真一は紗栄子と別れ、真希のいるファミレスへ向かう。死体を乗せて。。。
ファミレスの扉を開けると奥のテーブル席で真希さんが手を振っていた。
「はぁ、はぁ、ごめんなさい待たせちゃって」
「後1分で制限時間だったよ」細い手首で煌めく時計を指差し真希はそう言った。テーブルにあるタバコを手に取ると慣れた手つきで火をつける。
「待ってる間にランチ済ませちゃったけど角平くん何か頼む?」
「あっいや、俺ちょっと腹の調子が悪くて」さっきまで死体を眺めていたんだ、食欲も湧くわけない。
「カラオケでもいく?」
「どこでもいきます!」死体の事なんて忘れて今は真希さんと楽しみたいのだ。
俺と真希さんはファミレスを出た。
「角平くんの愛車ってセルシオなんだ、シャコタンにしてかっこいいね。」
「前のオーナーがやりたい事やっててくれて、カッコいいから一目惚れで決めたんです。」
真希はセルシオの周りをゆっくり眺めなが回る。
「いいの?私が助手席に乗っちゃって?」
「真希さんが乗ってくれるなら光栄です」
真希は21歳と言う若さだが、大人びた容姿、クールビューティーという言葉が当てはまるくらい、人目引く美人なのである。
「それじゃ失礼します!」真希はそう言うと助手席に乗り込んだ。
「座席が柔くて深いから、スカートがあがってくる(笑)パンツ見えちゃうかも」
真希はタイトな短めのスカートを履いていたため、細く綺麗な太ももがちょっとづつ露わになってくるのであった。
「真希さん、ちゃんと食べてます?ちょっと痩せすぎじゃないですか?」俺は太ももをチラ見しながらそういった。
「角平くんは、私みたいな体型嫌い?」
「いや、好きっすよ、スレンダーだし最高っす」
そんなこんなを話しているうちにカラオケの駐車場に到着した。
真希さんは嬉しそうに店内へスキップではいっていく。
1時間くらい2人で熱唱した、死体のことも忘れて真希の気持ちよく歌う姿を眺めていた。死体の件がなければもっと漫喫できるのに最悪だぜ。
「真希さん今日は無理なお願い聞いてくれてありがとうございます。」
「角平くん、一歳しか違わないんだから敬語はやめようよ。」
「はい。。。」
「角平くん、案外モテそうなのになんで私なんか誘ったの?遊んでくれる子いるでしょ?」
真希の思わぬ直球に戸惑った。
「人生で一度くらいは真希さんみたいな美人とデートしたいなぁと思って。。。」こんなセリフがスルリと出た。
「じゃあ、これが最初で最後でもいいんだ」
真希さん、何を言い出してるんだ?
「最初で最後ですか。。。」
「最初で最後なら、こういうこともありかな?」
真希は膝の上にあった俺の手を握りしめた。
「。。。」
「角平くん、私とキスしたい?」オイオイいきなり何を言い出す。
真希は上目遣いで俺を見つめる。真希さんってこんなキャラだったっけ。
「許されるなら、キスとしたいっすよね、だって」
真希の唇が俺の言葉を塞ぐ。真希はゆっくりと後退りすると、今度は勢いをつけて口を塞ぐ、そして優しく左右の掌で俺の頬にふれ、ゆっくりと舌を入れて来た。
俺はたまらずディープなキスをやり返す。真希はそのまま俺の膝にまたがり、キスをしてくる。口の周りがベロベロのぐちゃぐちゃになるくらい。
ここはカラオケボックス、この先はここじゃ厳しいんじゃないですか。
「角平くん、最初で最後だからいいよね?」真希は俺を見つめ、イヤラシイ吐息をかけながらそういう。
「どういう事っすか?」
俺はカラオケボックスで真希さんとやっちまった。最初から目的はこれだったんだ、成功しただろ。真一おめでとう。。。
普段から想像できない、喘ぎ声、敏感な体。お椀型の手の平サイズの胸は推定Cカップ。
一緒にコンビニで品出ししたり、トイレ掃除したり、そんな間がらだった真希さんは今俺の腕の中。
「角平くんとしちゃった。。。」
真希は小さな声でそう言った。
こういった始まりはきっと恋人という感じではないだろう。愛おしいとか切ないとかそういった感情より快楽を求めてしまったからだ。
真希さんとはこれが最初で最後なのか。