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ぬいぬい
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ぬいぬい
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これは僕が書き留めた冥探偵の話さ、名探偵?
ちがうねこれは、僕が送る最高の冥探偵の話だよ
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新幹線から見えていたはずの見慣れた景色はもう見えない、僕は上京するんだ、稼いで親孝行するんだ!
「と思っていた時期もありました!」
「なんだよお東京の家賃とかの税金高すぎだろうがあああなんだよ東京都庁は金に困ってんのかあ、ああん?」
そう言いながら路地に入る僕の前に一枚のチラシが落ちていた。
踏んづけそうになった足をギリギリで止め、しゃがんでそれを拾い上げる。
湿った地面のせいで少しふやけた紙には、筆ペンで殴り書きしたような文字が躍っていた。
『黄泉國(よみぐに)探偵事務所。助手募集。学歴不問。必要なのは、こちら側の世界に帰ってくる shiki(意志)だけ。給与:応相談(※命の保証は相談外)』
「……最後の一言不穏すぎるだろ。っていうか、今どき手書きのチラシ?」
普通なら即座にゴミ箱行きだ。しかし、僕のポケットにある財布の中身は、さっき自動販売機で買った水のおかげで完全にすっからかん。
明日生き延びるための家賃どころか、今晩のカップ麺すら怪しい。
「背に腹は……代えられない、か」
チラシの裏に印刷された簡素な地図を頼りに、僕は路地のさらに奥、薄暗い雑居ビルの階段を上がっていった。
「失礼しまーす……チラシを見て来たんですけど……」
ギィ、と嫌な音を立ててドアを開ける。
中は、探偵事務所というよりは古本屋か骨董品店のような、奇妙な静けさに包まれていた。
奥にある重厚なデスクの後ろで、一人の男が背筋をピンと伸ばして座っている。
身なりは仕立ての良さそうなスーツ。顔立ちは驚くほど整っているのに、その瞳には光が一切なく、まるで精巧に作られた人形のようだ。
男は僕が入ってきたというのに、手元にある「ルービックキューブ」を真顔で見つめたまま、ピクリとも動かない。
「あの……」
僕が恐る恐る声をかけると、男はゆっくりと顔を上げた。その表情はミリ単位の狂いもなく無表情だった。
「……なるほど。あなたが私の新しい『助手』ですか」
「え? あ、はい、助手募集のチラシを見て……」
「それは好都合だ。ちょうど今、私の右腕が 亡くなって動かなくなっていたところです」
男はそう言って、自分の本物の右腕を左手で掴み、ぶらぶらと脱力させて見せた。
「いや、ただの深刻な肩こりだろそれ!! 早く病院行けよ!!」
僕の全力のツッコミが、静かな事務所に響き渡った。
男は一瞬だけパチリと瞬きをすると、やはり真顔のまま、今度は満足そうにつぶやいた。
「合格です。素晴らしい反射神経だ。君、今日から採用です」
「……は?」
これが、僕と『冥探偵』黄泉國 尊との、最悪で最高の出会いだった。
コメント
6件
何だろう、普通に面白い
世界観ガッ好きすぎるっ!!! 頑張ってください!
読み終えました! 「冥探偵」というタイトルからして、もう語感が洒落てますよね。名探偵との掛詞と、黄泉(よみ)のダブルミーニングが効いてる。“命の保証は相談外”って一文で世界観が一瞬で掴めて、ラストの「右腕が亡くなった」→肩こりという掛け合い、最高でした。無表情でルービックキューブを見つめる黄泉國さんのビジュアル、脳裏に焼き付きました……続きが気になります!