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北はいつも優しかった。
朝、目が覚めると「おはよう」と笑顔で迎えてくれる。
夜、眠る前には「おやすみ」と囁いてくれる。
最初はただの恋人同士の甘いやりとりだった。 けれど、少しずつ違和感が積み重なっていった。
友だちと遊びに行こうとすると、北は必ず「行かないで」と言った。
「だって、韓国は俺のものだから」
冗談のように笑っていたが、その目は笑っていなかった。
スマホを開くと、北からのメッセージが何十件も届いていた。
「今どこにいるんだ?」
「誰と話してる?」
「以外の人と笑うな」
最初は少し重いだけだと思った。
でも、ある日気づいた。
友だちからの連絡が急に途絶えていた。
「最近、韓国に連絡しても返事がないね」と言われたが、自分のスマホには通知がなかった。
机の上に置いたはずの鍵が、いつの間にか北のバッグに入っていた。
「韓国が忘れないように、俺が持ってるね」 そう言って笑った。
ある夜、眠りにつこうとしたとき、耳元で北が囁いた。
「ねえ、韓国がいなくなったら、俺も生きていけないよ。だから安心して。絶対に、韓国をどこにも行かせないから」
その声は優しくて、甘くて、心地よかった。 でも、背筋が冷たくなった。
翌朝、玄関のドアには新しい鍵がついていた。 北が取り替えたのだ。
「これで安心だね。もう、外に出なくてもいい」
窓の外には、いつもの街が広がっていた。 けれど、もうそこへは行けない。