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文化祭の後、🧡は少しだけ体調を崩した。
大きなヒートじゃない。
でもΩ特有の、甘くてやわらかい匂いが、いつもより濃くなる時期だった。
放課後の保健室。
カーテン越しに差し込む夕方の光の中、🧡はベッドに座っている。
「……ごめんね、🖤。呼び出して」
「謝るな」
🖤は静かにドアを閉めた。
αである🖤は、🧡の匂いにすぐ気づいた。
胸の奥がじんわり熱くなる。
でも、ぐっとこらえる。
「大丈夫か」
「うん……ちょっと、落ち着かなくて」
🧡は照れたように笑う。
Ωは、信頼しているαがそばにいると安心する。
本能的に。
「隣、いてくれる?」
小さな声。
🖤は何も言わず、ベッドの端に腰かけた。
距離はほんの少し。
触れてはいない。
けれど、🧡はほっとした顔で息を吐く。
「やっぱりさ、🖤の匂い好き」
「……やめろ」
「なんで?」
「理性が削れる」
真顔で言われて、🧡は一瞬ぽかんとしてから真っ赤になる。
「えっ、そ、そんなこと言う!?」
「事実だ」
🖤はそっと🧡の手を握る。
強くもなく、逃げられるくらいの力で。
「でも、無理はしない」
低く、落ち着いた声。
「お前が望むことしかしない」
その言葉に、🧡の胸がきゅっとなる。
「……俺、🖤だから呼んだんだよ」
「他のαじゃやだ」
空気が甘く揺れる。
🖤は一瞬目を閉じてから、🧡の額にそっと触れた。
キス、というよりも。
“約束”みたいな、やさしい触れ方。
「……それ以上は、卒業してからな」
「え!?」
「ちゃんと順番守る」
🖤の真面目さに、🧡は笑ってしまう。
「ほんと、男前なのに真面目すぎ」
「悪いか」
「ううん」
🧡は、少し勇気を出して、🖤の肩に額を預ける。
「こうしてるだけで、落ち着く」
🖤の腕がゆっくり回る。
抱きしめる、というより。
包む、みたいな距離。
「……あったかい」
「それはお前だ」
🧡の匂いが、やわらかく溶ける。
でも🖤は深呼吸して、しっかり自分を保つ。
守るためじゃない。
大事にするために。
しばらくして、🧡が小さく笑う。
「ねえ」
「ん?」
「将来さ、一緒に住んだらどうなるかな」
🖤は一瞬固まる。
「……早い」
「でも想像くらいしてもいいじゃん!」
🧡はいたずらっぽく笑う。
「朝起きたら、🖤が隣にいるの」
「俺が先に起きる」
「なんで?」
「お前の寝顔守る」
「なにそれ!」
笑い合う声が、保健室にやわらかく響く。
やがて🧡は、静かに言った。
「俺さ、番(つがい)って言葉、ちょっと怖かった」
Ωにとっては重い言葉。
一生を決めるような響き。
「でも」
🧡は🖤を見上げる。
「🖤なら、怖くないかも」
その視線に、🖤の瞳がやわらぐ。
「急がない」
「ちゃんと、お前が笑って選べる時でいい」
それが🖤の答え。
🧡は目を細める。
「やっぱ好き」
直球。
🖤は少しだけ照れながら、🧡の手の甲に唇を落とす。
「俺のほうが好きだ」
甘い空気の中、
二人はただ静かに寄り添う。
触れすぎない。
でも離れない。
αとΩという関係じゃなく。
🖤と🧡として。
これからも。
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保存して投稿してるので一気に投稿することが多くなると思います🙌