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シャトルランが始まって数分。鈴はすでに限界寸前だった。
「はぁ、はぁ……輝、ちょっと、休憩……」
「よっしゃ任せろ、鈴!特製プロテインドリンク持ってきた!」
輝はジャージのポケットから、明らかにぬるくなった水筒を取り出す。
「……それ、朝からずっと持ち歩いてたやつ?」
「そう!牛乳とバナナと卵と納豆と……あとなんか気合で入れたやつ!」
「絶対イヤよ!?」
鈴は顔をしかめて距離を取ったが、輝は気にせず蓋を開けて一気飲み。
「んー!うまい!これ飲んだら5kmくらい軽く走れる気がする!」
「え、さっきから走ってたの10分間シャトルランだよ?」
「……え?マジで?」
ピタリと足を止めた輝が、初めて現実に気づいた顔をする。
「そりゃ終わらないわけだ……俺、ずっと同じ距離往復してただけだった……カウントしてなかった……」
「バッッッカじゃないの!?」
結局、輝は走行回数ゼロとして記録され、補習決定。
「くっ……これも鍛錬だな……!」
「違うわよ、ただのアホだよ……!」
それでも鈴は、呆れながらも笑っていた。こんな残念だけど憎めないのだ。