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Side 黄


「慎太郎。焦らなくていいよ。ゆっくりでいいから、何があったか話して?」

従業員さんに案内してもらった緊急用出入口でお化け屋敷を出た俺ら。何事かとメンバー4人も駆け寄ってきた。

俺は慎太郎をベンチに座らせ、丸まってしまった背中に手を添える。

乱れていた呼吸を落ち着かせてから、彼は小さく口を開いた。

「俺…暗所恐怖症なんだよ」

「え?」

思わず訊き返してしまった。そんなこと、初耳だ。

「ちっちゃいときから、暗いところが怖いの。そんなの情けねーよな。ずっと思ってる。だけど治んなくて。夜も、明るめで寝てるし」

それを聞いて、はっと思い出した。

昔慎太郎とホテルで同室になったとき、彼はベッド脇の間接照明をつけたままで寝ていた。当時はあんまり気にしてなかったけど、そういう理由だったんだ。

「そうか…ごめんな、お前の苦手なことに気づいてやれなくて」

ううん、と慎太郎は首を振る。

「SixTONESは隠し事なしって決めてたのに、言わなかった俺にも責任はあるしな。…でも、言うほどじゃないって思ってたから。今日も、行けるだろって意地張って…」

でも結局、過呼吸気味になるほどパニックにさせてしまったわけだ。申し訳なさでいっぱいになる。

「誰のせいでもないよ」

ふいに口にしたのは、北斗。「企画を立案したスタッフさんのせいにもできないし、慎太郎自身の責任でもない。冷たいようだけど、しょうがない」

そうだな、と樹も言う。

「俺も超怖かったもん。だけど慎太郎は、始まる前から不安だったんだよな。よく頑張ったよ」

そして慎太郎の頭をぽんぽんと軽く叩く。

唇にぎゅっと力を込め、こらえているようだった。

「ほら、行こ。ほかのアトラクションで遊ぼうか」

ジェシーはいつもの笑顔を見せて、すたすた歩いて行く。

「あ、ちょっと待ってよ。しんたろー、何乗る? 俺と一緒にジェットコースター乗ろうぜ!」

大我がジェシーに続いた。北斗と樹もついていく。

慎太郎は少しうるっとした瞳で笑い、立ち上がる。俺らはまた6人固まって、何事もなかったかのように次に乗るアトラクションを探した。

「ってかさ、俺ら行く必要あった? マジで怖かったんだけど」

「いいじゃん。俺は楽しかった」

最初にチャレンジしたほくじゅりは、何だかんだ言って楽しそう。

「よかったね。俺ら行かずに済んだ」なんてジェシーと大我はちょっぴり嬉しそうだ。

そして、俺らはこのペアに再び分かれて、それぞれ好きなアトラクションに向かった。


またひとつ、分かち合って絆を深めた俺ら。

まだ、誰か言えない秘密を抱えている人はいるかもしれない。

だけどそれも全部、6人で一緒に持てたら。

そうやってこの星に溢れてる光を集めて、それぞれの人生を、世界をみんなで明るく照らしていこう。


終わり

6つの原石、それぞれの音色

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コメント

1

ユーザー

どの作品も素敵です!

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