「…た、ん…涼太くん!!」
「…っ、は…」
大声で目を覚ますと、心配したような怒ったような表情のラウ兄さんが立っていた。
「みんなが寝ているところにいなかったから探してみたら…何でこんなところで寝てるの!」
「…あ、考え事、してて…気付いたら寝てた…」
意識が覚醒してくると、途端に冷えてたのか体がカタカタと震える。
「…っ、さむ…」
「当たり前でしょ!おいで!」
そう言うラウ兄さんに引っ張られ、リビングに行くと、みんなもう起きていた。
「みんなー涼太くんいたー!」
「どこいたのー!」
「廊下で寝てた!」
「いや何で!?」
「とりあえず寒がってるから康二くん何か温かい飲み物作って!」
「りょーかいー」
「みんなは涼太くんを温めといてー」
「はーい!」
「舘さんこっち来てー」
照に言われみんなの方に行くと、毛布を被せられた。
「舘さん、手冷たっ!?」
「何時間位にいたの?」
「…みんなが寝た後割とすぐ位…?」
「…結構居たね?」
「そりゃあそんな体が冷えるわけだわ。」
「涼太くん、ココア飲める?」
「あ、大丈夫。」
「ほんじゃあ、はい。」
「…ありがとう。」
お礼を言ってマグカップを受け取ると、指先がじんわり温かくなるのを感じた。口をつけると優しさ甘さが広がった。
「…温かい…」
「よかったぁ…」
ココアを飲み終わった頃には体の冷えはおさまっていた。
「んで、なんであんなところで寝てたん?」
「…ちょっと考え事をしてて、気付いたら寝てしまって…ごめんなさい。」
「…もー、心配したんやからなー」
「…はい。ごめんなさい。」
「もうええよ。何考えとったん?」
「…夢なのかなって。」
「…夢?」
「うん。…今が怖いくらい幸せすぎて、夢なんじゃないかって、怖くなってっ…」
またも泣きじゃくる俺を翔太が抱きしめた。
「しょ、た…?」
「夢なんかじゃない。…夢になんかさせない。」
「っ…」
「涼太にも俺らにも幸せを感じていい権利がある。…涼太は幸せを感じる機会を得たのが遅すぎただけ。」
「ふ、っ…ぁ…」
「涼太には俺らもいるし、先生たちもいる。…もう怖がらなくてもいいんだよ。」
「…っ、うぁ、ぁぁ」
声をあげて泣く俺を翔太はひたすら抱きしめる。大丈夫だというように。俺は子供みたいに泣いた。今まで泣いてこなかった分を全部出すみたいに。もう大丈夫、大丈夫なんだと心の底から思えた。
コメント
2件
心がきゅぅって温かくなるストーリーです。仲間の描写もステキ
涼太にはみんながいるから大丈夫! 続き楽しみにしてます!