3人の生活が始まって1ヶ月経った。いつものように学校に行って教室に入ると急に静かになった。不思議に思いながら自分の席まで行って、そこで異変を察した。
(…また始まったのか。)
机には俺に対する悪口。その上にはお菓子のゴミやわざわざ家から持ってきたであろう生ゴミが置いてあった。また、いじめが始まった。それをじっと見ていると聞こえてくる笑い声。ちらっと見ると、前翔太が停学にしたあいつらが帰ってきていた。…標的になったのが翔太じゃなくてよかった。でも、またあの辛い日々が始まる。そう考えるだけで胃が痛くなった。とりあえずゴミはゴミ箱に、机の落書きは雑巾で消す。それが終わったと思ったら先生が来る。俺は何でもなかったかのように授業を受けた。
あれから3週間が経った。いじめは相変わらず続いた。前回と違うのは作って貰った弁当が必ず捨てられてること。その度に購買のパンを1つ買って食べた。いじめを受けるようになってからみんなとの距離を離すようにした。だからこのことを咎められる心配はない。家に帰れば、温かいご飯が待っている。だけど、
「…ごちそうさま。」
「…あれ?まだ残ってるよ?」
「…」
食べれなくなった。
「…ごめんなさい。お腹空いてなくて…」
「最近ずっとだね。弁当は食べれてるみたいだけど…」
「…」
「…何かあった?」
「…ううん、何でもない。」
「本当に?」
「うん。…ごめん、もう、寝る…」
「あ、涼太くん…」
ラウ兄さんが呼び止めてくれたけど、それを無視して部屋に戻る。ベッドに沈みこんだ瞬間、ボロボロと涙が出てきた。嗚咽がでそうになるのを必死に堪える。…近くにカッターナイフを見つけ、それをそっと取った。刃を出して、腕にそっと切りつけた。痛い…けど、それが心地よくて何回か切りつける。今の時期だと長袖だからばれることはないだろう。ひとしきり切りつけて止血をし包帯を巻いて、その後はひたすら泣き続けた。
「…おはよう。」
「あ、おはよう、涼太くん。」
「…」
「これ、お弁当。今日はラウールが作ってくれたよ。」
「…うん。」
「…学校楽しい?」
「…え?」
「最近ずっと笑ってるの見ないから。楽しいかなって。」
「…うん。楽しい、よ。」
「…そっか。」
「…じゃあ、遅れるから…」
「うん。…行ってらっしゃい。」
「…行って、きます。」
悲しい顔をしている蓮兄さんに背を向け、重い足取りで玄関を出た。
コメント
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舘さんはすぐに溜め込んじゃうから大丈夫かな? 続きすごく楽しみにしてます!