テラーノベル
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「夜になる頃には、ブラックホールが誕生してるんじゃない?」
「恵まで! 遺憾なり~!」
私がポカポカと彼女を叩くと、恵は声を上げて笑う。
その後、私たちは酔い止めの薬を呑み、ウエットスーツに着替えるために、まずロッカーに荷物を預ける事になった。
やっぱり海外のロッカーは変わっていて、使い方がよく分からないけれど尊さんと涼さんのアシストがあって何とかなった。
暗証番号式なので鍵を持ち歩かなくていいけれど、その分タッチパネルで苦戦する事になる。
最初の画面では上のほうに国旗が並んでいるので、日の丸マークをタッチ。
すると二つあるボタンが日本語訳され、『これから使う人向け』『開けたい人向け』のボタンが出るので、開ける用をタッチ。
利用時間が四時間か八時間を選べるので、今回はチラッとだけ楽しむ程度なので、四時間をタッチ。
そしてお金を入れて、暗証番号に生年月日を入れるんだけれど、海外の場合日本と並びが異なるので、日付、月、年の順番に数字を入れないとならない。それをもう一回。
最後に暗証番号の一部として、赤、白、紫、緑、青、黒、黄色の中から好きな色をタッチ。
そうするとロッカーが開くので、荷物を入れて閉じればOK。
使用時間中は、何回も開け閉めできるらしい。便利。
更衣室に入り、私たちは水着に着替えたあと、その上にウエットスーツを着る。
ウエットスーツは伸縮性があるけれどデリケートな、タイツみたいなものなので、片脚ずつ穿いて、少しずつ上に布を移動させて着ていく。
腰ぐらいまで上げると、背中にベロみたいな当て布があるので、それを上げた状態で袖を通し、最後に長めのベルトがついているファスナーを引っ張る。
ファスナーを上げたあと、三角形になっているカバーみたいなのがあるので、それを被せて終わりだ。
着替え終わったあと、機材を背負って一度プールで練習しないとならない。
ダイビングは命にも関わるアクティビティなので、いざという時にマスクに水が入った時や、耳抜きができなかったら参加できないのだ。
プールでの練習を十五分終えたら、いよいよダイブサイトまでモーターボートで移動となる。
尊さんと涼さんは慣れていて、ドボンと言っても大丈夫らしいけれど、私と恵はロープを辿って慎重に海中に下りていく。
ウエットスーツを着ているから、肌に直接水が触れる事はないけれど、水圧でギュッと押される感覚がある。
海の透明度はかなり高く、入ってすぐに色とりどりの魚が周りに泳いでいる。
(ファーッ!)
そんな私たちの様子を、尊さんと涼さんはGoProで撮ってくれている。
そのあと、私たちはインストラクターさんに案内され、色んな形の珊瑚を見てみたり、触っていい物を教えてもらったりしつつ、海中で記念撮影した。
イソギンチャクの間からはファインディングな小さなお魚が見え隠れし、とても興奮する。
小さな魚の群れは波の動きにつられるように、ふらー、ふらー、とたゆたっているので面白い。
実質、海の中にいたのは三十分ぐらいだったけれど、実際は十分ぐらいに感じてしまった。
そしてまた十分かけてグリーン島に戻り、シャワーを浴びて着替える。
「ふあーっ、お腹空いた! 水圧があったからさらに!」
「マジか。私はいつ朱里が海水ごと魚を吸うか、ヒヤヒヤしてた」
「もー!」
じゃれ合っている私たちを尊さんと涼さんは笑って見守っている。
「明日が最終日だけど、十八時二十分フライトまで時間があるから、午前中はヘリに乗ろうと思ってる」
「わー! 素敵!」
涼さんの提案に私は拍手し、恵もコクコクと頷いている。
「ヘリでのクルーズが終わったあと、後悔しないように買い物しておこう」
「例の買い物もな」
尊さんに付け足され、私たちは「う……」と固まる。
「ま、ある程度の物を買ったら、残りの金は寄付ボックスに入れるのもアリだ」
「あ、それいいですね。動物保護の寄付ボックス、あちこちにありますし」
「空港にもあるから、最後はな、パーッと」
そう言って尊さんは、お金を撒くジェスチャーをする。
「よっ、プレジデント・ミコ!」
「誰が大統領だ」
尊さんに突っ込まれ、私はケラケラと笑う。