テラーノベル
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かつて大流行したVRゲームの片隅に、今もぽつんと残る「みりん亭」。
時代遅れのマップ、低解像度の空間。サングラス型デバイスを通じて入るその世界に、今も誰かがふらりとやってくる。
店を切り盛りするのは、和食屋の店員のような姿の「くもいさん」。料理は絶品――ただし、それは仮想の話。現実の彼女は味音痴で、味付けのセンスも壊滅的。
そして、その裏側でマップをこっそり管理しているのが、鳥の姿をしたアマチュアプログラマー「やまひろ」。他人が作った小さなプログラム=“シェル”を拾い集め、この古びた世界に思い出のような機能を流し込んでいる。
味はない。でも、言葉と空気と記憶がある。
みりん亭は、そんな不完全で、やさしい空間。
1話ごとに、誰かの心と過去が、そっと浮かび上がる。