なんも小説書けない奴の短い小説練習場
少女レイパロ
それじゃスタート
「こっから歩きマジかよ…」
そう言いながら渋々車から降り、ため息をつきながら歩いてくる人物はアズ
「まぁ頑張れよ」
それを鼻で笑いながら応援をする人物は怜
片道に車を止め、先頭を優雅に歩くのは黒美
その横で冷静に地図を見ながらこのまとまりのないチームを道案内をするのは紗知
そんな4人は黒美のいつもの思いつきで提案したプチ旅行に付き合わされている
黒美は面倒くさくなった仕事はもうほったらかして皆を連れまわして旅行へ行くのが好きなようだ
4人でだらだらと喋りながら歩いていると突然「カン、カン、カン」という音が辺りに響き回る
踏切が遮断され、信号待ちのために先頭を歩いていた紗知はパッと足を止める
そのまま後ろに続いて歩いていた2人も足を止めたはずだが、その2人、いや3人ともその数十メートル後ろで焦ったような表情で紗知を見つめていた
そんな事に気づかずに踏切の音を聞いていると何だか夏って感じがしますね…そんな事を目をつぶって心の隅で思いながら踏切が上がるのを待つ
異変が起きたのは踏切が降りてから10秒もしないうちだ
音が大きい…?
「カン、カン、カン、カン」
踏切の音が耳の中でうるさく騒ぐ
パッと咄嗟に目を開けると踏切の中にごく普通の制服を着た少女が一人
「ぇ、人…?!というかいつの間に踏切の前に…」
そう驚いて声を出すも、周りは踏切の音しか聞こえずその少女は踏切の中からぎゅっと紗知の手を握る
「あの…そこ…危な」
驚きながらもしどろもどろに声を出してもこちらの声は聞こえていないのか少女は紗知の声を無視するように一つの言葉を発する
「君は友達」
「えっと…どなたかと間違われているのでは…」
そう言うと少女の顔がピクッと動いたような気がした
そう思ったのもつかの間、少女が握りしめる紗知の手の力がギリギリと強くなっていくのを身に染みて感じた
ぐっ…と反撃をしようとしたが手に力が入らず目を細めては少女を見る
乱れた髪で一定のリズムで一つの言葉しか発しない少女に少し恐怖を覚えた
「君は友達」
「君はともだち」
「君はトモダチ」
そう少女が発してくる言葉と共に身体の中に何かが入ってくるような感じがした
自分の意志とは関係なく、目頭に涙が溜まる
「私は…貴女の…」
「違うよ」
その瞬間に、今まであった少女の手の感覚が一気に消えた
バッと突然と手を離された少女はとても驚いたような表情をしていた気がする
何が起こったのか理解出来ずにゆっくりと戻ってきた自分の意識を確認しながらサッと横を見る
「黒美…」
「貴女の大事な友達はここにはいないよ」
「私の大事な友達を連れていかないで」
そう少女の目をハッキリと見ながら伝える黒美の背中は圧倒的な信頼感があった
「大事な…友達…」
そう少女が呟くと、黒美の手をそっと握る
その瞬間にパッとその少女が姿を消した
黒美があの少女の力を丸々取り込んだのだ
「……っ」
軽く胸を抑える黒美に素早く駆け寄る
「はぁ~…本当に危なかった…」
「本当に申し訳ないです…ありがとうございます…」
そう必死に感謝を伝えるが黒美はどこかずっと上の空だ
「紗知怖かったよね…?なんか能力使えたら良かったんだけど…相手が霊だからどうしようもなくて… 」
申し訳なさそうにそうぺらぺらと伝える彼女に「え?いや別に私は…」と彼女を安心させるつもりで伝える
「は?…だって泣いて…」
「いえいえ、これは違います、これは少女の感情が流れ込んできて…それで涙を…」
そう目頭を指で拭いながら黒美に伝える
相手が霊ならば、こちらは普通の人間
何も出来なくて少し悔しかったが今回ばかりは黒美に感謝するばかりだと心でそう思った
とにかく、話題を変えようと何かを探す
「ところで黒美…貴女顔色が悪いですよ?」
「え?大丈夫大丈夫!気のせい気のせい、それより2人が心配してるから早く戻ろうよ!」
数十分前
「ぁ…?おい紗知、道は多分そっちじゃねぇだろ」
ふらふらと歩く紗知にそうアズは声をかける
「おいって…!」
何も返事がない紗知にどこか不信感を抱いたのか、咄嗟に腕を掴む
「あの子に会いに行かなきゃ」
ぶつぶつと何かを言い、ふらふらしながら呟く紗知がアズに掴まれた腕をゆっくりと見てはアズを見下すように睨む
「ぇっ…あ…」
ビクッと身体が跳ね、その何とも言えない気持ちで紗知を掴んでいた腕がまるで全身の力が抜けるようにスっと離してしまう
「アズ…?大丈夫か?」
「どうしよう」
「え?」
心配して後ろから声をかけてくれた怜に食い気味に返事を返す
「このままじゃ紗知にもう二度と会えなくなる気がする…」
自分が思ったままにそう伝える、踏切の音がうるさく鳴り響く
耳が痛い、鼓膜が破れそうだ
怜がゆっくりと焦ったように口を開く
(踏切の音…こんなにうるさかったか?)
「俺…止めに…」
焦る自分達の前に腕が伸ばされ、行くのを制される
「待って、怜」
その言葉にハッとする
「大丈夫だよ、アズ」
アズの頭にポンッと手が置かれる
「安心して、絶対に私が連れ戻すから」
その言葉は今までに無いほどの安心感があり、何よりもこの人なら任せても大丈夫だという信頼感がそこにはあった
「って事があってマジで焦ったんだからな?!俺を睨みつけやがって…」
「ご心配をかけたのは申し訳なく思ってますが、貴方の事はいつも睨みつけてます」
「はぁ?!そんなの初耳なんだが?!」
宿に着き、わいわいと騒ぐ彼らを見ては本当に安心する
今回は平和な解決に終わることが出来た
が
「カン、カン」
(また…この夢)
踏切の中に紗知がいる
その間も踏切の音はうるさく鳴り響く
「カン、カン、カン、カン」
「ねぇ紗知、私の手を掴んでよ」
その間にも紗知はいつもの調子でぺらぺらと何かを喋っている
それに合わせて嫌な音も増え続ける
「ガタン、ガタン、ガタン」
「電車が…ねぇ、こっち来て」
電車が近づいてくる
まるで私に猶予を与えるかのようにそれはゆっくりと
どんどんと近づいて来るその音に気が狂いそうになる
「ガタン、バンッ」
一度とても近くで電車の音が鳴った後にまるで銃声のような音と共にパッと目が覚める
私の手はただの天井に手を伸ばしているだけだった
ドクンッと大きく自分の心臓の音がよく聞こえる
それと同時に勢いよく起き上がる、息が荒く嫌な汗をかいている
「大丈夫」
「死んでない」
「ごめん」
紗知には隠しちゃったけど
あの霊の浄化できない良くないモノを私に取り込み、抑え続けてる
「大丈夫」
「紗知は死んでない」
「死んでないから」
成仏はする事が出来たけど…でもそれ以降ずっと
「次はちゃんと」
「救わなきゃ」
「理由はだって」
フラッシュバックするかのように繰り返すこの悪夢に
私はうなされ続けている
「君は████だから」
コメント
3件
わぁ、、、なんとも後味の悪い話だ、、、成仏はできても、あの子への感情や悪いものは黒美の中で渦巻いてるんだね、、、 いつか気づいてどうにか浄化するエンドないかな!!(パロディだから安心してもいいかなぁああ) とにかく話の構成が天才すぎて禿げました!☺️✨✨