コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
宮舘Side
変な夢を見た。
森に囲まれた、古びた神社。俺は一人、その鳥居の前に立っていた。鳥居の向こう側には、美しいキュウビの姿が。何かを言っていたけれど、聞き取ることができず……俺はそのまま目を覚ました。
❤️「何だったんだろう」
よく分からぬまま洗面所に顔を洗いに行くと、思わず大きな声を出してしまった。
❤️「……えっ??!」
俺のお尻の辺りから尻尾が生えていたのだ。
❤️「な、何これ……キュウビ?」
先端が九つに分かれている尻尾。アニメや漫画で見るような、さっきの夢にも出てきていたような、イメージ通りのキュウビとそっくりだった。試しに引っ張ってみると。
❤️「いった……」
ちゃんと痛い。痛覚があるということは、俺の体からちゃんと生えているということ。
❤️「いや、意味わかんないんだけど……どうしよう、これ」
これから九人での仕事があるというのに。こんな姿でみんなと会えば……というか、外に出た時点で終わる。
❤️「でも、キュウビって妖怪だしな……」
もしかしたら、他の人には見えていない可能性もある。
気になった俺は、表向きにはコーディネートを確かめるため、本当は尻尾が見えていないか確かめるため。康二にメッセージを送ってみた。
❤️『康二、突然ごめん。これ、どう思う?』
🧡『いつも通りカッコええで!どしたん急に。普段こんなことせーへんのに』
❤️『いや、ちょっと気になっただけ。大丈夫ならいいや』
🧡『そう?ならええんやけど。じゃあ俺そろそろ家出る!また後でな〜』
❤️『ありがとう、また後で』
……見えてないみたい?これなら普通に過ごしても大丈夫そうか。でも……
❤️「なんか重いんだよな……」
❤️「お疲れ様で……えっ!!??」
スタジオの楽屋に入った俺は、今日二度目の大声をあげてしまった。
💚「うわっ、びっくりしたあ……」
🤍「舘さんどうしたの?」
💛「大声出すなんて珍しいじゃん」
❤️「え、いや……康二と、翔太……」
💜「こーじとなべがどうかしたの?」
え、みんなどうして……康二の背中には明らかに羽が生えてるし、翔太には角が生えてるし……
❤️「……疲れてるのかな、俺」
🖤「もしそうなら、無理しちゃダメだよ舘さん」
❤️「ありがと、目黒……」
俺の見間違い?でも、自分の尻尾もそうだし……偶然とは思えないんだけど。
🧡「だて、ちょっとええか?」
首を傾げながら荷物を置いた俺に、康二がそっと話しかけてきた。隣には翔太もいる。
❤️「うん、いいよ」
🧡「だても、もしかして見たん?あの夢」
💙「森の神社みたいなとこに、鬼が立ってんの」
🧡「俺の場合は天狗やってんけど……」
❤️「鬼と、天狗……いや、俺はキュウビだった」
💙「そうか……なら俺たちは、夢に出てきた妖怪の姿になってるって感じか」
びっくりだった。まさか、自分以外にも夢を見て、姿が変わっている人がいたなんて。
❤️「これ、みんなには……?」
💙「見えてないし言えない」
🧡「まあ、見えてたらすぐ言うんやけど、何も見えてないんなら言っても冗談やと思われるやろうしな……」
自分でまだこの状況が飲み込めていないのに、2人はもう冷静に考えをまとめている。すごいな、と思った。
🧡「なんか手がかり見つけないとやね」
❤️「あ、そうだ。夢の中で、キュウビが何か言ってたんだけど、2人は何か言われた?」
💙「言われてみれば口動いてたな。でも、なんて言ってるかは……」
🧡「俺もやわ。これ結構ヒントになるやろな!」
💙「ヒントどころか、答えかもな」
🧡「答え?そんなまさかぁ」
康二は笑って否定したけど、俺は翔太の考えが違うとは思えなかった。なんだか……嫌な予感が、する。
ここから数日間。俺たちは、夢の中で彼らと会うことはできなかった。
🧡「おかしいなあ。パタリとあの夢見んくなったわ」
❤️「俺も。なんでだろ……」
夢は見なくなったけど、俺たちに生えているものはずっと変わらないまま。それどころか……
💙「康二、羽デカくなってない?」
🧡「しょっぴーかって、角大きなってるやん!」
俺たちの体の変化が日に日に大きくなり続けている。康二の背中の羽もどんどん大きくなり、翔太の角も立派なものになっている。
そして俺も、
❤️「ねえ、俺耳生えたんだけど……」
尻尾だけでなく、耳まで生えてきてしまった。先が尖っているけれど、黄色い毛がふさふさとしており、我ながらとても触り心地が良い。
🧡「え、耳生えてるだて、めちゃめちゃ可愛いやん!」
❤️「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ……!」
俺の耳に興味津々な康二は私用のカメラでパシャパシャと連写し、
🧡「あ、写らへんのやった」
と独り言を呟いたかと思えば、今度は俺の耳に 触ろうとしてくる。俺は触られないようにしながら、翔太に視線で助けを求める。翔太は苦笑しながら、自分が巻き込まれないように視線を逸らした。全くもう……
❤️「このままどんどん進行したら、俺たちどうなるんだろう……ねえ、やめて康二」
🧡「ごめんごめん。フワフワそうやから触ってみたくて……ちょっとだけ、あかん?」
❤️「あかん」
俺の返事に康二はえぇ〜、と拗ねた。