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⚠️ATTENTION⚠️

年齢は中学生ですがリーダーはクロノアさんとなっています!

ご了承ください!



俺の頭の中にあったあの記憶は、俺が思い悩んでいる時に吐いてくれた言葉だった。


『…もうっ!わかんない!!わかんないよぉ!!! 』


パソコンの電源をつけたまま、電気もつけない暗い自室でただ台パンをして泣いていた。

パソコンに映っているのはいつも通りの編集画面だ。

時刻は午前0時。

その時は編集に追われたり、勉強に追われたり、みんなと仲良くしなきゃなのにうまく馴染めなくて色々と思い詰めていた。

何もできない自分が嫌で、自分が腹立たしくなっていたのだ。


『なんで…なんでよぉ………。もっとできるはずなんだよ!!みんなできてるのに!』


机に突っ伏せて泣いていると、ふと背中から温かみが感じる。思わず顔を上げれば、いつのまにか家に入ってきていたクロノアさんに毛布をかけられていた。

クロノアさんは心配な顔をしているはずなのに、穏やかな顔をしていた。


『…ぺいんと、あんま無理しちゃダメだよ?』

『っ…無理なんてしてないです。』


涙を拭って、そうツンと返した。

酷い対応だなんて分かっているし、その時も分かっていた。けれど、なんだか全てがわかっているような言い草をされて腹を立てていたのは覚えている。今思えば、あまり喋らないクロノアさんの最大の配慮だったと思う。

“大丈夫?”なんて聞いても俺が”大丈夫”と返すのは承知だからだろう。だから、そう優しく言ったのだ。


『………みんなが上手くできてるからって、ぺいんとが今すぐに上手くできるわけじゃないよ。』

『分かってますって!!』


精神が不安定だったから、その時はつい怒鳴ってしまった。心の中ではやってしまった、後戻りができない、なんて思っていたけれど、クロノアさんはそれだけで下がる人じゃないとそこで初めて知れた。


『ぺいんとは十分頑張ってるじゃない。それに、俺は少なくともぺいんとの作る動画も、撮影雰囲気も、性格も、すごく…すごくすごく大好きだよ。』

『っ…』


優しすぎて、言葉が出なかった。いや、泣くのを堪えていたのもある。

こんな俺を支えてくれるクロノアさんのことを、今でも感謝している。


『だから…大丈夫だよ、ぺいんとなら。』


その一言で、涙がドバッと溢れて…止めようとしても、止められなかった。いくら拭っても涙は溢れてくるばかりだった。


『も〜、何泣いてんの!目の前にいるのは誰かわかんない?』

『_______っ!』


その言葉の意味を瞬時に察することができた。そうだ、目の前にいるのは僕らの先輩で、僕の仲間で、友達で、ふざけ合える心友で…頼れるリーダーじゃないか、ってね。


…………………………


「これでやっと2人目を思い出せましたね!」


そう笑顔で言ったのはしにがみだ。この前しにがみくんを思い出したばかりだし、このままいけば結構順調に思い出せるかもしれない。でも、トラゾーさんという人の特徴が、なかなか掴めていない。

交換日記を見てもあの短さじゃ…。まぁ、ヒントになるのはその短い交換日記の最後のところだ。

それ以外は、特に…。彼についての情報がなさすぎる。


「うーん…トラゾーさん………わかんねぇ…」


いくら頭を悩ませようが、よくわからない。

そう悩んでいると同時に、扉からノック音がする。もしかしたら看護師が来たのかも、なんて思って俺は「はい、どうぞ」と言った。

けれど、そこから出てきたのは予想していた人物とはかなり違っていた。


「…く、クロノアさん?!」


しにがみがそう言うと同時に、クロノアさんも 「えっ…しにがみくん?」と声を出した。その瞬間に、クロノアさんは部屋から出て行こうとする。

________ダメだ。

ふと、そう思った。

今ここで二人の仲を取り戻さなければならない。またこいつらと…俺は、こいつらとバカなことをしていたいから!


「逃げちゃ、ダメですよ…」

「「!」」


2人が驚いた顔をしてこちらを見た。


「仲直りは、怖いけど…仲が崩れるのは、もっと怖いから…!!」


俺がそう言うと、2人は声すらも発さなかった。最初に声を出したのはクロノアさんで、病室の戸を閉めて、「そうだね。」と答えた。

やっぱり、リーダーだ。

こういうことには自分から進んで積極的になってくれる。

クロノアさんは俺の隣に座り、心配そうな眼差しを俺に向ける。


「…記憶喪失なんでしょ?聞いたよ、トラゾーから…って、分かんないよね。」


確かに、トラゾーさんのことは名前しかわからないけれど、クロノアさんのことなら全部思い出している。そう伝えると、安堵したような…でも、苦しそうな顔をした。


「…実は、1番思い出さなきゃいけない人はトラゾーさんなんです。僕たちよりも…。」


そう声を出したのはしにがみくんで、いつにも増して真剣な顔をしていた。

そのくらい、トラゾーさんという人を思い出さなければならないのだ。いや、確かにそうだけど……。

ふと、胸が締め付けられるように痛くなる。


(……)


何とも言えない気持ちに、胸が苦しい。

クロノアさんたちも俺もまだ中学生だ。相手の慰め方も、相手の気持ちも理解できるような人ではない。

だからこそ、だ。そのトラゾーさんは俺の気持ちをよく分かってくれていたような人だった…気がする。

だから、今この胸の苦しさを吐き出したい。

トラゾーさん俺の気持ちを理解してくれる人に。

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