テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「ーー様に御用か?」
『お前は誰だっ!』
「質問に質問で答えるな。」
「待ってアーサー、落ち着いて。」
人間では無い気配に警戒した俺を宥め、フランシスはその”人ならざる者”を説得し始めた。
「俺はフランシス。此奴はアーサー。」
「君の言うそのーー様に会いたいんだ。」
フランシスの割には友好的に紳士的に話しかけていた。
ーー様って誰だろうか。
上手く聞き取れなかった。
そういえば俺の時はナンパみたいだったのに、こういう場ではしっかりするんだな。
「敵意はないと判断した。」
「着いてくるよろし。」
「Merci!」
『Thank you…』
西洋とはかけ離れた不思議な服を着た其奴は、スタスタとこちらのことなど気にする素振りも見せずに歩き出した。
なにか話しかけることのできる雰囲気という訳でもなく、俺たちは黙ってそいつについて行った。
「菊様、入っていいあるか?」
「ええ、どうぞ。」
菊様と呼ばれているのが聞き取れた。
先程のーー様と同じ人物だろうか。
戸の向こうからは落ち着いた低い声が聞こえる。
「菊、やっぱり外出服も似合うある〜!」
「離れてください、耀さん。」
先程まで俺たちを睨んでいた其奴とは別物に思えるような態度に、俺はともかくフランシスまでも驚いていた。
俺たちは気を取り直して、来た理由について話した。
「アルフレッドさんの通信が途絶えたと思ったら、貴方方でしたか。」
「ここまで長かったでしょう。」
「はるばる来てくださりありがとうございます。」
「どうぞお掛けくださいな。」
警戒されたりするどころか、歓迎するような言葉をかけられた。
感謝される理由がわからず、言われるがままに座る。
「アルフレッドさんはそこに寝かせてあげましょうか。」
「耀さん、お願いしますね。」
「菊が言うなら…」
「こっちに引き渡すよろし。」
お茶を出され、友好的に話すことができた。
けれど、マシューのことやアルフレッドのことを話題に出すと菊は顔を歪めた。
『アルフレッドを操ってたのはお前か?』
「アーサー、ド直球過ぎない?」
『仕方がないだろ。』
こんなに友好的なやつがアルフレッドを操る理由が分からなかった。
だから聞いた。それだけだ。
「ええ、私ですよ。」
『なんでそんなことをするんだ。』
そんな質問を投げかけると、また菊は少し困ったような顔をした。
そして、少ししてから重い口を開くように話し始めた。
「…寂しかったのです。」
『え?』
「山の奥ですから、寂しいのです。」
そんな理由で、と思ったが、菊の顔を見ていると嘘とは思えなかった。
「”ずっと”昔から”独り”でした。」
『…』
「菊、そんな奴に昔を話すことないある!」
「思い出させたくないあるよ…」
「いえ、いいのです。」
「私が話すと決めたのですから。」
耀を安心させるように微笑んでから、菊は真面目な顔になって話し始めた。
顔を伏せていたから表情はあまり見えなかったが、混み上がる感情に耐えながら話してくれたのだろう。
「アルフレッドくんとの出会いは、5年ほど前でしょうか。」
499
24
2,030
「迷い込んだところを保護したのですが、私によく懐いてくれましてね。」
アルフレッドが自分から操られたというのは、あながち間違いじゃないのだろうか。
「アルフレッドさんは、私と”共に生きる”と言ってくださったのです。」
『共に…生きる…?』
「それから、アルフレッドさんは歳を取らなくなりました。」
言葉の意味がわからず、思わず聞き返す。
『ちょっと待て、歳を…取らなくだと…?』
コメント
3件
菊さんが出てた気がして読み返しました!マシューでした!そしてマシューはどこ??…存在感消えた?ーー??は菊さんだったんでしょうか?そしてそれを話してたのは耀さんだったのは分かりました!あ、それ以外は分かりません!