翔太 side
蓮が少し遠くに行った気がした。仕事忙しいのかな?疲れてるのかな?
亮平💚『翔太、おいで』
亮平はすごく嬉しそうに俺をベットに誘った。
蓮が選んだキングサイズのベット。
俺が選んだシーツ。
一枚壁を隔てた先に蓮が1人でソファーに寝ている。
翔太💙『3人で寝たら狭い?』
亮平💚『狭いだろうね。蓮と俺は大きいしね。俺と2人は嫌?』
翔太💙『嫌じゃないよ。でも蓮が居ないのは・・・』
亮平💚『嫌なんでしょ?俺に遠慮する必要ないよ。明日蓮と話してみるね。何かいい解決策があるかもしれないし』
翔太💙『うん。ありがとう亮平』
亮平は、腕枕して頭を撫でてキスをした。同じシャンプーの匂いが亮平からして、何か変な感じ。
目を閉じて亮平のシャツにしがみ付くと、亮平が背中を撫でてシャツの隙間から直接肌を触ってきた。
翔太💙『ダメ・・ダメだよ』
亮平💚『どうして?いいでしょう。しよっ?』
翔太💙『ダメ蓮が隣にいるもん。絶対だめ』
亮平💚『声我慢すればよくない?俺の事いや?』
翔太💙『嫌じゃないけど今日はダメ・・・聞こえちゃうよ』
そのまま亮平は大人しく寝た。夜中にトイレに目が覚めてベットから降りリビングに向かうと、蓮が規則的な呼吸でスヤスヤと眠ってた。しばらくソファーの前に座って、蓮を見ていた。長く伸びた前髪を指で除けると少しくすぐったそうに顔を動かした。
唇を人差し指でなぞり、自分の唇に充てた。
蓮が目の前にいるのに、どっか行っちゃいそうだ。
蓮の手を握ってソファーに顔だけ乗せるといつの間にかそのままリビングで眠った。
亮平💚『翔太・・・翔太風邪ひいちゃうよ?』
瞼を擦って目を開けると亮平が心配そうに顔を覗いていた。リビングの固く冷たい床に顔を突っ伏してそのまま寝ていた。蓮はすでに仕事に出かけて居なくなっている。まだ外は暗く、夜明け前なのが分かる。
亮平が俺を抱えて、寝室に連れて行った。
翔太💙『トイレに起きて・・・蓮見てたらそのまま寝ちゃった。ごめんね亮平』
亮平💚『うん・・・起きたら翔太が居なくて悲しかった。だけど大丈夫。すぐに俺を受け入れられる方がおかしいもんね。困ったことがあったらちゃんと言って?少しずつ解消して行こう?そのためのお試しでしょ。もう少し寝ようか?』
翔太💙『うん・・・抱きついてもいい?』
亮平💚『いいよ。おいで』
蓮は、朝起きて俺に布団もかけずに出て行ったんだな・・・どうしてこんなに朝早く出て行っちゃったんだろう。
亮平の首にしがみ付いて胸に顔を乗せると、心臓の音がする。目を瞑ると腕が腰に回されて距離が一段と近くなった。
蓮とも、涼太とも違う・・・ちょっと恥ずかしくなった。
翔太💙 『亮平・・・なんだか恥ずかしい』
亮平💚『ふふっなぁにそれ?可愛い』
亮平は優しくおでこにキスをした。おでこが凄く熱い。嬉しくなってシャツを掴んで亮平を足で挟んでそのまま二度寝した。
蓮 side
朝起きると、目の前には翔太くんが顔だけソファーの上にちょこんと乗せて寝ていた。俺の左手は恋人繋ぎで翔太くんと繋がっていた。きつく握られている。
声を押し殺して泣いた・・・嬉しいのに悲しい。
目の前の翔太くんを抱きたいのに俺にそんな権利がない。
そっと翔太くんから手を離すと、支度を済ませて家を出た。
迷惑とわかっていたけど舘さんの家へ向かった。
涼太❤️『何?こんな朝早く・・・結構迷惑な時間だけ・・蓮大丈夫?酷い顔してる・・・入って』
夜明け前、最初こそ不快感を露わにした舘さんだけど泣き腫らした俺の顔を見るなり、顔色を変えて優しく部屋へ迎え入れてくれた。
事情を話すなり、怒られた・・・
涼太❤️『俺は、蓮だから翔太を任せられたんだ。魔が刺した?そんな言い訳聞きたくないね』
蓮 🖤『すいません』
酷く、怒っている。翔太くん事になると、この人は理性を失う。
涼太❤️『俺は翔太の保護者じゃない。俺に謝られても何の解決にもならないし、翔太が蓮を許したならそれでいいだろ?何が問題だよ』
蓮 🖤『俺が自分を許せない・・・それに阿部ちゃんといて幸せなら俺はそれがいいと思って・・・』
涼太❤️『卑怯な事言うんじゃないよ蓮!ただ逃げたいだけだろ?翔太の1番は蓮だろ。許してほしくて翔太から逃げるの?ちゃんと翔太に寄り添って、辛かろうが必死に受け止めろよ・・・俺には羨ましすぎる悩みだ』
舘さんの気持ちは薄々気付いていた。それに触れずにきたのは、お互いがそうありたかったからだ。
触れたくない、触れられたくない。
蓮 🖤『耐えられそうにない・・・翔太くんは皆んなが好きだ。俺にはどうしてもそれが理解できない。翔太くんは〝好き〟と〝愛〟の境界がないんだ』
涼太❤️『翔太が自分で気づくしかないんだよ。いつか選ぶ日がくるよ・・・残念だけど俺でも亮平でもない蓮だと思うけどね。まぁ先に謝っておくけど翔太から頼まれたら、俺は翔太を抱くよ。そんな事起こり得ないけど』
暫く、舘さんのリビングのテーブルに長い時間、頭を沈めていた。考えても答えが出ない。
涼太❤️『ほら、食べな。どうせ何も食べてないんだろ』
テーブルの上には温かい味噌汁と炊き立てのご飯に卵焼きが乗せられている。
涼太❤️『しっかり食べて・・・また翔太の事頼むよ。蓮しかいないんだから』
なんで皆んなこんなに優しいんだ。ラウールも舘さんも。優しくされると余計に苦しくなるじゃないか。
俺だけが優しくない。
蓮 🖤『舘さん・・・俺の愛し方は自分勝手で、ただ身勝手なだけだ。俺に翔太くんを愛する資格なんて最初からなかったんだ』
涼太❤️『蓮、お前を否定する事は翔太を否定するのと同じだからな!翔太はお前を選んだ。胸を張って翔太と共に生きてあげて。押し込んででも、残さず食べな』
翔太くんが舘さんから離れられないのが分かった気がする。舘さんはいつだって正しくて、間違ってる事は例え翔太くんでもちゃんと言葉で伝える。決して見離さない。求めない無償の愛だ。
この俺にすら優しい。それもこれも翔太くんの為だ。
愛情いっぱいの朝ごはんを食べるとお礼を言って舘さんの家を後にし、仕事へ向かった。
その日は朝から終日仕事だった。帰りにケーキ屋さんに寄った。
翔太くんの好きな苺のショートケーキを3個抱えて帰宅した。
蓮 🖤『ただいまうわっ…』
急に翔太くんが飛び出して来て、ケーキを落としそうになった。阿部ちゃんが大慌てでケーキの箱を取り上げた。
亮平💚『おぉっギリギリセーフ』
蓮 🖤『さすが阿部ちゃん。反射神経イイね』
首にしがみ付いて離れない。俺が帰ってくるまで玄関で待つと言って聞かなかったらしい。
蓮 🖤『翔太いつから待ってたの?』
首に回した手を、より一層強めて泣いている。昨日から情緒不安定だ。阿部ちゃんに目配せすると、溜息をついた。1日大変だった事が伺える。
亮平💚『ごめんね蓮、晩ご飯できてなくて』
蓮 🖤『いいよ。食べに行く? それとも出前取ろうか?』
亮平💚『じゃあ適当に出前取るね。蓮着替えておいで。翔太いい加減離れなさい。それじゃ着替えられないよ?』
くっついたままの翔太くんは無言のまま俺の首にぶら下がっている。、そのまま翔太くんごと寝室へ向かった。ベットに降ろすと頬を撫でる。
蓮 🖤『着替えるからちょっと待って』
翔太💙『ずっと待ってる。昨日の夜からずっと』
蓮 🖤『昨日の夜は、俺居たでしょう?』
翔太💙『居ない。心がここに居ない。俺ずっと一人ぼっちだった』
あぁちゃんと伝わっちゃうんだな・・・
蓮 🖤 『1人ほっちじゃないでしょ?阿部ちゃんが居た』
翔太💙 『亮平が居るから?蓮はどっか行っちゃうの?俺を置いて居なくなる?』
ベットに座り翔太くんと向かい合った。
蓮 🖤『置いていかない。ごめん・・・そうだね昨日はココに居なかった。今は?ちゃんと帰って来れたかな?』
翔太💙『うん、でもまたどっか行っちゃいそうだ・・・怖い。どっか行く気だろ?俺を置いてどこか行く気だ』
蓮 🖤『そんな事ないよ?ちゃんとここに居るから』
翔太💙『嘘だ・・・ううっ俺の事許せないんだ・・・亮平と・・』
蓮 🖤『やめなさい。違うから。御相こでしょ。おいでギュッてしよう。まだ二人で仲直りのハグしてなかった』
ドスンと胸に収まるとシャツを掴んで背中に腕を回している。同じように俺もすると背中を摩りあった。
着替え終えるとリビングで阿部ちゃんが心配そうに待っていた。
亮平💚『翔太は?大丈夫?』
蓮 🖤『うん、今サメさんと抱擁中だよ。ごめんね阿部ちゃん、色々と辛い思いさせてるよね?』
亮平💚『俺は大丈夫。2人の間に無神経にも割って入ってるんだ。多少のペナルティがある事くらい承知している』
蓮 🖤『そんな・・・困ってる事はちゃんとお互い言おう。我慢して誰かが嫌な思いするのはごめんだよ。きっと翔太くんはそれを望まない』
亮平💚『なんか涼太に似てきた?やだやだ似合わないよ蓮・・・お風呂翔太と入っておいで』
何が正解かは分からないけど、館さんから言われたように辛かろうが受け止めよう。翔太くんが〝俺だけの愛〟を求めてくれるまで。
コメント
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素晴らしいね、最高だね。待ってた。 なんか、本当にみんなが幸せなゴールへ向かって欲しい😭😭😭切に願うまきぴよ。 そして、センシティブ回待ってる笑