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『希望』への挑戦 1 ──そして2年後。西暦2070年8月7日(金)。

ここは、東京湾に浮かぶ人工島群のひとつ、神奈川県・三浦半島沖に作られた巨大海上都市、「メガフロートシティ」である。

地上を覆う謎の霧の正体とは!? そして太陽の秘密とは!? 人類最大の敵である巨大魚との戦いを描いた海洋SFアクション! プロローグ 一九七〇年、地球は未曾有の危機に直面していた。突如出現した正体不明の怪物・イワシたちによって、世界の人口は半分にまで減少していたのだ。人類の文明社会はほとんど崩壊しかけていた。そんな中、天才科学者だった父を亡くした少年・茅森太陽(ちもりたいよう)は、母の再婚相手の連れ子であった妹とともに、母の故郷である南極へと旅立つことになる。それは父の研究を完成させるためでもあったのだが……。

第一章 北極基地への旅 1

「……うっそぉーん!」

太陽は思わず叫んでいた。目の前に広がる光景に呆然としながら。

ここは南極大陸の北端に近い場所にある港の一角。その日、太陽たちは新しい家――といってもトレーラーハウスだったが――を手に入れるためにここへやってきた。だが、そこで待っていたのは、あまりにも予想外すぎる現実だった。

「なんで、こんなことに……?」

太陽は頭を抱えたくなった。一体どうすればいいのだろう?

「お兄ちゃん、どうしよう?」

隣に立つ美月が不安げに尋ねてくる。だが、太陽にも答えられるわけがなかった。太陽だって困っているのだから。

「……とりあえず、中に入ってみるしかないんじゃないかな」

太陽はかろうじてそれだけを口にすると、車の後ろに回り込んで後部座席に乗り込んだ。ドアを閉じる前にもう一度振り向いたが、既に車は走り出していた。

(なんだったんだろう……)

シートベルトをつけようと身を乗り出すと、太陽はフロントガラスの向こうに広がる風景の中に妙なものを見た。

(あれって――?)

目を凝らしてみるが、すぐに通り過ぎてしまったためはっきりとは分からなかった。ただ、車が走って行く方向にそびえ立つ塔のようなシルエットだけは見えた。

(確かあのあたりには……)

太陽の記憶が正しければ、そこは廃墟となった高層ビル群が立ち並んでいるはずだった。

太陽のいる世界では、西暦二〇一五年を境に文明の崩壊が進行していた。原因は未だ不明のままである。世界各地で異常気象が頻発し始め、農作物は不作が続き、食糧危機に陥った国々が続出した。やがて戦争が勃発し、国家間の対立が激化した。そして各地で大規模な災害が発生するようになった。

これらの現象は全て「パラダイムシフト」と呼ばれる一連の出来事に起因するものだった。それは人類の価値観や生活様式が根本から覆されるほどの大きな転換点を意味しており、それまで当然とされていた常識が非常識となり、逆に非常識であったはずのことが新たな常識となるという矛盾を含んだ世界の変化だった。

人類は科学を発展させることで社会を維持してきたが、「パラダイムシフト」により技術レベルが著しく後退した結果、社会の根底を支える科学技術を失ったことで文明の維持が困難となった。また、「パラダイムシフト」による環境変化に耐えられなかった一部の地域では生物の大量絶滅を引き起こしていた。そして、それらの地域に暮らす人々の多くは「パラダイムシフト」以前の生活習慣を失ってしまい、結果として社会システムの崩壊を招くこととなった。そのため、各国政府は治安の悪化を防ぐための措置を取らざるを得なくなり、その結果として人々は自衛のために武装しなくてはならなくなった。こうして誕生したのが「対異能集団」である。

異能集団とはその名の通り超能力を操る能力者たちのことであり、彼らの力は様々な分野で発揮され、国家間のパワーバランスに大きな影響を与えるほどの力を有していた。ただし、彼らの存在は公にはされておらず、その存在を知る者はごく限られた人間のみだった。そして、太陽もまた異能集団の一人であるのだが、その事実は彼以外の誰も知らなかった

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