翌日の昼休み、私は雫ちゃんのクラスに来ていた。3人は単位制を辞めてクラスはバラバラになった。コンコンとノックをし、扉を開ける。
みのり「失礼しましゅ!えっと…2-Dの花里みのりです!!日野森雫ちゃんっていますか!?」
クラスメイト「えっと…日野森さん?日野森さんなら屋上にいるんじゃないかな」
屋上という言葉を聞いた私はものすごく焦った。嫌な想像をしてしまったんだ。
みのり「ありがとうございます!失礼しました!!」
クラスメイト「あ!ちょっと待って!」
廊下を全力ダッシュしようとした私を雫ちゃんのクラスメイトが止めた。
クラスメイト「日野森さん、スマホを忘れて行ったの。よかったら届けてくれない?」
みのり「スマホ…?分かりました!ありがとうございました!」
クラスメイト「お願いね〜!」
雫ちゃんのスマホを握りしめて屋上へ走る。
みのり「はぁ、はぁッ」
早く早く、会いたい。理由を聞きたい。また一緒にいたい。笑顔させてほしい。
バンッと屋上の扉を開く。
雫「み、みのりちゃんッ!?」
みのり「しず、く、ちゃん…ッ!スマホ、忘れ、てるよ!」
とりあえず、スマホが頭に浮かんだので話す。
雫「あら?本当だわ。ありがとう、みのりちゃん」
みのり「どッどう、いたしまして!」
笑顔を作ってくれたので笑顔を返す。でも、雫ちゃんの笑顔は辛く、苦しそうだった。
みのり「………雫ちゃん。あの時、話を聞かないでごめんなさい。聞かせてくれる?どうして、やめようと思ったのか」
雫「それは…ごめんなさい。言えないわ」
申し訳無さそうに俯いて話す。
雫「言えないの。本当に…ごめんなさい!」
みのり「あ、雫ちゃん!待って!!私、アイドルを続けたいの!!生きがいだから!!」
雫ちゃんは屋上から逃げ出そうとした。でも、私はアイドルへの想いを伝える。
雫「…生きがい…」
みのり「うん。そうだよ。でもね、MORE MORE JUMP!が私の本当の生きがいなんだ。私の大切な…宝物なの!雫ちゃんは?みんなとの活動、楽しくなかった?」
雫ちゃんは黙って私の話を聞いた。
雫「楽しかったわ。とても。でも…出来ないの。もう、みんなといることは」
みのり「雫ちゃ_」
雫「ごめんなさい。みのりちゃん」
そう言い、屋上から出る。その時、私は見たの。雫ちゃんの手首にアザがあることを。
みのり「…アザ…?なんで?」
〘み〜の〜り〜ちゃ〜ん!お届け物ですよ〜!〙
元気な明るい声が聞こえてくる。リンちゃんだ。
みのり「あ…ふふっ、なんですか〜?」
リン〘にこにこリンちゃんのアイドルスマイルで〜す!みのりちゃんも、笑顔にな〜れ!〙
ほっぺに右手の人差し指で指し、ウインクする。
みのり「笑顔になりました!ありがとう!リンちゃん!」
リン〘えへへ!良かった〜!みのりちゃん、何かあったの?〙
こてんと首を傾げる。
みのり「えっと…実はね、〜〜〜事情説明中〜〜〜」
リン〘…………う〜ん〙
話を聞いたリンちゃんはどこか腑に落ちない顔をしていた。
リン〘…ねぇ、みのりちゃん。雫ちゃんってさ、アイドルをやりたくない。みんなと一緒にいたくないって言ってないよね?〙
みのり「…………え?」
その言葉を聞いた瞬間、少しだけ希望が光った気がしたんだ。