テラーノベル
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俺は、あの人を愛してる
太陽みたいに明るくて
どこまでも自由
あの人の笑顔を見ると自然と笑顔になる
触れられると心が軽くなって
抱き付かれると元気が沸いて出た
あるドラマを切っ掛けに俳優としての道も拓き、一気に知名度があがって色んな仕事が増えた
今までバカにしてきた人たちが掌を返す
散々悔しい思いをしてきたから、くる仕事は断らないし断れない
辿り着いた場所を手放せないから、そこから落とされないよう体をはって頑張るしかなかった
寝る間も惜しんで、幾つもの役を演じ、バラエティでは笑ってる
笑ってる?
ちゃんと笑ってるかな?
忙しくて心が擦りきれていきそうな時
『大丈夫か?』と
真っ先に声をかけてくれた佐久間くん
それだけでふっと何か憑き物が取れた気がして、佐久間くんが側にいれば何もかもがうまくいくんじゃないか、という錯覚に捕らわれた
ただ佐久間くんの優しさは俺だけに向けられるものじゃない
笑顔も
触れたり、抱き付いたりするのも
皆に好きを叫ぶ度に
顔で笑いながら心にはどろどろとした黒いものが渦を巻いた
閉じ込めてしまおうか
俺だけを見て
俺以外を見ないように
最初はただの妄想だった
貯まる一方だったお金の使い道としてはバカげているかもしれないけど
父の会社の伝で
閑静な住宅街の一角にあった家を購入した
1人で住むには広すぎる一軒家
そこに決めたのは地下室があったからだ
もともとはホームシアターとして使っていたらしいそこには、初めから防音設備が整い、トイレもあった
そこから複数の業者に依頼して、キッチンやバスルームを追加し、少しずつ改装していった
完成した地下の隠し部屋は監禁場所としては充分過ぎる程で
でも実行する気は完成した時点ではなかったんだ
監禁を実行したのはほんの些細なきっかけで、今まで散々見せられてきた光景を目の当たりにしたから
『やっぱ俺たち最強だな』
某アンケートで一位に選ばれた最強ペア
俺が加入する前から、阿部ちゃんと佐久間くんの通称あべさくペアは人気で、公式な記念日すらある
共通点ゼロの両想い
『あべちゃん、大好〜き』
そう言って阿部ちゃんに抱き付く佐久間くんを見て、俺の中で何かが壊れた
そしてその数日後――――
相談があるんだけど、と呼び出した俺は佐久間くんを
妄想を形にしたあの地下室に閉じ込めた
最近飲めるようになったんだと喜んで飲んでくれたコーヒーには睡眠薬を混ぜた
嘘の相談にも真剣に乗ってくれた佐久間くん
好きだよ
そういう真面目なとこも
知らないよね
俺がどんなに好きか、なんて
話してる途中で糸が切れたように眠りについた佐久間くんを抱き上げて
最近伸びてきた髪がさらりと揺れる
目を閉じた顔があまりに綺麗で
俺はそっちの意味でもこの人が好きなんだな、と改めて思った
眠りに落ちた佐久間くんはさながらお姫様のようで、俺はその唇にそっとキスをしたが、佐久間くんは起きなかった
そのまま地下室に運んで
佐久間くんのために用意したキングサイズのベッドの上におろした
着ていたTシャツ以外の服を脱がして、左足首に足枷を嵌める
これでもう、戻れない
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