心地よい風で目を覚ました。
⋯ここはどこだ?
確か、屋上でカッターやられて、気絶しかけたら、
「気がつきました?」
「あぁぁああぁぁぁああぁ」
「どんな反応っ⋯?」
思わず変な声が出た。
しょうがないじゃん目ぇ覚ましたらいきなり話しかけられたんだから。
そんな困惑されるとこっちも困るって。
てか誰。
「怪我大丈夫っすか?応急処置はしましたけど、立てます?」
「ん〜、まあ立てないほどではないかなって感じ。というかお前誰?」
質問し返すと、相手は慌てたように背筋を伸ばした。
⋯やっぱ背たけぇな。
「あ、一年のぐちつぼといいます。はじめまして⋯っすよね?」
「はじめましてだね〜。ぐちつぼ、ね。俺は⋯三年のらっだぁ」
「らっだぁ先輩ですね、了解です」
「あー、敬語とか先輩呼びいらないからね」
「ん、わかった」
「適応はっや」
先輩呼びとか敬語とか、今まで縁も所縁もカスほどもないものだったから慣れない。
学校生活で上下関係どころか交友関係すらまともに作れてないんだから当たり前体操。
「てか今何時?」
「18:30くらい」
「結構遅いな。夏だから全然明るいわ」
「この保健室日当たり良いしな」
「それな。そういえば今更だけどここ保健室か」
「学校にベッドある場所といえば保健室だろ」
「確かにw」
初対面の年上との会話にしては結構フラットに接してくるな。
まあそのほうが気楽でありがたい。
ばどの初対面のときに比べたらめちゃくちゃ楽。
まあこれは言ったらどうなるかがよくわかっているのでやめておこう。
「帰るなら送ってくよ」
「やったー。⋯あ、さっきは助けてくれてありがとね」
「⋯何があったんだよ」
「んー、⋯呼び出し?」
「何故疑問形??」
「なんとなく??」
「いやカッターで集団暴行されてた理由をなんとなく『⋯呼び出し?』は無理がある」
「滑舌良っ」
絶対気になるとこそこじゃないけどこいつ滑舌良すぎる。
ラップとか上手い系だろたぶん。
しらんけど。
「⋯とにかく、なんかあったら言って。助けに行くから」
「はいはーい。ありがと〜」
「軽っっ」
まあでも、理由なんてそれくらいだ。
呼び出されたから行った。
立ってろって言われたから立ってた。
ただただ、されるがまま。
反抗するほうがめんどくさいって知ってるから。
「じゃあ帰ろーぜ」
「ちょっと遅いけどゲーセン寄ってっていい?」
「おっ、俺UFOキャッチャー得意」
「よし奢れ。」
「任せろ。⋯セリフ違くない?」
助けてくれるのはありがたいけど、言わないほうが楽なことだってある。
結局は、どれだけ自己完結できるかって話。
何されても嫌だって言わなければ、争いは広がらなくて済むんだ。
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