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おまる
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カーテンの隙間から差し込む朝日が、私のまぶたを叩く。
ゆっくりと意識が浮上する中で感じたのは、いつものベッドとは違う、少し硬いけれど温かい感触。
「……あ」
目を開けると、すぐ目の前に高瀬くんの喉仏があった。
私は、彼の腕の中にすっぽりと収まったまま、ソファで朝を迎えていたのだ。
昨夜、彼に頭を撫でられながら、あまりの心地よさにそのまま意識を失くしてしまったらしい。
「……おはよ、ございます」
頭上から降ってきた、少し掠れた低い声。
見上げると、寝起きの少し乱れた髪の高瀬くんが、蕩けるような笑顔で私を見下ろしていた。
「っ……!!」
昨夜の記憶が一気に脳内を駆け巡る。
『甘やかして』なんて、自分から、あんな……!
私は弾かれたように彼の腕から飛び出し、床に着地した。
「ごめんなさい! 私、なんてことを……!お酒の勢いというか、その、忘れて頂戴!」
顔が爆発しそうに熱い。
両手で頬を押さえながら逃げる私を、高瀬くんはソファに座ったまま、余裕たっぷりに眺めている。
「忘れるなんて無理ですよ。あんなに可愛く『甘やかして』なんておねだりされたの、一生の宝物にするつもりですから」
彼は楽しそうに笑いながら立ち上がると、私の隣まで歩いてきて、ひょいと私の顔を覗き込んだ。
「昨夜のリクエスト、またいつでも受け付けますよ? …俺、先輩に甘えられるの、嫌いじゃないんで……っていうか、大好きですから」
「……っ、もう、バカ……」
昨夜の「男の顔」はどこへやら。
今はまた、いたずらっ子のようなワンコの笑顔に戻っている。
でも、その瞳の奥には、私を逃がさないという確かな熱がまだ残っていた。
「さ、朝飯にしましょう。今日はフレンチトーストです。先輩、甘いの好きでしょ?」
「……好き」
キッチンから漂う甘い香りと、彼の背中。
気まずくて死にそうなのに、心のどこかでは
「今夜もまた、あの手に撫でられたい」と思っている自分がいた。