コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「お前、今のほうがいいよ」
鬼はきょとんとしている。
『なんで?』
「無理に僕なんて使わなくていい、素のお前を出せばいい。今よりもお前のいつものほうがいいよ」
鬼は少し戸惑っている。
『ま、待っ、なんで?』
いきなりの俺使い、いつもより少しトーンが低い声。
「毒舌でも俺には関係ないよ」
『なんでお兄さんはそういうのに気づいちゃうんだろう?』
鬼は静かに笑う。今のほうがずっといい。今のほうが俺は好きだ。
『お兄さんはなんで死のうとしてんの?』
「…」
鬼の表情は変わらない。
「特に理由はない…、けど」
『けど?』
俺はゆっくりと鬼の顔を見る。
「俺は生まれた時点でこの世界はクソゲーだと思ったから」
馬鹿みたいな理由だ。しかし、それくらいしか考えられないのだ。
『そっか』
鬼は微かに笑みを浮かべる。
「今から海に行く。夕日を見ながらゆっくりと」
『なら、俺の車乗って行きなよ』
「、ありがとう」
俺は鬼の車に乗って目を閉じて揺られた。