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_知らない顔__🥀𓈒 𓏸
水晶玉が、何故突然作動しなくなったのかは分からないが、、刑事として何時までもあの場に留まる訳には行かない
そこでオリビア達から提案を受けたダレイは、エイデンの車に乗り、車を走らせているところであった
車内ではオリビアがマイクについて色々聞いてくるので、答えられる範囲ダレイは応じた
その度に2人は知らないマイクの姿に驚いたり、時には笑ったりと会話が途切れることなく場は穏やかに進んでいたのだ
やがて車は高速に乗る
目的地はエイデン達の職場。
どうやら2人は上司に会わせたい…との事だ
ダレイは水晶玉を足元に、走る風景をじっと見つめていた
同じ後部座席の隣に座っているオリビアがじっと見つめてくるのを横目に…特には話をしなかった
「マイクさんが心配ですか?…」
正直答えに迷った
一応あいつは刑事だ。どれくらいの実力かは分からないが,あの男が仮に死ぬ所なんて想像もつかない。
しかし…マイクが背を向けて歩いていた
あの時…あの大きな男…あいつの存在がいちばん気がかりだ。
後ろ姿からでもわかるとてつもない殺気を感じたのだ…それはおそらく__
「あぁ、心配だ」
ダレイが切り出すと、オリビアはほっとしたように笑顔で答えた
「きっと大丈夫です!彼は刑事の中でも優秀でしたから」
「そうなんすけどねぇ……あの人、事件解決の為なら身の危険があっても突っ込む人でしたし」
「そう?」
エイデンのサラッと衝撃的な回答にオリビアはポカーンと首を傾げる
あまりの注意力の無さにエイデンは若干慌てながら説明した
「そうっすよ!頭から血流しながら帰ってきた事もあったじゃないっすか!しかもその後病院にも行かないで」
「待て、頭から血が出てるのに病院に行かなかったのか??」
「てか抑えもしなかったっすよ…そんなマイクの姿を気味悪がって誰も指摘すらしなかったけどね」
「終わってる職場だな。」
ダレイが引きながら一言答えると
エイデンは頷きながら同情をした
しかし何かを覚えているかのようにオリビアが話を割った
「いえ…1人だけマイクさんの手当をした方…いらっしゃってたじゃないですか……マイクさんの上司さん」
「あっ!…確かそうだったっすね、めっちゃグチグチ言いながら手当してた」
「上司…?」
「私達はよく分からないのですが、何やらとても仲が良いと言われてまして」
「めっちゃいいコンビっすよね〜俺あの2人の会話好きっすよ!!」
2人の話を聞いていると、知らないマイクの姿と交流関係がよく聞ける
考えてみれば、俺はあの男の何を知っているのだろう…
バーテンダーなのに刑事をやってることくらいしか知らない
家族の事も…恋人や友人の話は全く聞かないな…興味も無かったが
ダレイが黙り込んでいるとオリビアがニコニコしながら話しかけてきた
「……まさか…気になっちゃいました??上司さんの事」
「…いや別にその事を考えているわけでは……」
「ダレイさんって…なんかわかりやすいっすね」
運転しながらエイデンがからかうように笑っていると、ミラー越しのダレイと目が合った
圧迫に思わず息を飲んだエイデンを他所に、オリビアは阿呆らしいエイデンの姿にため息をついた
その頃ダレイの職場に居る課長は自分の椅子に座りながら携帯を見つめていた
コンコン__
「入りなさい」
扉がノックされ、待っていたかのように課長は前に向き直った
外のからは軽い返事と共に扉が開かれる
「失礼しまーす」
課長の部屋に入ってきたのはノアだ。
そのまま課長の目の前まで歩く。どうやら課長に呼ばれたようだ
「……仕事の方は順調か?」
「まぁまぁっすね〜何せ、どこかの真面目くんが俺の仕事お喋りさんにバラしちゃったみたいで〜みんな手のひら返しっすよ」
「変に裏で言われるよりはいいだろう」
「そうですけど…なんか落ち着かないんすよね」
片手で髪の毛をかきあげ、照れたように笑うと課長は静かに話を本題に繋げた
「……ダレイが事件に巻き込まれている」
思わぬ言葉に一瞬動きが止まるノア
「ハハッ……冗談ですよね?……あいつが?まさか」
課長の顔からすると、冗談には見えない
少し前奇妙な事件に巻き込まれた後、すっかり変わったダレイに、休む間もなく新たな事件が加わった
なにか厄介な事が起こりそうな展開にノアは焦りを隠しきれない
「……ダレイはどこに?」
状況を把握しきったノアが真面目に課長に質問をすると、課長はもう1つの名刺をノアに渡した
「俺、行きます」
名刺をじっと見るなり既に歩き出しながらノアは課長の部屋を後にした
廊下を急ぎ足で歩いているノアをみんなが注目する
焦る様な表情を滅多に見せないからだ
そんな彼の横を、とある人物が見つめていた
ノアの顔を見るなり、ハッ…と後に続くように歩き出したのだ
「着いたっすよ。ダレイさん」
全く知らぬ都市の全く知らない建物
どのくらい走ったかなんて分からない
車から出て目の前に見えるのは自分の事務所より何十倍も高いビルだ
とても刑事の事務所とは思えない
「なんだ……ここ…」
「上には話をつけてあります。どうぞお入りください」
ボケっとしてる暇なんてない
ダレイはエイデンとオリビアを先頭に、目の前に広がるビルへと足を運んだのだ
中に入ると、ごく普通のオフィスが広がっていた
人はそんなにおらず、普通より広いくらいの一般的な場所だ
「そのまま上に行きましょう」
オリビアがカードをかざすと、扉が開く
3人乗り込むと扉は締まり、上へと上がって行った
その間コソコソとエイデンがダレイの耳元で話しかけてきたのだ
「俺たちの上司…色々とうるさい人だから…その…しっかりした態度でお願いするっす」
「その言い方だと、俺が普段ふざけてるように見えるのか…?」
「いやいや!!至って真面目です!!はい!」
嫌そうな顔を表に出しながらため息を着くエイデンは、本当に会うのが嫌そうに窺えた
特殊な能力を持った刑事…その上司は一体どんな人なのだろうと考えながらダレイ達は上へと上がって言ったのだ
暫く進むと、エレベーターの動きが止まり、扉が開いた
目の前には綺麗なスーツを着た男ふたりが並んでおり、上品に敬礼をした
随分凄んでるな…と思いながら横を見ると、エイデンとオリビアは不思議そうに男たちを見つめていた
「話は伺っています社長がお待ちです…」
「え??社長が??」
「はい…マイクさんの関係者ならぜひ話しがしたいと…」
「ちょ!俺たちそんな話聞いてないっすよ!!いくらなんでも急に会わせるわけには!!」
エイデンが横で慌てながら説明している中、誰かがダレイの裾を引っ張る
オリビアだ。
裏の方に扉があり、そこでもう1人別の男が立っていた
「行ってください…彼、社長の話になると煩いのです」
オリビアの回答に頷くとダレイはそのまま奥に居る男の方へと歩いていった
大きな扉だ
長い廊下を進むと突如でてきた扉はまるでひとりでは開けられない大きさであった
案内した男が軽く会釈をするとそのまま元来た道へと引き返していく
すると勝手に扉が大きな音を立てながら開き始める
開ききった扉にダレイはゆっくり入っていく
無駄に緊張する…あのエイデンの態度から見て、相当怖い人なのだろう
中に入りしばらく歩いていると、笑い声が聞こえ始める
次第に廊下が無くなり、大きなフロアに着くと笑い声の本体が目の前に現れたのだった
「……っ!?」
入った瞬間に驚いた
複数の男たちが壁際に立つ中、広いフロアの中央の机にゲームを広げ、夢中になって遊んでいる人の姿が写ったのだ
しかも大人じゃない…まだ歳も行かないような女の子だったのだ
「失礼します…ダレイ・パイレントです…お呼びがあって参りました」
ダレイが恐る恐る声をかけると
ゲームに夢中になっていた女の子がグイッと顔を上げた
「ああ!!いらっしゃい!話は聞いてるよ!ダレイくんだよね??」
「はい…ここの社長さんに用がありまして…」
「……??社長は僕だけど…?」
信じたくもなかったがまさか本当に言われるとは思ってなかった回答に目を見開いた
「ん…?あぁ……お客さま相手に失礼だね…これはまたダムに怒られてしまう」
可愛いポニーテールの髪がぴょん…と跳ねると
女の子はその場に立ち上がる
机の上には、まだ動いている途中の砂時計が置いてあり、その場まで歩くと砂時計をひっくり返す
じわじわ砂時計が戻っていく…
通常の砂時計より戻りが早い…サラサラと黄色の砂が女の子の前でぐるぐる渦を巻き、姿が見えなくなる
ダレイがじっと驚きながら見つめている
次第に背丈はダレイより高くなり
髪型はポニーテールから男性までの髪型まで短くなる
犬歯が特徴でスラッとした体型はスーツを華麗に着こなしていた
男がゆっくり目の前まで来ると両手を広げにっこり悪そうに笑う
「これなら少しは社長に見えるかい??」
ポケットから手袋取り出しキュッとはめる
男の準備が整うと同時に、砂時計の砂が全て落ちた