テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「え、ええ……。なんだか、まだ夢を見ているようですわ」
「リリアーヌ、改めて、静かな場所で言わせてくれ。俺がどれほど、君という存在を必要としているか」
俺は彼女の華奢な肩を引き寄せ
その柔らかい体温を確かめるように、けれど壊れ物を扱うような手つきで抱きしめた。
腕の中に収まる彼女の重みが、これが現実であることを俺の脳に叩き込んでくる。
「前世……いや、俺の古い記憶の中でも、俺はいつも一人で戦っていたんだ、誰にも認められず、誰とも繋がれず、ただ画面の中の数字と納期に追われるだけの、色彩のない空っぽな日々」
「……そんな俺を救ってくれたのは、他の誰でもない、君だった」
「私が……?」
「リリアーヌが笑ってくれるなら、俺は何にだってなるし、神をも恐れぬ無慈悲な効率化だって成し遂げる……君は俺にとっての、生きる理由そのものなんだよ」
「い、生きる理由だなんて…大袈裟ね」
「リリアーヌ、君が俺を必要とする以上に、俺には君が必要なんだ」
俺の言葉は、重く、熱く、そして粘り強く、彼女の心の一番深いところへ染み込んでいく。
リリアーヌは俺の胸に顔を埋め、くすぐったそうに
けれど幸せを噛みしめるように笑って、肩を微かに震わせていた。
「……本当に、重たい男ね、貴方は。愛という名のデスマーチでも強いるつもりかしら?」
「重くて結構。リリアーヌだけは、一生かけても幸せにしてみせると決めたんだ」
俺がドンッと胸に手を当てて、前世のヒーローにでもなったつもりでカッコつけてそう言えば
リリアーヌがふっと、それまでの緊張を解くように笑って顔を上げた。
上目遣いに俺を見つめる彼女の頬は、月光に照らされて、熟れた果実のような桜色に染まっている。
「……本当におかしくて、面白い人」
彼女は少しだけ背伸びをして、俺の首元に柔らかい腕を回すと、そっと……。
本当に、春の雪が頬に触れて溶けるような柔らかさで、俺の頬にキスを落とした。
「っ……!!!!」
「……これが、私の返事ですわ。重たい愛には、重たい責任で返して差し上げます。……一生、私の隣で、私のワガママに振り回されなさい。わかりましたわね?」
(───あああああああ!! 死ぬ!! 今死んでも悔いはない!! いや死ねない! リリアーヌにキスされた?!!)
全神経が『リリアーヌ可愛い』という強烈な信号だけで埋め尽くされ、脳内の処理速度が限界を突破する。
頬に残る、甘く、温かい感触。
リリアーヌの、これまでの強がりをすべて溶かしたような、慈愛に満ちた最高の微笑み。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!