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そう言って、彼は優しく私の頭を撫でてくれた。
「…は、はい」
小さく頷くと、晴輝さんは満足そうに微笑んだ。
「よろしい。では、そろそろ行きましょうか」
「ど、どこに行くんですか?」
「ふふ、モカさんが喜ぶ場所だと思いますよ」
そう言って立ち上がった彼の後ろについて、私たちはカフェを後にした。
◆◇◆◇
着いた場所は、郊外にあるガラス張りの大きな建物だった。
「ここは……?」
「フラワースタジオです。モカさん、以前バラ園に行きたいと仰っていましたよね?…今日はここで、素敵なバラを贈りたいと思いまして」
「えっ…!覚えていてくれたんですか?」
「ええ、モカさんの言ったことなら全て覚えていますよ」
さらりと言う晴輝さんに、またもや顔が熱くなる。
中に入ると、そこには色とりどりのバラが咲き誇っていた。
赤、ピンク、白、黄色……
「わあ…っ、綺麗……」
思わず呟くと、晴輝さんがそっと私の手を握った。
「今日はここを貸切にしていますので、二人きりで楽しめます」
「えぇ?!そ、そこまでしてもらわなくても…!」
「いいんですよ。それに…あと2日後には1ヶ月記念日ですから」
「そ、そういえば…?でも、どうして今日…」
「実は、当日はどうしても外せない用事がありまして」
「外せない用事、ですか…?」
「ええ。僕の姉のことなんですが…どうも最近、3年間付き合っていた恋人に奥さんがいたようで」
「お、お姉さんいるんですね…!にしても、既婚者だったなんて…酷いですね」
「まあ、姉は昔から騙されやすいところがありますから…クズに引っかかってしまったのでしょう」
「その関係で、心だけでなく部屋もあれに荒れているようでして…『片付けるの手伝って』と呼び出されてしまっていて。なので、一緒に過ごせそうにないんです。すみません、モカさん」
「い、いいんですよ!お姉さんの方が辛いでしょうし、こんなに頼もしい弟さんが来てくれたら、お姉さんも嬉しいですよ…!」
「ありがとうございます。でも、記念日当日にモカさんに寂しい思いをさせてしまうのが、本当に心苦しくて……」
「ですから、今日こうして二人きりの時間をどうしても作りたかったんです」
「…晴輝さん…っ、そんなふうに思ってもらえるだけでもすごく嬉しいです…!本当に、ありがとうございます…」
「ふふ、僕こそ。いつもモカさんの笑顔に元気をもらっていますから」
「そ、そんな……っ」
照れくさくて言葉が出ない。
晴輝さんはそんな私を見て優しく微笑んだ。
コメント
1件
ああ〜〜第7話、めっちゃ良かった!!😭💕 晴輝さんの「モカさんの言ったことなら全て覚えていますよ」とか、もうズルすぎるでしょ!!バラ園貸切とか王子様かよ!!✨ それでいて記念日当日に会えない理由がお姉さんのピンチ、っていうギャップ萌え…人間味あって可愛いなあって思ったよ!二人の距離が確実に縮まっててこっちまで幸せな気持ちになった💖 続きが待ちきれないです…!猫塚ルイさん素敵なエピソードありがとうございます🌸