テラーノベル
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どうぞ。なんでも許せる方のみ。
ふと、遠い日のことを思い出す。
三人兄弟、全員で、この国を守ろうと誓い、父親を超えるぐらい、素晴らしい国になろうとした。
それからの日々は、苦しいこともあったが、ほとんどが、楽しくやり甲斐のあることをしていたように思う。
アメリカに追い詰められ、戦争を余儀なくされても、三人の絆は揺るがなかった。
戦況が厳しくなり、二人が地の底へ沈み去っても、自分だけはこの地に立ち、日の本の国という名に恥じない存在でいたいと、彼は、心から思っていた。
だから、こんな死に方をしたって、満足できた。
彼の体は、もう醜いほどにズタボロになった。けれども、ソ連から、せめて北海道は守ることができた。それを奇跡と呼ばずしてなんと言おう?
だから、今が、どれだけ醜い姿で、荒野に寝そべっていようが、別にいい。
もう、終わったんだ。終わらせることができたんだ。最後の戦いを。
「悪いことをしたなぁ……」
彼の最後の言葉は、それだった。彼が残した、静かな安堵と共に、そこには本物の平和が訪れた。
朝早くから顔を出した朝日が、煌々と、日本の港を照らしていた。
港は、朝鮮から逃げ帰って来た日本人と、朝鮮へ帰ろうとする朝鮮人でごった返していた。
その中でおれは、人々を掻き分けて海へ向かっていた。
向かう途中で、旅館のゴミ箱から餌食をかき集める者、食べれるはずもない石ころを食む者、大勢で群がって、アリの巣から這い上がるアリを食らうものと、とても見るようなものではない光景を、嫌というほど見た。
しかし、そんなものは、今の僕には哀れさの端にも入らなかった。
それを掻き消すような興奮が、胸を高鳴らせていた。
また、朝鮮へ帰るんだ。あの光景を、また早く見たい。光り輝くあの世界に、もう一度帰りたい。
朝鮮へ行くのに、そう時間はかからない。なにせ、おれは何者でもないのだから、人間のように、のこのこと大量の人の乗った船に乗らなくてもいい。
そうするよりずっと早く、おれは朝鮮に行くことができる。
朝鮮に帰って、アメリカの支配が解けた暁には、そこに国を作ろう。
そして、自分を支持する人を、韓国人としよう。
南韓の港に帰って来ると、一番最初に出迎えたのは、アメリカだった。
なんとなく、奴が出迎えに来るんだろうな、ということは察しがついていたので、おれは特に驚くこともなかった。
潮の匂いを纏った彼は、おれの姿を見て、一瞬満足気ににんまりと笑った。
「はは、もう道の決まった人の顔をしてるな」
アメリカは、おれの肩に乱暴に腕を置き、高らかに笑った。そして、前置きもなしに、おれに問いを投げつけた。
うみうし@ロシアとカナダ推し
#カンヒュ
いちごマシュマロ🍓
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かきごおり。
716
#イラスト
電波📡
286
「さぁ、お前はどうしたい?」
もう、決めたことだった。もう、決まっていたことだった。おれが決めた。これが、誤った選択だったとしても、もう知るもんか。
おれは、アメリカに向かって、堂々と声をあげた。
「アメリカ。おれは、独立したんだ。日本から、完全に」
「ほぉ」
「脳裏に焼きつけておけよ。おれは……この地に、帰って来たんだ」
すっと、おれは両手を広げた。
大地は、おれの帰りを喜ぶように、おれを昇りきった太陽で照らした。
「お前は、これからどうするんだ?おれに、なにをさせるんだ?」
灰色の牢屋に、覇気のない声がぼわんと響いた。
問いかけられた主は、僕に振り返らずに、淡々と答えた。
「お前は、ただ、おれのコマになってればいいんだ。なにもしなくていいとも。
おれがなにをするかって?アメリカが、お前の兄に何かを吹き込んでいるようだから、てめぇの兄貴が力をつける前に、とっとと南下してお前の兄を手の内に入れるさ」
「僕の兄を……?」
僕の顔に、すっと影が落ちた。
「まさか、兄を僕のように監禁するなんてしないよな?」
僕の問いに、ソ連さんは初めて振り返った。その顔は、やや驚いたかのような表情が浮かんでいた。
「意外だな。お前がそんなにも兄想いだとは知らなかった」
「兄に酷いことをするんだったら、おれは容赦なんてしない。お前に戦争だってふっかけるぞ。それでお前が僕を殺すなら、ああ、喜んで死んでやるさ。ただ、兄だけは渡さない」
「ふはは!お前は、中々育て甲斐がありそうな野郎らしいな」
「そりゃどうだか」
いぜんとして言い返す僕を、彼はおもしろく思ったようだ。ソ連さんは、気に入った、と言うと、一つの問いを投げかけてきた。
「なにか、気になっていることはあるか?一つや二つぐらいは答えてやろう」
それは、願ってもなかった救いの手だった。知りたいこと、聞きたいことが、僕には山ほどあった。
でも、その中で、これだけは絶対に聞きたいことがあった。
「日帝さんはどうしてるの?あの人のことなら、僕を救いに来ないなんてこと、よほど気が狂ってないとないと思うんだけど」
僕の問いに、ソ連さんは、本当になにも知らねぇなお前は、と、呆れたように目を細めた。
そして、なにらもおかしなことは言っていないというように、さらりと言ったのだった。
「はぁ……日帝は、もうとっくに死んだが?」
「え……?」
僕にとって、その瞬間は、人生で最も絶望し、人生で最も真実を受け入れがたかった時だろう。
「嘘だろう?祖国が死ぬなんて、そんなのないだろう!?!?あの人は、死ぬような人じゃない!!負けるなんて、絶対ないはずだ!!!!!」
「あれに関しては、少し惜しいことしたところがあったと思うよ」
「じゃあ、お前は戦勝国を張っているのか?僕達を裏切った分際で?ふざけんなよ!!!!」
信じられなさと、謎の怒りで、僕はわあわあと喚いた。
「そんなに言うことか?お前は、日帝が嫌いなんじゃなかったのか」
「そんなわけ……ないじゃないか………あの人は……僕にとって英雄だったんだ……!!!憧れだったんだよ……」
僕が言っていることは、本当なんだ。本当に、日帝さんは、僕の憧れだったんだ。
でも、どうして、僕はそれを思いっきり言えないんだろう。こんな、僕にとって当たり前な、祖国への忠誠を叫べないんだろう。
「僕は…僕は……彼が戦争に勝てば、心から喜んだし……今も、すごく悔しい気持ちでいるよ……。僕は、お前を許しちゃいけない。だって、お前は僕の祖国を奪ったんだろう……!?」
「お前にもう、祖国はねぇよ。お前は解放されたんだ。だから、おれを許すか許さないかなんてどうでもいいこと、お前自身で決めていいんだよ。
お前はもう、どこの物でもねぇ。だから、おれがコマにしてやってるんだろうが」
最初こそ、祖国のために敵対しなくてはならないという意思に取り憑かれたが、ソ連の、「お前自身で決めていい」という言葉に、僕は大きく揺り動かされた。
自分で決めることができるなら、どれだけ気楽でいい生活ができるだろう。どれだけ、満足のいくことができるだろう。
それなら、日帝さんのことなんて、捨ててもいいや。
その気持ちを悟られぬよう、僕は心底嫌そうに言った。
「祖国なくなって、次どうするかっつったら、お前のコマかよ」
「なんか悪いか?」
ソ連さんは、カツカツと長靴を鳴らして、僕の元に歩み寄った。
「さあ、お前一人で決めてみろ。
共産主義として、おれの下について、アメリカの野郎と張り合うのか、それとも、お前一人で、おれに立ち向かうか」
僕は、ソ連の顔を、ぎろっと睨んだ。
(んなもん、選択肢は実質一つだろうが。僕一人でお前に立ち向かうなんて、そんなの自殺行為だぞ)
その上、僕に無茶苦茶言いやがって。今だからこそ、僕に軽々しく 南下してアメリカを追い詰めろなんて、命令してるが、僕に命令が通らなくなるのも時間の問題だぞ。
いつか必ず、お前に従わされないぐらい強いやつになってやる。
ああ、お前の手下なんて、本当に、反吐が出そうだ。
ざけんなよ。いつか絶対見返してやる。
心の中では、これまでにないほどの悪態をついていたが、僕は大人しくそのことを認めた。
その選択が間違っていないことは、この世の誰にでもわかったろう。こんな大国、僕ぐらいの下っ端の、もはや国でもない「土地」が敵に回したとて、散々に敗れるだけだ。
「ああ、わかったさ。お前の下につくとも!日帝さんは馬鹿だった!これでいいかよ」
吐き捨てるように、僕は言った。
ソ連の口角が、腹立たしいほど上がる。
「それでいいとも。じゃ、早速、おれの南下に付き合えよ」
「は?誰がお前と南下するなんて言った?何調子のってんの?」
僕は、乱暴にやつの胸元をつかんで、顔に引き寄せた。
「てめぇが南下しなくとも、南下(兄を痛めつける)ぐらい、「おれ」がしてやるよ」
次に目を覚ましたところは、一面の花畑だった。
白色の、小さな花が、一面に咲き誇り、さっぱりと甘い香りが、夜風のような涼しい風にのっていた。
彼は、そこがどこだか、もう目覚める前から知っていた。彼は、迷うことなく、たった一人で花畑の中を進んでいった。
遠くから、ケラケラと可愛らしい男の子の笑い声と、男の子を迎える母親の声が聞こえてくる。もっと遠くで、異国のお爺さんが、連れ合いだったお婆さんを迎えている声も聞こえていた。
そこは、紛れもない「平和」だった。
暖かな花畑の中を、ずっとずっと進んで行った時、ふと、爽やかな潮の匂いがした。
「ッ………」
嗅ぎ慣れた匂いに、彼は思わず足を速めた。
ぶわっと波打つような風を感じた時、彼はついに、全速力で走り出した。まるで、少年のように。
遠くに、二つの小さな人影が見えた時、彼の体は、ぽっと温かくなった。
人影が近づくにつれて、人影の周りはだんだんと、まるで彼を出迎えるように明るくなっていった。
熱いような、冷たいような、光の粉が、彼を覆い始めた時、彼の体はゆるゆると縮んでいった。
二つの人影が、彼を見た。そして、笑いながら駆け寄って来た。
三人の小さな少年は、笑いながら、泣きながら、互いを抱きしめ合った。
白い小さな花は、三人の喜びを守るように、辺りに優しく咲き誇っていた。
………疲れた。
なんか、これ書いてると精神的に疲れる気がする……全体的に暗すぎて((🌀
詳しい解説を読みたい方はどぞ↓説明が不十分かもしれませんよ〜
今回はちょっとだけ時空歪ませてます。北朝鮮が南下の計画を組んだのは、もっと後のはずです。歴史が嘘さえついていなけりゃ。うん。
北韓の、自分で南下するぞって宣言するところは、冷戦の時に金日成政権が武力南進を企てていたのでそこからとってます。
最後はただの天国!!!!!!!!!!!再会できてよかったネ。
なんとなく気に入らないところが結構あったので、修正する可能性大です。よろしくお願いします。
コメント
3件
なんだこれ…ストーリーが神っているぞ……!? ほんと好きです!!🫶🫶
おおわらいさん、第4話読みました……。重い歴史の陰に、それぞれの“決意”と“諦め”がぎっしり詰まっていて、胸がぎゅっとなりました。 特に、北韓がソ連の前で日帝の死を知った瞬間の怒りと絶望が、生々しくて。でもそのあと「自分で決めていい」って言われて、心のどこかでほっとしたような揺れ方を感じて、読んでるこっちも複雑な気持ちになりました。ラストの天国の花畑で三人が再会できる場面、あの優しい光が全部を包んでくれて、救われた気がしました。 おおわらいさん自身もおっしゃる通り、暗くて書くのも大変なテーマだと思いますが、こうして形になっていることが本当に尊いです。修正されるところがあれば、また違った味わいになりそうで、それも楽しみにしていますね。