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威厳と強さに溢れた昔の格好良い兄さんの声が聞こえた。
「独華には必要な知識だから、今のうちに学ばなければ駄目なんだ」
少し、辛そうなそんな声で私の意見を全否定して、勉強を始めた。
「・・・・・・そこまで兄さんが言うなら」
兄さんの体調が、心配で心配で仕方がないけれど、此処でどれだけ言っても兄さんは一歩も譲ってはくれないだろう。そう思って、私は、仕方なく勉強を始めた。
「独、この式はどう答えるか答えてみろ」
勉強が始まった時、今日、始めて、何時も道理の愛称で呼ばれた。それが私は、ちょっぴり嬉しかった。
「此処は、こう解くんだよな、兄さん」
「正解だ」
そんなふうにして、頑張って勉強をしていると、空がオレンジ色に染まっていた。もう時期夜になるみたいだ。
「今日は、ゴホッ終わりだ」
冷々とした声で、今も変わらない昔の強くて威厳たっぷりの声で、兄さんは私に「帰れ」と命令する。
私はその命令がどれだけ嫌でも、事情があっても、何が何でも、「帰れ」という命令に逆らってはいけない。だって、私が一度この命令に逆らった次の日に、兄さんに合うと、兄さんは凄く弱り切っていた。あれはきっと、いや、絶対私のせいなんだ。我儘を言った私のせい。
「分かった。又、明日ね」
悲しいとか、寂しいとか、もっと一緒に居たいとかそんな感情を押し殺して兄さんに別れの挨拶をして住処にしているツリーハウスに帰る。
帰り道、一人寂しく歩くのに慣れてしまったのは何時からだったけ。
そんなふうな日々を私は過ごしていた。