび、歯車もカチリ、カチリと連動して動き、まるで巨大な時計機構そのものに運ばれているようだった。
時計機構の薄暗い内部を上っていたのに、上端へ着いた瞬間に昼の光が差し込んで、目の前にルミナシアパークと中央湖が広がる。
そこからは透明なガラスに覆われた外階段が、塔の外周をぐるりと囲むように取り付けられていた。
💜「うわ、景色すご」
❤️「結構、高いとこまで来てたんだね」
足元まで透明というわけではないものの、外側を覆う壁がすべてガラスになっているため、階段を上るにつれて少しずつ景色が変わっていく。
中央の湖、その向こうに聳える天耀宮エルセリオン。先ほどまでいたワンダー・パビリオンも、ここからでは随分と小さく見えた。
❤️「鐘楼、あそこだ」
宮舘が見上げた先には、大きな鐘が吊るされた塔の最上部がある。
それほど長い階段ではない。景色を眺めながらゆっくり上っていくと、吹き抜ける風に混じって、微かな音が耳に届いた。
シャラ、シャラ。
💛「あ」
💜「ん?」
💛「これ。さっき聞こえてた音」
足を止めて耳を澄ませれば、確かに先ほどよりもずっと近い。
💛「やっぱ上からだったんだな」
💜「何が鳴ってんだろ」
その答えを確かめるように、三人は残りの階段を上っていった。
外階段を上りきると、ようやく鐘楼へと辿り着いた。
四方を大きなアーチで開いた空間の中央には、巨大な鐘が吊り下げられている。濃紺の柱や天井には金色の細かな装飾が施され、陽の光を受けるたびにきらりと輝いた。
💜「うわ、近くで見るとさらにデカいな」
❤️「これがあの音、鳴らしてたんだね」
鐘を見上げていた深澤の耳に、またあの音が届く。
シャラ、シャラ―――。
💛「あ、あった」
💜「何?」
💛「さっきの音。あれじゃない?」
指差したのは、鐘を取り囲むように天井から吊り下げられた、いくつもの透明な飾りだった。雫のような形をしたそれらが、吹き抜ける風を受けてゆらゆらと揺れている。
揺れるたびに光を反射し、シャラ、シャラ、と澄んだ音を響かせていた。
💜「なるほど。これが鐘の音と一緒に聞こえてたんだ」
❤️「綺麗だね」
音だけでなく、陽を受けてきらきらと輝く様子も相まって、鐘楼そのものがひとつの装飾品のように見える。
❤️「見て。景色もすごいよ」
宮舘に言われて外へ目を向ければ、眼下にはルミナシアパークが一望できた。中央の湖を囲むようにさまざまな施設が並び、その奥には天耀宮エルセリオンが聳えている。ここまで上ってきただけあって、遠くには島を囲む海まで見渡せた。
💛「ここ、いいね。風も気持ちいいし」
💜「頑張って上まで来た甲斐あったな」
❤️「ほとんどエスカレーターだったけどね」
しばらく景色を楽しんだあと、上ってきた場所とは反対側にある階段から鐘楼を下りていく。
辿り着いたのは、大時計塔の四階。
そこには、茶色を基調とした時計職人のような衣装に身を包んだ女性キャストが立っていた。腰のベルトには小さな歯車の装飾がいくつも下がり、髪にも同じ意匠の飾りが留められている。
そのすぐ横にあるのは、床と水平に設置された巨大な歯車。中央からは太い支柱が伸びているものの、周囲に壁や柵らしきものはない。
「お疲れさまでした。お帰りはこちらからどうぞ」
女性キャストが笑顔で歯車の方を示す。
💜「……これ?」
「はい。こちらの昇降機で一階までお戻りいただけます」
💜「これで下りるんだ」
深澤が興味深そうに歯車を覗き込む。
「中央の支柱の近くまでお進みください」
十人ほどは乗れそうな大きさの歯車だが、周囲を囲うものは何もない。本当に乗っても大丈夫なのかとキャストの女性を見るものの、彼女はニコッと笑っているだけだ。
三人で顔を見合わせてから、深澤から乗り込む。足元はかなり安定している。揺れもない。それから岩本、宮舘と乗り込んだ。
「中央の柱におつかまりください。危ないので、手は出さないでくださいね」
その言葉を合図にしたかのように、カチリと何かが嵌まったような音が鳴る。すると、低い駆動音とともに外周から何枚もの板がせり上がってきた。湾曲したそれらは三人を包み込むように伸び、最後には頭上でぴたりと噛み合う。
💜「おお、囲われた」
💛「外から見たら何も見えなさそうだな」
💜「でも中からは普通に見えるね」
深澤が興味深そうに目の前の壁へ手を伸ばす。
💜「これ、どうなってんの?」
指先が滑らかな表面に触れる。
その瞬間、ドームの表面を淡い光が一筋だけ走った。
❤️「お、動くよ」
宮舘の声とほぼ同時に、足元の歯車がゆっくりと下降を始めた。ゆっくりと下降するにつれ、先ほど上ってきた時計機構が今度は上から下へと流れていく。
一階に到着すると、三人を覆っていたドームが上部から順に開いていく。完全に開いたところでエレベーターを降り、大時計塔を後にした。
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