コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
まず最初に
誤解のないように記しておきますが、自殺を美化したり肯定したりする意図は一切ありません。
この物語は「生きること」「つながり」「失って初めて知る想い」を静かに伝えるためのものです。
物語を創る上で、事実とはすこし異なる部分があります。理解した上でお読みください。
上記のことを理解したうえでお読みください。
訃報は、通知一つだった。
Discordのグループチャット。
そこに一通のメッセージが届いたのは、深夜2時14分。ドズルさんからだった。
│【重要】おらふくんのご家族より
│本日、おらふは永眠いたしました。
│詳細は伏せさせていただきますが、ご本人の意思によるものでした。
│これまでのあたたかいご支援、誠にありがとうございました。
一瞬、意味が理解できなかった。
「永眠」という単語が、スクリーンに染み込まず、ただ冷たく浮いていた。
ドズルさんから着信が鳴った。
出ても、お互い何も言葉が出なかった。
「……なんでですか?」
唯一出たその言葉に、返事はなかった。
思い返せば、違和感はあった。
「おんりーってさ、たまに全部背負ってるみたいな顔してるよね」
そう言った彼の声は、軽くて、でもどこか遠かった。
配信後、ひとりで残ってることが増えた。
「編集してるだけだよ~w」って笑ってたけど、ログイン時間は夜中の3時とか4時とか。
無理してるんじゃないかと声をかけても、
「僕は大丈夫よ。おんりーこそ、ちゃんと寝てや」
そう言って笑った。
その笑顔が、
「もうすぐ終わる」人の顔だったことに、気づけなかった。
葬儀のあと、家族から手紙を渡された。
封筒には、手書きで「おんりーへ」とあった。
中には、便箋が3枚。
一文字一文字、丁寧に綴られていた。
おんりーへ
僕は、この世界から降ります。
本当は、もっと生きたかった。
でも、それ以上に、苦しかった。
楽しいこともたくさんありました。
ドズル社で、できたたくさんの思い出も、いつでも支えてくれたリスナーさんたちも、全部宝物です。
でも僕は、
「自分自身」と仲良くできなかった。
みんなといるときの僕は、演じていた“元気なおらふくん”でした。
おんりーは、僕のことを見抜いていたと思います。
それが怖くて、でも、うれしかった。
最後にひとつだけ、お願いがあります。
スノードロップが咲いたら、僕のことを少しだけ思い出してください。
でも、それ以上は引きずらないでください。
あなたが生きていること。
それだけが、僕にとっての救いです。
ありがとう。さようなら。
――おらふ
読んだ直後、吐いた。
手が震えて、床に突っ伏した。
叫びたいのに声が出ない。
「なんで僕に頼ってくれなかったの?」
「おらふくん、最期まで勝手すぎるよ。」
「……でも、ごめん。気づけなかった、俺も」
罪悪感という名の氷が胸に刺さったまま、日々が過ぎた。
配信画面を開いても、音がしない。
彼がいたはずの空間に、ただ虚無が浮かぶだけだった。
春の入口、雪がわずかに溶け始めたころ。
久しぶりに外に出た。
庭の隅――かつて彼と一緒にスノードロップを見つけた場所。
その地面に、白い花が咲いていた。
たった一輪。
でも、確かにそこにある。
「咲いたよ、おらふくん」
しゃがみ込んで、その花に指先を添えた。
「……なんで、俺じゃダメだったんだろうな」
「もっと、話してくれれば」
「でも、最期まで……おらふくんらしかったよ。」
涙は、もう出なかった。
代わりに、春の匂いが鼻を抜けた。
その年、初めて「一人称おんりー」の動画を撮った。
おらふくんのいない部屋で、ただ自分の声だけを録るのは、あまりに静かだった。
けれど、あの花が咲いていたから、
俺はカメラの前で言えた。
「誰かがいなくなっても、世界は止まらない。
でも、心の中では、その人の季節がずっと続いてる。
俺は、生きていきます。
スノードロップを忘れない限り、まだ一緒に歩ける気がするから」
配信を終えて、窓の外を見る。
白い花が風に揺れていた。
彼はもういない。
でも、彼が遺してくれた希望は、確かにここにある。
そして――春は、今年も訪れる。
いいですね~…スノードロップ!あなたの死を望みます。のほうで書こうかと思ったんですがね。
まぁポジティブ!ということでね(???)
つぎは死をのほうで書こうかなって思ってます
ではおつら!✌!