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嵐の夜を経て、私たちの関係は確実に変わった。
けれど、それは甘いだけのものではなかった。
「……海老名。今日の昼食は俺の部屋で取れ。外へ出る必要はない」
「えっ、でも、今日は同期の子とお弁当を食べる約束が……」
「断れ。……お前の体調管理も、俺の仕事だ。昨夜、あんなに熱かった身体を外気に晒して、風邪でも引かれたら効率が下がる」
冬馬先生はカルテから目を離さずに、淡々と、けれど有無を言わせない口調で命じた。
『昨夜』という言葉に、私の顔は一気に火照る。
周囲には他の医師もいるのに、彼は平然と爆弾を落としてくる。
(……先生、確信犯だ)
結局、同期には適当な理由をつけて断り
私は先生の個人研究室で、彼が用意させた高級な仕出し弁当を広げていた。
「…先生、最近ちょっと厳しすぎませんか? 飲み会も禁止、他科の先生との雑談も禁止なんて……」
「当然だ。お前は無防備すぎる。……それに、俺以外の男がお前に触れることを想像するだけで、執刀中の集中力が削がれると言ったら、お前はどう責任を取るつもりだ?」
先生は椅子を回し、私のすぐ目の前まで詰め寄った。
白衣の袖を捲り、長い指で私の頬を包み込む。
その手つきは驚くほど優しいのに、瞳には獲物を逃さない獣のような光が宿っている。
「…それは、お仕事に支障が出るのは困りますけど……」
「なら、俺の監視下にいろ。……海老名。お前は、俺がつけた痕のことだけを考えていればいいんだ」
そう言って、先生は私の襟元を少しだけ引き下げ、一昨日につけた痕の残りを、なぞるように愛撫した。
「ひゃっ……、先生、…ここ、すぐ誰か来るかも……っ」
「……来させない。ここは俺の領域だ」
強引に唇を奪われる。
昨夜の激しさを思い出すような、深くて甘い口づけ。
仕事中の凛とした彼と、二人きりで見せる独占欲の塊のような彼。
その境界線が溶けていくたびに、私は彼という迷宮から抜け出せなくなっていく。
けれど、その「過保護」な壁が、思わぬ形で私を追い詰めることになる。
医局の入り口で、私たちの様子を窺うような鋭い視線があることに、私はまだ気づいていなかった。
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