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ネコの退屈
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「いいか銀の時、これはただの時計じゃねぇ。時空の歪みを無理やりねじ伏せる『クロノス・デラックス・超」
平賀源外のガラクタ置き場で、銀時はニヤリと笑った。手元には、安っぽいプラスチック製のリモコン。しかし、そのボタン一つで世界が止まるという。
「へっへっへ、ありがとよじいさん。これでパチンコ台の確変を狙い撃……いや、江戸の平和を守るために使わせてもらうわ」
銀時はスキップせんばかりの足取りで、かぶき町の表通りへと戻った。
目的はただ一つ。万事屋の看板娘で従業員兼、銀時の癒やし担当の銀華だ。
銀華は、万事屋の仕事を手際よくこなし、周囲を明るくするような笑顔が印象的な美少女だ。
銀時は普段こそ適当な態度をとっているが、実は彼女に対して並々ならぬ好意を寄せていた。
「おーい、銀華! ちょっと力を貸してくれ。……ってお前、また定春のブラッシングしてんのか」
万事屋の居間では、銀華が巨大な定春に懐かれながら、楽しそうに笑っていた。
その屈託のない姿を見て、銀時の心臓が跳ねる。
(……今だ。今なら、世界で俺だけが格好いいシーンを演出できるはずだ!)
「ザッ!ワールドォォォ!!(ポチッ)」
銀時はリモコンの「一時停止」ボタンを親指で押し込んだ。
その瞬間、世界から音が消えた。
舞い散る埃も、お通ちゃんのチップスを食べていた神楽も、眼鏡の置き場所を忘れて彷徨っていた新八も、そして定春と戯れていた銀華も、すべてが静止した。
「ヒョー! マジで止まってやがる! これで俺の格好いい独り言も、誰にも邪魔されずに言い放題だぜ!」
銀時は静止した銀華の目の前に立った。
改めて見ると、その瞳は澄んでいて、今にも動き出しそうなほど瑞々しい。
普段は照れくさくて、口が裂けても言えない本音。
「銀華……。お前が万事屋に来てから、なんかこう、……悪くねーんだよ。いや、その……俺、お前のこと、結構……大事に思ってるっていうか……」
銀時は顔を真っ赤にしながら、止まっているはずの銀華に語りかけた。
「……これからも、ずっと万事屋にいろよ。大好きだぞ、コノヤロー!」
魂の叫びを吐き出し、銀時は満足げに鼻をこすった。
そして、何事もなかったかのように振る舞うため、リモコンの「再生」ボタンを押そうとした。
しかし、その時。
「……あ、やっぱり? 私も銀さんのそういうところ、結構好きだよ」
「ぎゃあああああああああああ!!?」
静止していたはずの銀華が、何事もなかったかのように首をかしげ、銀時の顔を覗き込んできた。
「え、ちょ、え!? なんで動いてんの!? じいさぁぁぁん!! 不良品じゃねーかこれ!!」
「あ、これ? 源外さんに『銀さんが変なイタズラに使おうとしたら、これで対抗しな』って言われて、お揃いのブレスレットをもらってたんだ。時を止める影響を受けないやつ」
銀華は手首に光る銀色のブレスレットを掲げて、いたずらっぽく笑った。
「……全部、聞こえてた?」
「うん。『大好きだぞ、コノヤロー』まで、バッチリ」
銀華はニコニコしながら、腰を抜かした銀時の手を握った。
「でも、次は時を止めないで、ちゃんと目を見て言ってね。楽しみにしてるから」
かぶき町の青空に、銀時の情けない叫び声がどこまでも響き渡った。
コメント
1件
あら〜これ、めっちゃ好きな展開です🤍 銀さんが時止めて本音言おうとしたのに、銀華ちゃんもお揃いのブレスレットで完全に対策済みって…もうね、お似合いすぎて笑っちゃう(笑) 「大好きだぞコノヤロー」が全部バレてるの、逆に尊い…! この勘違いからのギャップ萌え、最高でした🌙