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※なんでもありなので注意
※地雷さんばいばい
※伽羅崩壊有り鴨……
rd × pn
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『 優しさの檻 』
部屋には時計もない。カーテンも開けない。
時間を数えることができない世界で、らっだぁの声だけが 「今」を知らせる 。
「 …… ん 、ぺいんと 。 起きて 」
「 俺のことだけ見て 、 ね ? 」
俺は少し眠たげに目を開ける 。
ベッドの隣には、当然のようにらっだぁがいる
「 朝だよ、 俺が朝って言ったから今は朝 」
「 ……俺の声が、世界のルール。ぺいんとはそれだけ覚えればいいから 」
その言葉に、少し戸惑いながらも、頷いた 。
ごく自然に、反抗する選択肢を思いつかない。
らっだぁは、にこっと微笑んで、首に巻かれた細いリボンを指でくくる。
「 今日もつけてくれる? 」
「 …… 俺の って印だよ 。 脱いだら悲しくなる 」
黙って頷いた。
胸の奥で、微かに「おかしい」と思う感情がそれ以上に強い「捨てられたくない」という恐怖に押しつぶされる。
__朝食は、らっだぁが作る。
俺はソファで待つだけ。
服も、スマホも、財布もどこにもない。
あるのは、らっだぁが選んだ服と、
らっだぁが許可した言葉と、
らっだぁが与える優しさだけ。
「 ぺいんと、 今日も “いい子” だね 」
「 ちゃんと俺の言うこと聞いて、甘えてくれて …… 可愛いよ ♡ 」
そうやって、褒められるたびに、心 が暖かくなる。 安心する。
同時に、何かを失っていく。
自分の言葉。自分の意思。
けれど、それが苦しくない。
……苦しくないことが苦しい。
夜になると、らっだぁはベッドの上で俺の手を握って囁く。
「 ねぇ、 ぺいんと 」
「 お前がどっか行ったら、俺多分壊れるよ?」
「 ……だから、お願い。 俺から離れないで 」
まるで脅しのような告白。
でも、それはとても優しくて俺も思わず目を伏せる。
( 俺が……いなくなったら、らっだぁが壊れる? )
違う。多分本当は逆なのに。
自分の方が、もうらっだぁがいなきゃ何も出来ないのに。
それを 「心配されてる」と思い込んでしまう。
こうして、支配の檻は、甘く深く ……
無音で、確実に、彼を閉じ込めていった。
。