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「俺さ…カイリュウの事好きなんよね、」
「…え、?」
理解するのに、少しだけ時間がかかってしまった。
夜、仕事終わりにアルバムに収録予定の曲のコレオを考えようと、1人スタジオに篭っていた。
そこへ、忘れ物を取りに来たとランが入ってきて、そのままコレオの相談をする。
メンバーが得意とする動きを確認しようと一緒にダンプラの動画を見ながら、一人一人こういう所があるよね、と話し合っていた。
カイリュウの番が来たときだけやけに饒舌で、他のメンバーを見る目とは違う目で語るその姿に、「さすが、付き合い長いね」と何気なく言った時だった。
突然ランがそう打ち明けて、どう返そうと正直頭の中で少し悩んだところで、ランがまた口を開く。
「ごめん、急にこんなん言われても困るよね」
「…あ、いや、…なんか上手く返せなくてごめん、そうなんだ、?」
「うん…なんか、たっくんになら言ってもいいかなって勝手に思って」
「…いつから、?」
「うーん…自分でもわからんうちに、?」
「そっか…まぁ、そういうもんだよね、」
「あんま驚かんね?(笑)」
「いや、正直びっくりしたよ、?(笑)…でも、まぁ、…教えてくれてありがとう。勇気いったっしょ、?」
「いや、うんまぁね…でもなんか一人で抱えきれんくなってきたというか…(笑)たっくんに言えてよかった」
「そう、?(笑)…まぁ、聞いたからには応援するよ。なんか俺に出来ることあるなら、協力するし」
「え、本当に…?ありがとたっくん…助かる…」
ランの気持ちを共有したところで、コレオ作りを再開した。
***
今日も朝から楽屋が賑やかだ。
主な理由はリュウキで、1人マリカーをしながら「よっしゃ1位!!」とか、「あー!落ちた!!」とかデカい独り言を言いながら夢中になっている。
「カイリュウ今日さ、前言ってたとこ行こうや」
「ん?あ〜あそこね、ええで、行こか」
セイトがカイリュウに何かの約束を取り付けている。
ちら、とランを見ると、スマホを見ながらも会話を気にしているようだった。
俺から見ても、カイリュウとセイトは特別仲が良い。特にカイリュウは、セイトがいるといつもより元気になる気がする。
ココに割って入るのは、確かにムズいな。
ランの気持ちを察して、一肌脱いでやるか、なんて普段ならあまり思わないけど珍しく腰を上げセイトに近づいた。
「今日どっか行くん?」
「カイリュウが行きたいお店あるらしいねんけど、そこ行こって言うててん。あ、たっくんも行こや」
「ん?人数増えるん?」
早速予約しようとしているのか、カイリュウがスマホを弄りながらそう聞く。
「え、俺もいいの?」
「何言うてん、当たり前やん」
セイトの寛大さに甘えて、スマホを見ているランを眺めた。
「…じゃあランもいい?」
「ラン?聞いてみる?ラン〜」
「ん、?」
「今日ここと飯行かへん?」
俺とカイリュウと自分を線で繋ぎながら指をさすセイト。3人の視線がランに注がれる。
「っ…うん、行く」
「はい決まり〜カイリュウ予約よろしく!」
「はいよー4人ねー」
その後もペラペラとしゃべり続けるカイリュウとセイトからそっと離れ、ランの隣に座る。
「…良かったやん?」
「えっ…ねぇまじでありがと、、」
俺が動いた事を察したランが、こっそり嬉しそうに俺を拝んだ。
「まじで感謝しろよ?(笑)」
「うん、する…2人やないけど…(笑)」
「いや贅沢やな…それは隣に座れよ(笑)」
「隣かぁ…セイトおるからなぁ…」
「いや負けんなよ」
トン、と拳でランを叩くと、頑張るわ。と気合いが入ったようだった。
***
「あ、思ったより狭いわ(笑)」
カイリュウがそう呟く。
お店について、案内された半個室に向かうとそこは壁に面した4人掛けのソファー席だった。
「まぁ入れればええやん」
「いやお前がでかすぎんねん、2人分取るんちゃう?(笑)」
そう話しながら、そのまま隣に座ろうとするセイトとカイリュウ。
何も言わないラン。
…手のかかる奴だな。(笑)
「カイリュウ、すぐ催すから手前のがいいんじゃない?(笑)」
奥に座ったカイリュウに声を掛ける。
「おん、確かにそうやな」
どけっ!と隣に座ったセイトを1度追い出し、席を立つカイリュウ。
「じゃあ俺こっち?」
空いた奥の席に入るセイト。
すかさず、その隣に入り込む。
「え、たっくんそこ?」
「うん、カイリュウはそっちのがトイレ近いでしょ?セイトとランが隣は狭いだろうし」
「おん、まぁ、そうか、そうやな」
納得した様子のカイリュウが、じゃあランそっち座れ、とランを押して奥に座らせ、その隣に座った。
「何食べる〜?お、これ美味そうやな〜!」
「なんか有名なやつあんねん、それ頼も!」
セイトがメニューを見ながら呟いているところに、カイリュウも反応する。
2人がメニューに夢中になっている中ランを見ると、隣にした事を感謝しているのか、”ありがとう”と嬉しそうな顔で口パクしながら俺に伝えてきた。隣にしたんだから頑張れよ、と思いながらニコッと口角を上げた。
「え、なにこれ?めっちゃ美味そうなんあるやん!」
カイリュウが好みの物を見つけたのか、グイッとランに近づいてメニューを見る。
硬直するラン。傍から見ている分には面白くて笑いそうになる。
「あ、これラン好きなやつちゃう?」
「えっ?」
「好きやろ?」
近づいたままメニューを指さして、ランの方を見るカイリュウ。
「う、うん、…好きやで、?」
カイリュウを見ながらそう言うランの顔はほんのり赤い。カイリュウは全く気付かず、せやろ?と笑った。
お前、絶対その「好き」はカイリュウに言ったやろ。と思いながら1人で笑いを堪えた。
***
「いやほんでさ、こいつおもろいんがさ〜、」
「お前それは言うな言うたやろ!」
セイトとカイリュウの掛け合いで場が盛り上がる。
2人でよくいる分、共通の思い出が沢山あるのか、それを口々に面白話として披露していく。
お酒が入っているのもあり、終始楽しそうな2人。セイトと喋っているせいなのか、自然と奥に身体が行きがちなカイリュウ。
「本当に仲良いな、(笑)」
2人を見て、ふと言葉を漏らした。
「いや〜仲良いのよ、ほんまに」
カイリュウが腕を組んで、満足そうにそう言った。
「俺がおらんと生きてけんからな〜、セイトは」
「それはお互いやろ(笑)」
「あ、お互い?お互いね(笑)」
セイトに”お互い”と言われて、照れながらも嬉しそうなカイリュウ。言葉を噛み締めた後、ちょっとトイレ、と席を立った。
「あ、俺も」
「なんやねん、そんなとこまで仲良うすなよ(笑)」
「そんなん言うて嬉しいんやろ?」
「いやさすがにトイレは嬉しないやろ(笑)」
「まぁそうか(笑)」
トイレに行く時までうるさい2人。
やいやい言いながらトイレに消えていく。
「…ラン、大丈夫?」
「大丈夫やない」
「…いやまぁ、そうよな(笑)」
頭を抱えて、はぁ〜……と深くため息をつくラン。
「たっくん…なんで仲良いねなんて言ったんよ、」
「えっ?……あ、ごめん、つい、」
「つい?…”つい”でそれが出てくるほど2人が仲良いってことか… はぁ……てかなんやねん、”俺がおらんと生きてけんから”って…それは俺の事やから……」
「……まって…お前思ったより重症やん(笑)」
「……うん…俺多分結構めんどくさいと思う…」
「重いな。(笑)」
「言わんで?わかっとうけん…」
顔を手で覆いながらダメージを食らいつつも、続けるラン。
「…重いついでに言っていい?」
「なに(笑)」
「俺の方に近寄るんさぁ、セイトと話したいからよね、絶対」
「……うーん、まぁそれはあるだろうね、」
「はぁ…セイトが羨ましい、セイトになりたい…」
「弱気になんなって…ああいうさ、夢中になっちゃうところも可愛いんじゃないの?ランの中では、」
「うん、可愛い…え、わかるん?あの可愛さ」
「まぁ、そうかなって思っただけ」
「え、…たっくんももしかして狙ってる…?」
「そんなわけないやろ(笑)」
「びっくりした…っ、たっくんがライバルとか俺嫌よ?」
「絶対ならんから安心しろよ(笑)」
そんな会話をしていると2人が戻ってきて、慌てて口を噤んだ。
***
ランから気持ちを聞かされてから、2人のことを観察することが増えた。
俺が動いて上手く行きそうだなと思えば動くし、自然な形でアシストもした。
そのおかげもあってか、最近は2ショットを見る時間が増えた気がする。
「ラン、」
「ん?」
「これ見て、お前絶対好き。」
「え、どれ…、あははっ、!(笑)」
「な?言うたやろ?(笑)」
「うん、めっちゃ好き(笑)」
MV撮影の合間、カイリュウがランのところに行き、楽しそうに何かを見せている。
以前、ランが”カイリュウの好きなところ”を愛おしそうに話してくれたことがあった。
“俺の好きな物とか、好きな感じとかめっちゃ覚えてくれてて、それ見つけるとすぐ教えてくれるんよね、それがめっちゃ可愛い”。
あ〜、、これね。
ランから思った反応を貰えたからか、嬉しそうなカイリュウ。
まぁ、確かに可愛いな。
「なんかさぁ、最近あの2人仲ええよなぁ」
隣で一緒に眺めていたのか、そう話しかけて来るセイト。
「仲良いな」
「まぁ別に元から仲は良いねんけどさ、最近なんか距離近ない?」
「そう?」
「カイリュウがあんな近くに寄るん、珍しいよな〜、ランからはたまにひっついてるけど」
セイトの言葉を聞きながら2人を見ると、座って動画を一緒に見ている2人は距離が近く、カイリュウは完全にランの肩に顔を預けている。
「うん、まぁ確かに…可愛いよね」
「え?たっくんがカイリュウに可愛いとか言うん珍し!(笑)」
「いや、あんな肩に顔乗せてんの、見たことなかったから」
「あ〜、そうやんな、俺もされたことないもん(笑)」
「え?そうなん?」
セイトにもした事ない接触をランに、?
ラン、もうセイトになりたいとか言わんでも良さそうだぞ。(笑)
ランに早く言ってやりたいなぁ、と思いながら2人を眺める。
「ここ!ここ、見て!こっからやで、」
「っ、ぶ、あははっ、!!(笑)」
カイリュウが、ここ!と動画の笑いポイントを教えると、大爆笑のラン。そんなランを見て、嬉しそうにしているカイリュウ。
…あぁ、ランが疲れてちょっと元気なかったから、笑わせに来てあげたんやな、とその顔を見て感じた。
そういう、”周りをよく見てる”とこも好きポイントだったっけな。
確かにカイリュウはそういうところがある。誰よりも周りを見ていて、気付かないうちに支えられていたりする。
そういうとこが好きだというのは、俺にもよく分かる。
「セイト、ケータリング何か食べた?」
「ん?あ〜まだ食べてへんなぁ」
「そうなん?俺ちょっと見てくる」
そう言って席を立ち、ケータリングを確認していると、ランが隣に来てこそっと話しかけてくる。
「…たっくん、ちょっと聞いてほしい」
「ん?どしたの」
「……さっきさぁ、肩に、顔、乗せてきた、カイリュウが、っ」
「ふふっ、…うん、見てたよ(笑)」
「めっちゃ可愛いんやけど……どうしよう俺……」
「良かったやん。あ、そういや、それセイトもされた事ないって言ってたよ」
「えっ?!まじ!?え、俺さ、ワンチャンあるかなこれ…」
「あるだろ(笑)無いとあんな可愛いことしないって。」
「えっ……え〜、、やばい、ちょっと、頭冷やしてくる……」
「行ってらっしゃい。(笑)」
冷静さを失った自分にやばいと思ったのか、頭を冷やすと言って去っていくラン。
「は〜…おもろ、、」
ランの暴走が面白くて若干ニヤけながら食べ物を物色していると、隣に当の本人のカイリュウがやって来た。
「たっくんなんかええのある?」
俺の肩に手を乗せて、食べ物を眺める。
「俺も今来たとこ」
「あ、そうなん?…お、これたっくん好きそうやな」
そう言って、指さしたものは、確かに俺の好物だった。
「お、それ美味そう」
「せやろ?こないだご飯行った時言うてたやん、こういうの好きって。」
“好きな物とか覚えてて、見つけるとすぐ教えてくれるんよね。”
あー、、
俺にもそれ、してくれるんだ。
「言ってたね、よく覚えてんなぁ」
「記憶力ええからな〜、俺」
「あんなセイトとベラベラ喋ってたのに、ちゃんと聞いてたんや?(笑)」
「そら聞くやろ(笑)一緒にご飯行ってんねんから…ランとたっくんがなんか静かやったから、あんま喋りたないんかな思てセイトと喋ってただけやで?」
「え…、」
元々2人の予定だったし、セイトと喋りたいんだとばかり思っていた。
ランはカイリュウが隣で緊張して口数が少なかったし、俺はそれを見守るのに集中していたのもあって会話に入ることが少なかった。
“周りを見ている”とこ。
そんなに気にしてくれていたなんて、初めて知った。
「あの時平気やった?うるさかったんならごめんやで?」
「…いや、そんな事ないよ。ありがとね?気にしてくれて」
「おん、……まぁ、俺も気にしいなとこあんねん、たまには。(笑)なんもないなら良かったわ」
ポンポン、と俺の肩を叩いて、何も取らずにどこかへ行くカイリュウ。
俺にそれを確認するためだけに来たのを察して、なんとなく振り返ってカイリュウの背中を眺めた。
***
(RAN視点)
仕事終わりに、”ちょっと渡したいものがあるんやけど、家行っていい?”とLINEすると、すぐに”なんやねん、気になる言い方すんなよ(笑)“と返事がきて、ええよとOKをもらいカイリュウの家に向かった。
インターホンを鳴らすと、はいよー、とドアを開けてくれるカイリュウ。
「なん?渡したいもんって」
「いや入れて?(笑)」
「(笑)はいはい、どーぞー」
急かすカイリュウに笑いながら、家の中に入っていく。
ソファーに座ると、勿体ぶんなや、と小さい子供みたいにソワソワしているカイリュウが可愛くて癒される。
「……じゃーん。」
「っ…!えっ!?お前これっ、えぇー!!!かわいー!!!」
カイリュウが好きなキャラクターのフィギュアを袋から出すと、テンションが爆発して喜ぶカイリュウ。
「えっ、くれるん?!」
「うん、」
「ほんまにっ?!えっ、なんで?!ええの?!嬉しいー!!!」
「ふはっ、!(笑)可愛いな(笑)」
素直に嬉しい嬉しいと満面の笑みで喜ぶカイリュウが可愛すぎて、愛おしさで仕事の疲れが吹き飛ぶ。
「あかんほんまに可愛すぎる…え〜!も〜お前すき〜!」
ぎゅうっ、とあげたフィギュアを抱きしめて嬉しそうにそう言うカイリュウ。
「…いいな、」
カイリュウに抱きしめられて好きと言われるフィギュアを見て、つい、「いいな」とアホみたいな本音を漏らしてしまった。
「ん?」
「あっ、いやなんでもないっ…、…や、…なんか、そんなに愛されてええなぁ〜って、、?(笑)」
照れながらそう言ってみると、キョトンとした顔で俺を見るカイリュウ。
「…えっ?お前に言うたんやけど…」
「えっ?!//」
「えっ?」
目を見合せて、俺が照れていることに気づいて自分の言葉に今更照れたのか赤くなって下を向いた。
「い、いやそんな、へ、変な意味ちゃうでっ?!/あ、ありがとうって意味やからなっ、?!//」
「あっ、う、うん、わかっとるって…!//いや、うん…っ、でも、嬉しいわ、、」
目を合わせられずにお互い頭や首を掻きながら照れまくっているのがなんだか面白くなってきて、2人で笑い合う。
「……っ、ふは、(笑)」
「ふっ、!(笑)もう、なんやねんこれ…っ(笑)」
照れながら笑うカイリュウ。
あぁ、可愛いな…もっと、そういう顔が見たい。
もっと、いろんなカイリュウを知りたい。
もっと、もっと、と溢れ出す欲。
「こんなええもん貰ったら、なんかお返しせなあかんやん」
「…それってなんでもいいの?」
「え?あんま高いのは無理やで?」
「いや、そうやなくて、、」
「ん?」
「…時間、ちょうだい?カイリュウの。」
「……えっ、じかん、?」
「…もうちょっと、一緒におりたい。」
「へっ……?、/」
「っま、また誘うからっ、…いい、っ?/」
「う、え、…お、おん、…/」
「…あ、ありがとう…/じゃあ、今日はもう遅いから、帰るね?」
「あぁ…っ、うん、じゃあ、ありがとうな、、っ?」
ドギマギした空気を纏いながらも、カイリュウの家を後にした。
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