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名前 ⇨ 〇〇
『』 〇〇
「」 国見英
〇〇 ⇨ 3年生 国見 ⇨ 1年生
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「……。先輩、本当に行くんですか」
夕日に染まった渡り廊下。国見くんは、卒業前に貰う私の卒業記念品が入った紙袋をひょいと奪い取るように持つと、不機嫌そうに視線を逸らした。
『そりゃあ、卒業だもん。国見くんたちも、すぐ2年生でしょ』
「わかってますよ。……でも、効率悪い」
『えっ、何が?』
「俺が先輩を探す手間が増えるのが。大学、ここから電車で1時間以上かかるじゃないですか」
彼は、コートの上で見せるあの鋭い観察眼を、今は私を困らせるためだけに使っている。
1年生の彼がバレー部に入ってきた時から、私はこの「掴みどころのない後輩」に振り回されっぱなしだった。
ドリンクを渡せば「ぬるい」と文句を言い、サボろうとしては私に見つかって、渋々練習に戻る。
そんな毎日が、あと数日で終わる。
『……国見くん、寂しいの?』
少しだけからかうつもりで顔を覗き込むと、彼は足を止めた。
いつもは気だるげな瞳が、真っ直ぐに私を射抜く。
「当たり前でしょ。……先輩がいないと、俺、もっとやる気出さないですよ」
彼はふいっと顔を背けて、空いた方の手で私の制服の袖をぎゅっと掴んだ。
その指先が少しだけ震えていることに気づいて、胸の奥がツンと痛む。
「……先輩が好きそうなカフェ、あっちの駅の方にできたらしいですよ。俺、場所調べといたんで」
『え……?』
「卒業しても、俺にこれくらいの『偵察』させる権利、ありますよね。マネージャーなんだし」
独占欲が透けて見える、彼らしい誘い文句。
「偵察」という言葉を使いながら、耳の先がほんのり赤い。
『……。わかった。場所、教えて?』
私が笑って答えると、彼はようやく満足したように、掴んでいた袖を離して、今度は指先を私の手の甲にそっと重ねた。
「約束ですよ。……明日も、明後日も、卒業式のあとも。俺、先輩のこと無駄足にはさせないんで」
春の風が、少しだけ冷たく、でも優しく二人の間を吹き抜けていった。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ 卒業当日_ _ _ _ _ _ _ _ _ _
校門の近くには、花束や寄せ書きを手にした卒業生たちが溢れ、どこか浮ついた、でも切ない空気が漂っていました。
バレー部のマネージャーとして過ごした3年間。最後の日まで、私は後輩たちの騒がしい声に囲まれていました。
「先輩、本当に行っちゃうんですかー!」と泣きつく金田一くんの横で、国見くんだけは、いつも通り欠伸を噛み殺しながら、少し離れた柱にもたれかかっていました。
ようやく人だかりが落ち着いた頃。
彼は、私の隣に音もなく歩み寄ってきました。
「……やっと静かになった」
呆れたような、でもどこか必死さを隠したような声。
彼は制服のポケットに手を突っ込んだまま、真っ直ぐに私を見つめました。
「先輩。……ちょっと、こっち」
促されるまま、人気のなくなった部室棟の裏へ。
そこは、夏に彼がよくサボって私に怒られていた、思い出の場所でした。
「卒業、おめでとうございます」
手渡されたのは、小さな花束。
彼が選んだとは思えないほど、可愛らしい淡い色の花。
『あ……ありがとう、国見くん』
「……それだけ?」
彼は一歩、距離を詰めました。
見上げるほど高くなった背丈に、1年生の時とは違う「男の子」の熱を感じて、心臓が跳ねます。
「俺、効率悪いこと大嫌いなんです。……だから、1回しか言いませんよ」
彼は私の視線を逃がさないように、少しだけ屈んで顔を近づけました。
いつもは気だるげな瞳が、今は驚くほど真剣で、熱い。
「卒業しても、俺のマネージャーでいてください。……部活の、じゃなくて。俺個人の」
一瞬、言葉の意味を咀嚼するのに時間がかかりました。
「それって……」と呟きかけると、彼は私の戸惑いを遮るように、私の右手を自分の左手で強く、でも壊れ物を扱うように優しく包み込みました。
「……好きです。先輩が大学に行っても、俺が3年になっても、ずっと」
冷たいはずの彼の指先が、驚くほど熱い。
「返事、……今すぐじゃなくていいです。でも、忘れないでください。俺、先輩のこと、絶対あきらめないんで」
そう言って、彼は少しだけ意地悪に口角を上げました。
それは、彼が試合で相手を翻弄する時に見せる、あの自信に満ちた笑顔。
「俺に『無駄足』を踏ませるか、それとも『最高の選択』にするか。……先輩次第ですよ」
春の陽光の中で、彼は初めて、甘く、独占欲を隠さない顔で笑いました。
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先輩、後輩の関係‼︎
長くなりました😖
国見くんの口調わからないかも💭