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ゆい
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「おや。幼気な少年少女よ。初めまして」
俺と八重ちゃんが桃暗に用があって抽斗通りに行くと、今日は初めて会う住民に出会った。
鈴が転がるような高い声。全体的には黒い髪。前髪を俺から見て左手に分けてて、眉にかからないくらい内巻きにしてる。項で束ねているのか、毛先が肩についている。
顔つきは身長と比例して幼く、俺たちと同い年か、もしくは少し若い。20歳行く行かないくらいだ。
血色がいい白い肌に、少しツリ目で、目の色は日光の当たり具合で紫にも黒にも見える。
八重ちゃんくらいの140センチくらいの背に、黒いセーターか首まで見えていて、腰までは白いボタン付きの上着。黒いズボンはスタイリッシュで、足首が見えてスニーカーの若い格好。
「げ。今日はオフかよ」
桃暗が玄関を開けて彼女を見ると、彼女も可愛らしい眉を顰めた。
「げとはなんだねオッサン。私がいると都合悪いかい?」
「えっと….」
俺が声をかけると、黒髪の女性は気さくに握手を求めてきた。
「ゆう でいい。仲良くしよう!少年少女!」
よく見れば、俺から見て右側の耳たぶに2つホクロがある。
「あ、はい。真木です」
「八重子でーす」
俺たちが握手に応じると、
「オッサンと知り合いなんて難儀してるだろう?」
「オイ」
桃暗が軽く突っ込む。どうやら桃暗とゆうさんは仲は悪くはないらしい。
「ははは….こっちが助けられることもよくありますよ」
「真木。こいつは俺と同類だ。金巻き上げられねェようにしろよ?」
「えっ」
「心外だな。しかし真木くん?君は実家暮らしかバイトか仕送りか…このあたりだろ?5万のところ5千に負けてあげるから寄ってかないかい?」
それはつまり…お、大人の….!!
「いや…まじで金ないんで…」
「そうかい。いや、彼女が隣にいるところで不躾だったね。すまないすまない」
「真木くんとは付き合ってないです」
「あ、そうなの?そりゃ失敬」
どうやら悪い人ではないらしいが、桃暗は好かない様子だ。桃暗はため息をついて親指でゆうさんを指す。
「ゆうは性格や生き様には、まぁそんなに癖がない方なんだが、金の稼ぎ方がなぁ」
アンタの周りの何をどう基準にしたら癖がないに行きあたるのか疑問に思ったが、分からない事ばかりを質問してたら話が進まないので、
「稼ぎ方?」
とだけ聞いた。
「男だよ」
ゆうさんは、自分について興味があるのが嬉しそうで、笑って教えてくれた。
「今どきの まっちんぐあぷり? で男釣って、1回5万。気はその周りから集めればいいし、気で若返ればいい。金は公共料金に当てたらいい。だからそもそもこの家にいることが少ないんだ。しかしおっかしいなぁ。オッサンより稼いでるはずなんだが、なぁぜかオッサンに嫌われてるんだよなぁ」
「手法だろ」
「じゃあこれより良い手法があるなら教えて欲しいね」
桃暗は優しいから、もしかしたらゆうさんに自分を大事にして欲しいんじゃないだろうか….。
「はい。質問」
「おうよ八重子ちゃん」
「あの、身体売るってことですよね?大変じゃないんですか….?」
ゆうさんは八重ちゃんの頭を撫でながら言った。
「優しい子だね。私は足開いて寝てるだけだから。動画配信サービスで観たいもの考えてるよ。あっ、でもねぇ、集合場所が遠いと面倒だね」
「そ、そうですか….」
「君は戸籍があるんだから、こんな稼ぎ方はおすすめしないぞ〜?青春しろ少年少女〜」
貴女は一体何歳なんだ。
「あぁ、すまない。桃暗に用があるんだったよね。お邪魔してしまった!ではおやすみ!」
ゆうさんはそういうと、扉を開けて帰って行った。
「なぁ、桃暗。前に言ってた住民って、あぁいう感じなの?」
「あー、まぁ」
桃暗はガシガシと乱暴に頭をかいた。
「あいつなりに気を集めて、稼いで、生活はしてる。性格がまともなんだから、もう少しマシな稼ぎ方すりゃいいものを」
やっぱり、桃暗は心配しているらしい。なんだかんだ、桃暗は優しい。例えそれが、過去も名も知らぬ、ただの近所の住民であっても。
「ゆうさんっていくつなんです?」
「知らん。俺より年下でお前らより年上だな」
『適当…』