「…三日月、三日月…」
喉元を込み上げる思いに、ただ彼の名前を繰り返し呼ぶ。
「そんなに呼ばなくても、私は、ここにいるでしょう?」
腰にまわされていた腕で、身体がぎゅっと抱き寄せられ、
「もっと、あなたをいじめてもかまいませんか…?」
ひそめた声で囁きかけられる。
三日月の低く甘い声が耳の奥をくすぐる。
「えっ…あの……」
いじめるって、どういう……。動揺が走り、何も返せずにいると、
「否定をしないということは、同意と受け取っていいのですよね?」
口の端で微かに笑う彼の顔に、サディスティックな一面が覗いた気がした。
「あっ……」
首筋に唇が触れて、肌についばむように吸いつく。
「……ここに、キスマークを……。あなたが、私のものである証に……」
彼の唇が離れ、代わりにしなやかな指の先が、口づけられて熱く疼く私の首筋をなぞる。
「あなたの…もの…」
「そう、私のものだと、皆に見せつけるために…」
三日月のいつもは穏やかに凪いだ瞳の中に、燃え立つ炎のような熱情が浮かんで見える。
その眼差しにまるで虜まれたかのように、私は目を反らすことさえもできなかった……。