テラーノベル
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犯人グループ視点___
「……チッ、何なんだこれは」
都内の一角に聳え立つ高級オフィスビル。『アーク・ソリューションズ』と書かれた看板の裏手にある暗いサーバールームで、俺——『シンジケート・クロノス』日本支部の最高実行責任者は、不機嫌にキーボードを叩き叩いていた。
モニターを埋め尽くす赤い警告表示。
我々が数年かけて構築した最新鋭の暗号化プロトコル、そして『ファントム』様から授かったマインドコントロール用の特殊な心理周波数データが、恐ろしいスピードで解読され、書き換えられていく。
「ボス……! 警察のサイバー班ではありません! 入力されている解析コードのアルゴリズムが、あまりにも異常です!」
隣で青ざめた顔の部下が悲鳴をあげる。
「警察の国家規格システムなどではない……もっと泥臭く、それでいて怪異めいた『人間の情念』や『心理的痕跡』を直接デジタルデータに変換して流し込んできているような……そんな不気味なノイズです! 防御壁(ファイアウォール)が内側から腐食していく……っ!」
「馬鹿な……! 我々のシステムは、人間の脳の隙間に入り込み、精神を壊して支配するための完璧な『科学』だぞ! それを書き換えるだと……!?」
俺は額に嫌な汗を浮かべ、画面を凝視した。
画面の隅に、煽るように打ち込まれた一文。
『——精神的負荷の軽減、および心理的痕跡の解読完了。暗号文の裏に隠された「ノイズ」は、全てこちらで消去した。あとは警察(大人たち)の仕事だ。 / オカルト探求研究会 & 皐月』
「オカルト……? サツキ……? 何だそのふざけた名前は……ッ! どこかの裏の能力者か!?」
その時だった。
バァァァァンッ!!!
オフィスの重厚な強化ガラス扉が、耳を聾する爆音とともに粉々に砕け散った。
「警察だ! 動くなぁぁッ!!」
怒号とともに雪崩れ込んできたのは、防弾ベストを着用した警視庁の突入部隊(SAT)と、捜査一課のデカどもだった。
「ひっ……!? な、なぜここが……ッ!?」
「証拠隠滅の隙を与えるな! 端末を押さえろ!」
混乱する部下たちが銃を抜く暇すら与えられず、次々と床に叩きつけられていく。
その乱戦の先頭を切って駆け込んできたのは、くたびれたジャケットを着て、目つきを凶暴にギラつかせた一人の男だった。
「お前が……日本支部の責任者だな」
「な……ッ! 警察(デカ)……お前たちごときに、我々『クロノス』の理念が……ファントム様の支配が崩せると思うなよ! 我々は人の精神すら——」
俺がデスクの下の緊急自爆スイッチに手を伸ばそうとした、その瞬間。
男——峯岸が、手加減なしの拳を俺の顔面のど真ん中に叩き込んだ。
ゴッ!!!
「がぁぁッ!?」
鼻骨が砕ける不快な音とともに、視界が真っ赤に染まる。床に倒れ伏した俺の胸元を、峯岸は容赦なく靴で踏みつけた。
「ガタガタうるせぇんだよ、クソ野郎。人の頭の中に足足踏み入れて、命や記憶を弄んでんじゃねぇ」
胸を踏みつける足にぐっと体重がかけられ、息が詰まる。
峯岸は煙草の匂いをさせた顔を俺の至近距離まで近づけ、胸ポケットから警察バッジを突きつけて見せた。
「お前らがどんな大層な科学や洗脳使おうがな……人の痛みが分かる『うちの探偵(ガキ)』の根性には、最初から勝てねぇんだよ」
「サ……ツキ……だと……? あいつは……一体……何者なんだ……ッ!?」
俺が吐血しながら絞り出した問いに、峯岸はヘラヘラと、だがどこまでも凶暴で頼もしい笑みを浮かべて見せた。
「ただの女子大生だ。……だがな、いずれお前らみたいな悪魔どもを片っ端から引きずり降ろす、世界一強情で最強の『探偵様』だよ」
ガチャリと、冷たい手錠の感触が俺の両手首を締め上げた。
画面越しに我々の完璧な王国を破綻させた『皐月』という謎の存在。そして、泥臭く現場を叩き潰した刑事たち。
『クロノス』の日本ルートは、何もかもが白日の下に晒され、完膚なきまでに壊滅したのだ。
桜咲かな
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#学園
人間🫧🪄/👤💚
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コメント
1件
第21話、一気に読んじゃいました!犯人のボス視点から描かれる展開、新鮮でしたね。科学と心理操作で完璧を誇ってた連中が、皐月さんの「情念」みたいな泥臭い解析にやられてるところが痛快で…。最後の峯岸刑事のセリフ、胸熱でした。「ただの女子大生」の一言で全てを持っていく皐月さんの存在感、改めてすごいなって思いました。次が気になります〜!