⚠自己満夢小説
⚠愛され
⚠1年ズとカラオケ
⚠ナンパ男あり
「釘崎〜、aiko歌ってよ」
「私1曲目は陽水って決めてるから」
「じゃあ間をとって椎名林檎」
「なんで陽水とaikoの間が林檎なのよ」
とある休日の日。
繁忙期を乗り越えてたまたま休みの日が被った私を含めた同級生4人組は、某カラ館に来ていた。
遡ること1時間前。
私と野薔薇ちゃんが共有スペースで談笑しているところに、コンビニ帰りの虎杖くんがやって来た。
「あれ、〇〇と釘崎もオフ?」
「虎杖くん。そうだよ」
「やっとの休みよー。呪術師の人手不足も重大な問題ね」
はーあ、と大きくため息を吐く野薔薇ちゃん。相当ストレスが溜まってるようだ。
かくいう私も最近は任務三昧で、学業との両立や日々の稽古も相まって心身ともに疲れているのはたしか。
だから普段なら野薔薇ちゃんと2人で出かける休日も、今回は高専の中で大人しくしようということになったのだ。
「それならさ、カラオケでも行かね?」
「カラオケ?」
「ストレス発散になるじゃん。伏黒も呼んでさ」
「それもアリね…。歌いまくってストレス発散よ!」
ノリノリな野薔薇ちゃんを見て、虎杖くんは伏黒くんを呼びに共有スペースを出て行った。
私も久しぶりに皆と出かけられるのは嬉しい。
私と野薔薇ちゃんも一度部屋に戻って、支度を終えたら皆で寮の前に待ち合わせたのだった。
虎杖くんと野薔薇ちゃんが陽水とaiko論争をしている間、伏黒くんが操作端末を私に渡してくる。
「先に入れておけ」
「え!私が最初?」
「コイツらが最初だと一生決まんねぇだろ」
コイツらと言いながら虎杖くんと野薔薇ちゃんの方に目をやる伏黒くん。
私は自分が初手なことに若干不安を感じつつも、伏黒くんの言うことにも頷けるので、十八番である人気女性ボーカルのバンドの曲名を打った。
画面に予約完了と表示され、間もなくして音楽が流れる。
「お、ヨル○カじゃん!」
「中々いいチョイスね」
陽水とaiko論争をしていた2人も、曲が始まると静まり、それぞれドリンクを飲んだり次の曲を入れたり、タンバリンを叩いたりと盛り上がった。
少しの気恥しさを覚えつつも、この3人の前で緊張する必要もないと思ってリラックスして歌う。
私が歌った1曲目を皮切りにスムーズに各々の歌いたい曲が予約されていき、最初の詰まりは無かったかのようにカラオケは順調に進んでいった。
事件が起こったのは、始まって2時間ほど経った頃のことだった。
「そろそろ飲み物取ってくるけど〇〇と釘崎は何がいい?」
「え、私も行くよ」
「いいのよ、虎杖と伏黒に任せておけば」
「うーん、じゃあ温かいココアで。ありがとう」
「おう!行くぞ伏黒」
「私お手洗い行ってくる」
そう言って虎杖くんと伏黒くんはドリンクバーに、野薔薇ちゃんはトイレに、私は荷物番として部屋に残ることになった。
一人スマホを眺めながら待っていると、思っていたより早くドアが開く気配がする。
誰かが戻ってきたと思って顔を上げると、そこには知らない男の人が2人いた。
「え、」
「ほんとだ、めっちゃ可愛いじゃん」
「だろ?」
さも当たり前みたいに入ってきたその人達に驚いて体が動かない。
強いお酒の香りが部屋に広がり、酔っているのが分かった。
「君一人?それともお友達と一緒?」
「あ、と、友達と…」
「女の子?」
「ならその子も一緒に俺達と歌わない?」
「いや…」
なんで名前も知らない大人と歌わなきゃいけないんだとか、そもそも友達は男の子もいるしとか、言いたい事は沢山あるのに喉でつっかえて上手く喋れない。
「ぃ、嫌です…」
「え?」
「なんで?笑」
なんでってこっちのセリフだ。
勇気を出して振り絞った言葉は男達には響かなかったらしく、一人が隣に座ると私の手を握ってきた。
「嫌…、みんな……」
助けて…!
目に涙が滲んで、そう心の中で叫んだその時。
「何してんの?てか誰?」
「知り合い…じゃなさそうだな」
「ウチの〇〇に触ってんじゃねぇよ」
聞きなれた声に顔を上げる。
そこにはドリンクを持った虎杖くんと伏黒くん、野薔薇ちゃんがいた。
「なんだよ、男いんのかよ…」
「あ゙?」
一人の男がボソッと言うと、伏黒くんが鋭い眼光でその人を睨みつける。
すると虎杖くんが私の手を握っていた男の腕を掴んだ。
「嫌がってんだろ。離せよ」
「ひっ…!」
虎杖くんが手に力を込めると、男は顔を歪めて私から離れる。
「な、なんだよ…!」
「行こうぜ…」
「二度と来んなグズ共」
そそくさと部屋を出ていく男達に野薔薇ちゃんが吐き捨てる。
ドアが閉まると、怖い顔をしていた3人は途端にいつもの表情に戻って、私に駆け寄ってきた。
「〇〇!大丈夫!?怪我はないわよね?」
「悪い、女一人にさせるべきじゃなかったな」
「怖かったよな!ごめんなぁ」
「わ、私は大丈夫!皆ありがとう。私も曲がりなりにも呪術師なのに、ダメだなぁ」
私はひきつる頬を上げて笑ってみせる。
すると虎杖くんが悲しそうに眉を下げてから、ドアの方を見て言った。
「やっぱちょっと殴ってくる」
「ダメだよ!?」
「いいのよ、一発くらい入れさせなさい」
「警察沙汰になっちゃうから!」
「抑えろ虎杖」
青筋を立てて怒りをあらわにする虎杖くんの肩を、伏黒くんが掴んで制止する。
「本当に大丈夫だから!皆が来てくれたおかげでもう怖くないよ!私のためにそんなに怒ってくれてありがとう」
虎杖くん達を止めるために言ったけど、これは紛れもない本心だ。
虎杖くん達は私の言葉に目を丸くすると、頭を抱えたりため息を吐いたりし始めた。
「はぁぁぁ…」
「え、なんでため息吐くの?」
「〇〇やっぱズルいわ…」
「よし、気を取り直して歌いましょ」
「そうだな」
「??」
なんだかよく分からないけど、ひとまず皆の怒りが治まってよかった。
その後は野薔薇ちゃんとデュエットしたり虎杖くんが高得点を叩き出したりと、たまの休日を満喫したのでした。
コメント
3件
最高すぎました!!癒されました🥰🥰 事変ってサブタイトルにあって何事だ!??と思ったらそういうことだったんですね…ヨカッタ😐 カラオケって青春ですね〜🤭💕 でも私人前で歌うの苦手なのであんまり…あの顔面偏差高い人達の前だと石になりそう…😇😇 てまり様はどっち側ですか🤔
この連載ではこんな感じのほのぼの系をたまーーに載せます! お暇な方、癒されたい方はぜひ読んで行ってください(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)