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こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
青さんの家に、桃さんが〇〇を置いていった話
Xで毎日140字ずつ、100日連続投稿して完結した話になります
毎日140字ずつ書いていたのでいつもより文章の滑らかさはないですが、そこは毎日投稿の醍醐味としてお楽しみいただけたら幸いです
そろそろ寝るか、と作業を終え片づけを始めた頃、インターホンが軽快な音を鳴らした。
…こんな時間に誰だ?
眉を寄せながらモニターの方へと歩み寄り、覗き込む。
何せもう深夜だ。アポなしの来訪が常識的とは言えない時間。
眉を寄せながらモニターを見据える俺の目には、見慣れたピンク色が映った。
「おつかれー、まろ。入れて」
ドアを開くと、ないこはいつもより無遠慮に玄関に押し入ってきた。
どうしたんこんな時間に、と言いかけた俺は、思わずびくりと肩を揺らした。
口を噤んでしまったのも無理はない。
ないこに続くように、一つのシルエットが同じように室内に入ってきたからだ。
モニター越しには死角になっていたらしく、ないこに連れがいたとは気づいていなかった。
…え、どちら様?
緩めのスウェットパンツの上には、黒いシンプルなパーカー。
フードは目深に被っていて、一瞥しただけでは顔は窺えない。
驚いた目でまじまじと凝視しようとした俺に向けて、ないこが口を開いた。
「3日くらい、ここに置いてやって欲しいんだけど」
そんな言葉に思わず自分の耳を疑う。
…この人をここに?何のために? ていうか、ほんまに誰?
そんな疑問が浮かびながらも何とかないこを見据え返すと、その隣でパーカー男が自分のフードに手をかけた。
そっとそれを外し、素顔が露わになる。
黒いフードの下から覗いたのは、鮮やかに映えるピンクの髪。
それと同じ色の瞳はぱちりぱちりと静かに瞬きを繰り返した。
耳には見覚えのあるダイス型ピアス。
唇は品よくわずかに弧を描いている。
「え…ない…こ?」
戸惑い気味に声を絞り出す。
俺の目の前には、服装は違えど同じ顔がふたつ並んでいた。
「じゃーん!『ないこくんアンドロイド』完成!」
戸惑う俺に構わず、ないこは上機嫌に言って隣にいる「自分」を指し示す。
「最近りうらと俺、『ロボ組』とか『ロボットと製作者』とかいじられてたじゃん。あれで思ったよね、『そうか自分がもう一人いたら仕事分けられるんじゃね?よし作るか』って」
そこまで言って、ないこは「まぁとりあえずさ」と話を改めるように続けた。
「立ち話もなんだし、中で話そ」
…それは本来俺のセリフやろ。
そう言う間もなく、ないこは靴を脱ぎ上がりこむ。
それに黒パーカーのないこが「お邪魔します」とぺこりと頭を下げて続いた。
どうやら本物より礼儀正しいらしい。
「生活レベルや性格は俺に合わせて作ってもらったんだけど、チャットAIと同じで、調教次第でできることはどんどん増えるよ。だからまろにも協力してほしいんだよね」
そう続け、ないこはソファに座る。
足を組みそこに片腕を乗せる前傾姿勢。
対してロボないこは、膝に両手を置いて姿勢良く座っている。
「守秘義務があるからさすがにまろの会社の仕事は手伝えないけど、こっちの活動関係なら俺と同等のことは何でもできるよ。あとは忙しいときに家事でもやらせればいいんじゃない?まだプロトタイプだから、うまく使って改良点教えて」
歌うように流暢に言って、ないこは「あ、そうだ名前」と呟いた。
「『ないこ2号』でも、2番目のないこだから『2番』でも何でもいいよ。便宜上の名前つけてやって」
こちらの反応なんてお構い無しにそう続けられ、回らない頭でも何とか「『2番』はないよな」と思考する。
その呼び名だと全然別の誰かさんを彷彿とさせてしまう。
かと言って『2号』もかわいくない。
「2号、にごう、にごー…ニーゴ?」
音を探りながら言うと、ないこが笑った。
「いいじゃん『ニーゴ』。『ないこ』と語感近いし。某ゲーム思い出しそうなとこだけが難点だけど」
顎で促されるまま、俺はロボないこに向き直る。
ニーゴ、と今決めたばかりの名を呼ぶと、にこりと微笑み返してきた。
「はい、マスター」
「っ、か…」
「『か』?」
わい、と言いかけたのを何とか飲み込むと、ないこが隣で首を捻る。
それに「なんでもない」と答えて、俺は再び芸術品のように整ったニーゴの顔を振り返った。
「『マスター』はやめて。なんか調子狂う」
「えー、別にいいじゃん。実際今日から3日はまろが飼い主なんだし」
「飼い主」なんていかにもないこらしい表現を口にしたあいつの隣で、ニーゴは真剣に俺の言葉を受け取ったようだった。
真顔で見つめてきて、「いふさん?」と呼びかけ直す。
その呼び方もしっくりとはこないけれど、「マスター」よりはましか。
そう思い直したのが分かったのか、ないこが説明を続けた。
「必要あるわけじゃないけど飲食はできるし、防水加工だから風呂も入れるよ。充電は必要だけど、まろが寝てる時とか会社行ってる間に自分で充電器接続するから、ほんとになんの世話もいらない。むしろ忙しいまろの世話してもらうといいよ。料理も掃除も一通りはできるから」
そこまで言うと、ないこは目の前のテーブルの上にどん、と大きなバッグを置いた。
「充電器とか、一応替えの服とかこれに持たせてるから。アンドロイドだから着替えも必要ないけど、一応見た目と生活感の問題だね」
ぽん、とそのバッグを一つ叩いて示すと、話は終わりだと言わんばかりに立ち上がる。
「じゃあ、3日間うまく調教よろしく。データは毎日転送されるから、使いこなせてるかチェックするね」
そう言い置くと、ないこは部屋を出て行った。
言いたいことを言い大きな物まで置き去りにして、嵐のよう。
でもそれすらもないこらしいと言える。
諦めたように息をつき、俺はニーゴに向き直った。
「俺もう寝ようとしとったんやけど、ニーゴはどうする?充電?」
「本来はそうですが、今はバッテリー残量も十分で必要ないかと。夜中のうちにお手伝いできることがあったら何なりとお申し付けください」
そうは言われても、咄嗟には何も浮かばない。
…いや、とりあえず一言だけ言いたいことはあるか。
「それ…敬語もやめてくれん?ないこの顔でそれは調子狂うから」
そう言った俺をじっと見上げて、ニーゴはぱちりと深く瞬きをした。
アンドロイドであるせいか、いつもピンク色の宝石みたいだと思っていたないこの瞳がより煌めいて見える。
「ん、分かった」
にこりと微笑んで、ニーゴは口調を改めた。
それにしても、声も機械音声のような不自然さはなくさっきまでいた本物にそっくりだ。
現代の技術に妙に感心していると、ニーゴがその掠れた声で笑った。
「じゃあ部屋の片付けとか、なんかできることやっておくね。鍋の中のパン片付けたりとか」
「は!?そんなことまで知っとるん!?」
うちにないこが初めて来た時、家中をじろじろ見て帰っては、その後の配信でおもしろおかしく弄られたネタだ。
もしかしたらニーゴはないこの過去の記憶なんてものも全て移植されているんだろうか。
…だとしたら、それは非常にまずい。
俺には、ないこの脳内から消し去ってしまいたい記憶が一つだけある。
…あれは、もう2年は前だ。
メンバーでないこの家に集まり宅飲みをして、酔いすぎた全員が雑魚寝したことがあった。
真夜中に目を覚ますと、消し忘れた室内の照明の下で誰かの寝息やいびきがまるで合唱のように重なっていた。
そんな中横を振り返ると、ピンク髪がクッションを抱き抱え静かに眠っていて…。
閉じた瞼の先で長い睫毛が揺れる。薄い唇に整った鼻筋。
あの時も確か、ニーゴに抱いた感想と同じように「まるで芸術品みたいだ」と思った。
…だからだ、引き寄せられてしまったのは。
もう長いこと目の前の男に片想いしてきた俺は、自分の意志に関わらずその薄い唇に自分のそれを重ねてしまっていた。
柔らかい感触に浸るように、目を閉じる。
だけどその時、少し離れた床に転がっていたしょにだが「うーん」と唸りながら寝返りを打った。
その声で我に返り、慌ててないこから身を離す。
自分のしでかしたことにばくばく鳴る心臓を押さえながら、俺も再びそこに横たわった。寝たふりをするように目を瞑る。
そしてその翌朝のことだ。
起き始めたメンバーが朝食やら洗顔やらでそれぞれ動きだしたとき、ないこがこちらに近寄ってきた。
「まろ、昨日夜中にさ…」
急にかけられたそんな声に、自分でも分かりやすいほどびくりと肩が揺れた。
…ないこに、気付かれていた? そう思っては、また心臓がばくりと音を立てる。
「え、なんかあった?昨日酔いすぎてなんも覚えてないんよな」
早口に応じると、ないこは一度口を噤んでじっと俺を見据えた。
その視線から逃れたい一心ではあったけれど、ここで目を逸らしたら逆に怪しい。
ぐっと息を詰めて見つめ返した俺に、ないこは「そ」と一つ頷いた。
「ならいいや」
ごまかせたかどうかは定かではないけれど、あの後互いにそのことを言及することはなかった。
でもあんなことを聞いてくる時点で、ないこは「俺が何をしたか」は知っている。
…願わくばその記憶を消し去ってしまいたい。
だからもしニーゴに記憶全てが移植されていたりしたら、俺としては笑えない事態だ。
それを確認したくて尋ねるとニーゴは首を振った。
「記憶?さすがにそれは移植されてないよ。ただあの人がおもしろいと思った過去のエピソードは、自分で入力・設定してる」
「は!?『鍋にパン』を!?」
「そう。あ、トイレの電球は夜中のうちに変えとくね」
「それも!?あいついつまでそのネタ擦るん!?」
あんなのは一時的なもので、さすがにもうトイレの電気も点くわ。
そう言いたい気持ちもあったけれど、ニーゴに言ったってしょうがない。
そう思い直し、代わりに「…寝るわ」と告げる。
「うん、おやすみなさい、いふさん」
にこりと微笑んだニーゴは、ないこの顔でないこらしくない挨拶を寄越した。
コメント
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わぁぁぁん😭😭 青ニゴだー!! 別端末の方でも拝見してました ですがちょこちょこセンシティブかかってて、見れてなくて...👉🏻👈🏻こっちで見れるの嬉しいです🥲楽しみにしてます🎵