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塩 﨑 _ .
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𝕔𝕠𝕔𝕠
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もなか
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勇side
勇斗の部屋・帰宅後
「ただいま……。はぁ、マジで死ぬかと思った……」
なんとか人目を盗んで、ボロボロの裸足のまま自分の部屋へと滑り込む。
鍵を閉めた瞬間、全身の力が抜けてその場にへたり込んでしまった。
すると、胸元の大きすぎるパーカーの隙間から、ぽんっ!と煙が弾ける。
「――っ、つ、疲れたぁぁ……!」
そこにいたのは、猫ではなく、人間の姿に戻った仁人だった。
どうやら、勇斗の「好き度メーター」が落ち着いたことと、安心感から、一時的に人間の姿に戻れたらしい。
「じ、仁人!? お前、戻ったのか!?」
「あ、ああ……。なんか急に視線が高くなったと思ったら……。っていうか、お前、床に血がついてるぞ! 早く座れ!」
仁人は自分の着ているブカブカのパーカーの裾を気にしながらも、慌てて救急箱を引っ張ってきた。
「ほら、足出せ。洗面所で洗う気力もないだろ」
床にペタンと座り込んだ仁人が、勇斗の傷だらけの足を自分の膝の上に乗せる。
消毒液をたっぷり染み込ませた綿を、優しく、でも容赦なく傷口に押し当てた。
「いっ、た!! 仁人、痛いって!」
「うるさい、我慢しろ。ヤンキーの勲章なんだろ?」
不敵にニヤリと笑う仁人。
さっきまで猫の姿で足を舐めていた男が、今は人間の手で自分の足を丁寧に手当てしている。
その距離、わずか数十センチ。
仁人の綺麗な指先が、勇斗の足首をそっと支えている。
その手の温かさが伝わってきて、勇斗の心臓はまたしてもバクバクと暴れ始めた。
「……なぁ、勇斗」
仁人が、俯いたままボソッと呟く。
「……ん?」
「さっき、その……駅裏で言ったことだけどさ」
仁人の耳が、みるみるうちに真っ赤に染まっていく。
「あれは、本当に緊急事態だったからな! お前が過呼吸で倒れそうだったから、気付けっていうか、人工呼吸的な意味でやっただけで……! 別に、他意は、ないからな……!」
必死に言い訳をする仁人の顔は、真っ赤を通り越して、今にも爆発しそうだ。
(……ダメだ。可愛すぎる)
勇斗の脳内で、再び警報が鳴り響く。
『警告:勇斗の好き度メーターが限界を突破します』
「あ、おい、勇斗? なんで黙って……って、お前また顔が真っ赤だぞ!」
「仁人……お前、それは反則だろ……」
「はぁ!? 何がだよ!」
「そんな顔で言い訳されたら、俺……もう我慢できない」
勇斗は怪我の痛みも忘れて、仁人の細い手首を掴み、グッと自分の方へ引き寄せた。
「わっ、とと!?」
バランスを崩した仁人の体が、勇斗の胸の中にすっぽりと収まる。
人間の、温かくて少し細い体。
猫の時とは違う、本物の仁人の重み。
「勇斗……?」
驚いて見上げてくる仁人の唇を見つめながら、勇斗はゆっくりと顔を近づけた。
「今度は、緊急事態じゃなくて……ちゃんとしたやつ、していい?」
「――ッ!?」
仁人はカッと目を見開いた。
その瞬間。
ポンッ!!!
派手な音と煙が弾け、勇斗の腕の中にいたのは、再び首輪をつけた真っ白な子猫になっていた。
「みゃ、みゃううううーーー!!!(ば、バカ、バカ! 何考えてんだ変態勇斗ーーー!!!)」
真っ赤な顔をした子猫の仁人が、勇斗の顔面に強烈な猫パンチを連打する。
「ぶふっ! 痛い痛い! ごめんって仁人! ああ、またメーターがバグったせいで猫に戻っちゃったじゃん!」
「みゃうー!!(お前が変なこと考えてメーター上げるからだろ!!)」
フーフーと荒い息を吐きながら、仁人はベッドの隅へと逃げていき、毛布の中に潜り込んでしまった。
毛布が丸くモコモコと動いている。
怒っているのが丸わかりだ。
勇斗は顔を押さえながら、思わずへにゃりと笑ってしまった。
「あーあ、嫌われちゃったかな……。でも、次こそは絶対に、人間のままで抱きしめてやるからな」
「みゃーう!(うるさい、一生寝てろ!)」
毛布の隙間から、フイッと尻尾だけが突き出る。
人間の姿に戻すための「愛の出力コントロール」への道のりは、まだまだ、想像以上に長そうだった。
fin
コメント
1件
もうダメ、今回の話、反則級に萌えたわ……! 足の手当てしてる仁人の指先が細くて綺麗で、しかも耳真っ赤にして言い訳するとことか、なにその破壊力。勇斗の「ちゃんとしたやつしていい?」はズルすぎるだろって思ったけど、その直後に猫パンチ連打のオチもちゃんと持ってくる構成、好きすぎる。次こそ人間のままで抱きしめてほしいけど、焦らず愛の出力コントロール、応援してます🔥