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「お前、今のほうがいいよ」

鬼はきょとんとしている。

『なんで?』

「無理に僕なんて使わなくていい、素のお前を出せばいい。今よりもお前のいつものほうがいいよ」

鬼は少し戸惑っている。

『ま、待っ、なんで?』

いきなりの俺使い、いつもより少しトーンが低い声。

「毒舌でも俺には関係ないよ」

『なんでお兄さんはそういうのに気づいちゃうんだろう?』

鬼は静かに笑う。今のほうがずっといい。今のほうが俺は好きだ。

『お兄さんはなんで死のうとしてんの?』

「…」

鬼の表情は変わらない。

「特に理由はない…、けど」

『けど?』

俺はゆっくりと鬼の顔を見る。

「俺は生まれた時点でこの世界はクソゲーだと思ったから」

馬鹿みたいな理由だ。しかし、それくらいしか考えられないのだ。

『そっか』

鬼は微かに笑みを浮かべる。

「今から海に行く。夕日を見ながらゆっくりと」

『なら、俺の車乗って行きなよ』

「、ありがとう」

俺は鬼の車に乗って目を閉じて揺られた。

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