テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
全力で鎌を跳ね返し、鎌がそいつの霧のような頭部を切った。そいつは少し苦しみ、鎌を僕に回し続けた。僕はそいつの鎌を跳ね返し続けた。この世のものとは思えない音が響き、僕は鎌を掴める事に気づいた。そして、そのまま鎌を掴んで地面にその霧ごと放り投げた。僕はその地面に食いこんだ霧に向かって、チャクラムの刃先を菱状に変形させ、そいつの上半身と下半身を分断した。その霧は分散されて、どこかへ消えた。
僕は鎌と共にあさを地面から引き出した。その時には、あさはもう涙を溜めるだけで、泣くことは無かった。少し移動し、ゆっくりとあさの腕から鎌を引き抜いた。あさは枯れた声で少し喘ぎ、枯れそうな涙を流した。あさの腕は腱がむき出しになっていた。僕はパーカーのポケットから、「ガスボイゲン」という麻酔効果をもつ成分が入った容器を出し、その容器から注射針を出して、あさの腕にゆっくり刺した。あさは涙を溜めた目でその様子を見ていた。僕はガスボイゲンを口に含み、注射針を歯で噛んで、あさの腕に注入した。僕は麻酔効果のあるガスボイゲンを限界まで吐くようにした。僕は麻酔が効き始めた事を確認して、針と糸を準備し、あさの腕を縫った。あさは興味深そうに僕を見ていた。「かすみおにーさん、お裁縫も出来るの?」「保険体育で習ったから分かるんだよ。」「凄い学校なんだね…」「そこの国の中心みたいなところ。」「じゃあ、頭いいの?」「めっちゃ悪いよ。」そんな会話をしてる間に、あさの右腕の縫合が終了した。左腕も同じように縫合して、糸で縫われた腕をぎこちなく動かして凄く不思議な顔をするあさを見て、どこか温かい気持ちになった。