『 只 、 君 の 隣 で 』
赫 ⌒ め っ ち ゃ 頑 張 っ て る ね !
赫 ⌒ め っ ち ゃ 凄 い !
どんな言葉を掛けても、君は作り笑い。
助けたい
救いたい
でも君は、濮を偽善者扱い。
赫 ⌒ 頼 っ て よ …
赫 ⌒ 抱 え 込 ま な い で …
君を考えると、胸がはち切れそうな程、苦しくなる。
濮のそんな気持ちなんて知らずに
君は独りだと思い込む。
今日、真夏の暑い日。
熱中症になる人が増える中、君はずっと長袖。
心配で、でも察しちゃって
何も言えなくてただ見守るだけ。
赫 ⌒ 言 い た い … で も 、 言 っ た ら …
赫 ⌒ 君 が 、 壊 れ ち ゃ い そ う … ッ
声は喉の奥に張り付いて、震える息を零すだけ。
力になってあげられない濮が
見守る事しかできない濮が
君の隣に…、なんて
君からしたらただの戯言だよね。
君は、ネットでちょっとした人気者。
最近は、あった事とか、ロックをつけて投稿してる。
…全部チェックしちゃう濮は、
きっとどうかしてる。
コメントが沢山来てて、少し、羨ましく思っちゃう濮も居る。
赫 ⌒ … ぇ 、 ?
つい数分前の投稿。
『彼氏から愛されとると感じれへん』
“愛情不足”とハッシュダグをつけて出されてた。
思わず、声を出して驚いた。
彼氏がいるなんて、知らなかった。
赫 ⌒ 隣 に 居 て ほ し い
どれだけ手を伸ばしても
君には届かない。
赫 ⌒ … 愛 さ れ て な い っ て 感 じ る な ら …
赫 ⌒ 濮 で い い じ ゃ ん … ッ
赫 ⌒ 濮 な ら ッ 、 沢 山 、 愛 を 伝 え る の に … ッ
言葉は喉に絡まり、吐き出せない。
小さな声でも、君を傷つけてしまいそうで怖い。
何もできずに、濮の恋は幕を閉じた。
濮なんて、君の視界にも入ってなかったよね…笑
失恋をしてから、暫くたったある日の真夜中。
ピコンっと静かに眩しい光が広がる。
眠い目を擦り乍スマホを開く。
赫 ⌒ ん ん゙ 、 … ぇ 、 こ ん な 時 間 に … ?
いつもなら寝てる時間に、君が最新してた。
『ばいばい』
その一言と高いビルから撮ったであろう夜景の写真。
寝ぼけた頭は一瞬で冷め、君に電話を掛ける。
心臓が、これでもかと言うほど強くうつ。
待っても〃、君からの返事はなかった。
いても立ってもいられず、写真のビルへ走り出す。
走って、走って、転んでも息が上がっても
走る足を止めずに、必死に酸素を回す。
濮がつく頃には、ビルの周りには近づけなかった。
救急車やパトカーがサイレンを鳴らし
辺り一面に広がる”君らしき人”の血。
其処からは、なにもわからなかった。
声はでなくて
耳から入る音は遠くなってって
鼓動が高くうって
なにもわからなかった。
頭が真っ白で、目の前が見えなくなるほど泣いた。
ただ一つ、わかったのは、
もう君はこの世に居ないって事。
赫 ⌒ 傍 に い た い
赫 ⌒ た だ 、 … 只 君 の 隣 に … ッ
どんだけ泣いても変わってくれない現実と、胸の奥の想いが交錯する。
握りしめた拳が、震えていることに濮自身も気づく。
ただ見守るしかない。
声をかけられない、手を伸ばせない。
濮が出来ることは、ここで立っていることだけ。
後悔しても、もう、なにもかも遅かった。
赫 ⌒ 只 、 君 の 隣 で … …
赫 ⌒ 笑 い た か っ た … ッ
君が、…”れる”が、濮の目線から居なくなって
1週間がたった。
濮には辛そうにみえた作り笑いも
濮には無理に明るくしてる様に聞こえた、関西弁で元気に聞こえる声も
唯一弱さを見せてた投稿も
なにもかもなくなった。
あれから、濮は、一度も泣かなかった。
泣いたら、れるがもう居ないんだと、
もうれるに会えないんだと、
自覚してしまうから。
ピコンっと、あの日と同じ音が濮の耳に響く。
画面には、
『こえくんへ、⋯』
と、濮の名前が、れるのアカウントから。
一瞬、息が止まった。
口を開いても、声がでなかった。
目を疑い乍、震える手で続きを開く。
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こえくんへ
いつも気にかけてくれてありがと
こえくんの気持ちは、気づいとったよ。
答えてあげれへんくてごめんな。
…ほんまは、彼氏とは別れて、
こえくんとこ行きたかったけどな…笑
居なくなってから素直になるとか、れるださいなぁ、笑
こえくんだけに見える設定の予約投稿、ミスってへん?笑
大丈夫??笑
……こえくんには、れるなんかよりええ人がおるよ、笑
れるなんか忘れて、幸せに生きてや?
ぁ、追いかけてくんなよ~?笑
…大好きやったよ、こえくん
こえくんだけは…、れるを忘れんでほしい…
…なんて、言うたらあかんよな、笑
冗談やで、ほんまに。
れる、偉そうやなぁ、笑
れるの分まで、幸せに生きてな~?笑
れるより
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なにも言葉がでなかった。
涙は、頬をつたって落ちていた。
泣かないと必死に堪えてたはずなのに、
れるの声みたいな文字が、
濮の奥にしまい込んでた蓋を、そっと外していった。
ぽたり。ぽたり。
止めようとしても、止まってくれない。
れるが、最後まで濮を想ってくれてた。
そう気づいた瞬間、胸の奥がぐしゃっと潰れて、
濮は子どもみたいに泣いた。
泣いて、泣いて、やっと呼吸できるようになった。
部屋の静けさが、やけに広がった。
れる。
濮、ちゃんと生きるよ。
れるが言った通り、幸せになる努力、ちゃんとする。
だからどうか、
そっちで笑っててよ。
何年先でも、覚えてるから。
濮の隣は、れるだけだから。
赫 ⌒ … … 大 好 き だ よ 、 れ る
コメント
2件
良き、天才、好き(