テラーノベル
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僕は何も打てなかった。
「大丈夫?」
そんな軽い言葉じゃ足りない気がした。
「何があったの?」
それも違う気がした。
結局。
画面には何も映らない。
そんな僕を見て、kzhは小さく笑った。
その笑顔はいつものものだった。
でも少しだけ無理をしているようにも見えた。
『その顔やめろ』
僕は首を傾げる。
『俺、同情されるの苦手』
少しだけ肩の力が抜けた。
思わず小さく笑う。
スマホを取り出す。
『してない』
少し考えて。
もう一文。
『びっくりしただけ』
kzhは画面を見る。
それから満足そうに頷いた。
『ならよし』
『昔さ』
少し止まる。
『学校嫌いだった』
僕は黙って読む。
『毎日しんどかった』
『だから逃げた』
『逃げた先で色々あった』
『その結果がこれ』
最後の一文だけ短かった。
僕は画面を見つめる。
「色々」。
その一言の中に、どれだけの苦しさが詰まっているのか。
想像もできなかった。
僕はゆっくり文字を打つ。
『話したくなかったら話さなくていい』
kzhは少しだけ目を丸くした。
それから。
いつもの笑顔になる。
『助かる』
『無理に聞かれる方がしんどい』
僕は頷いた。
その時だった。
「おーい、kzh!」
遠くから女子が手を振っていた。
kzhは軽く手を上げて応える。
僕はその様子を見て少し驚く。
普通に話しかけられている。
笑っている。
昨日までの印象とは少し違った。
人気者、というわけではない。
でも。
誰とでも自然に接している。
kzhは戻ってくると、僕の視線に気付いたらしい。
『意外?』
図星だった。
『うん』
そう返すと、kzhは苦笑する。
『昔は全然笑えなかった』
『でも一人、変な先生がいてさ』
『笑えなくても生きてていいって言われた』
『だから今度は俺が言う番』
そう打ってから、
少しだけ照れくさそうに続ける。
『聞こえなくても、お前はそのままでいい』
その瞬間。
胸の奥で何かがほどける音がした。
もちろん。
僕にはその音は聞こえない。
それでも確かに。
心の中で、何かが静かに溶けていくのを感じた。
そしてその光景を、教室の窓からじっと見つめている人物がいた。
昼休みに僕へ「かわいそ」と言った男子の一人だった。
その手にはスマホ。
画面には、クラスのグループチャットが開かれている。
『あいつ、kzhとつるんでる』
送信。
その一文が、新しい波紋の始まりになることを、この時の僕はまだ知らなかった。
#njsj
りん
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コメント
1件
うわあ…この6話、めちゃくちゃよかったです😭✨ kzhが「聞こえなくても、お前はそのままでいい」って言ったシーン、胸がじんわりあったかくなった…!無理に話させない空気感とか、過去の話をちらっと見せてくれる感じ、すごくリアルで好きです。 最後のクラスメイトのスマホの一文、嫌な予感しかしない…次が気になりすぎる!!続き楽しみにしてます📱💦