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私を大学まで出してくれた両親には感謝しかないし、せめて2人の毎日の食事だけは困らないようにと、ほんの少しだけお給料から援助している。きっと何の足しにもならないだろうけれど、それだけはどうしても譲れなかった。
龍聖君も、この3年間、お父さんの跡を継ぐために必死に頑張っている。
とんでもなく巨大なプレッシャーを抱え、落ち込む日々もあるだろう。それでも、私には想像もつかない世界で、鳳条グループを守るために戦っているんだ。
その生き方は、友達として、仲間として、本当に尊敬する。
もちろん、龍聖君だけじゃない、他の同級生達もみんなそれぞれしっかり前に向かって歩んでいる。
私も……負けていられない。
両親の工場を守るアイディアがあるわけではないけれど、今、目の前にある美しい桜が、その咲き誇る姿で「琴音、頑張れ！」と応援してくれているから、だから、私もそれに応えたい。
やっぱり、諦めたくはないから――
そう思った瞬間、桜の花びらが1枚、宙をひらひらと舞った。地面に落ちる最後の最後まで、その姿はとても美しかった。
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